野球

駒澤大学の新田旬希主将、持ち味の攻撃力で復活優勝へ 29日東都開幕

駒澤大学の新田旬希主将。昨秋は中軸を任された(撮影・佐伯航平)

東都大学野球春季リーグ戦が3月29日に神宮球場で開幕します。今季、1部リーグは7校による2回戦総当たりの勝率制。新リーダーに意気込みを聞く最後は、2014年秋以来の復活優勝を目指す駒澤大学の新田旬希主将(4年、呉)です。

「連続最下位」から巻き返し

通算27度のリーグ優勝、11度の大学日本一(大学選手権6度優勝、明治神宮大会5度優勝)を誇る東都の名門・駒大だが、この2年間は苦しい戦いが続いている。一昨年は春秋連続で最下位に沈み、入れ替え戦に勝って1部残留。昨秋は開幕から5連敗を喫し、後半に3勝を挙げたが中央大学、東洋大学と同率の3勝7敗、4位でシーズンを終えた。「4位といっても、僕らの認識では3季連続最下位です」と主将の新田は厳しい口調で言う。

身長185cmの新田は創部10年の呉高(広島)を主将として春夏通じ初の甲子園となった第89回選抜高校野球大会(2017年)へ導いた大型内野手。駒大でも1年春から公式戦に出場してきた。

呉高でも主将を務めた(撮影・朝日新聞社)

新田は「今年は『チーム力で戦う』をテーマにしています。僕らの代には飛び抜けた実力の選手は少ないですが、その分、チーム全体で戦うということを意識して冬場の練習に取り組んできました」と新チームは全員で戦うことを強調する。冬場、毎朝の走り込みでは投手、野手ともに例年以上の質と量をこなしてきた。「前年冬の走り込みもキツかったのですが、それが楽だったなと思えるぐらいにこの冬は全員で走り込みました」と新田はハードな冬の走り込みを振り返る。

年末に帰省していた部員が年明けに合宿所へ戻り、活動を再開しようとした矢先に緊急事態宣言が発令された。グラウンドと合宿所は世田谷区の住宅街にあるため、もし部内に感染者が出た場合、周辺住民へ大きな不安を与えてしまう。野球部は全体練習を取り止め、部員を3班に分け短時間で密にならないよう配慮した上での自主練習に切り替えた。2月10日からようやく全体練習が再開された。

「逆襲」スローガンに強力打線

今季はチームスローガンに「逆襲」を掲げ、江越大賀(阪神)、今永昇太(DeNA)らを擁しリーグ戦、明治神宮大会を制した2014年秋以来の優勝を目指す。

昨秋、1番・主将として4本塁打、13打点などの活躍でチームを引っ張った若林楽人(西武)、緒方理貢(ソフトバンク)、正捕手の前田研輝(巨人)らが卒業した。それでも中軸の林琢真(3年、東邦)、鵜飼航丞(4年、中京大中京)、新田らがそのまま残り、打線は強力だ。小技の効く小園琉世(3年、福岡工大城東)、佐々木魁(4年・松山聖陵)、昨秋、首位打者を獲得した与倉良介(3年、向上)らがチャンスメイクし、クリーンアップにつなぐ。鵜飼は昨秋3本塁打に4盗塁をマークした「走れる4番打者」。機動力で相手をゆさぶる伝統の「駒大野球」に今年は長打力を併せ持つ打者が顔を並べる。「今春はオープン戦の序盤から打線のつながりがとてもいい感じです」と新田も打線に自信を持つ。

打線には自信を持つ(撮影・小川誠志)

昨秋10試合中9試合に登板した竹本祐瑛(JR東日本東北)が卒業し、投手陣の整備が目下の課題だ。昨秋5試合に先発した左腕の村越祐野(4年、学法石川)、1年春の入れ替え戦での力投で強い印象を残した福山優希(3年、八戸学院光星)が左右の両輪として期待を背負う。「村越、福山の2人は高い意識で野球に取り組んでいる。投手陣を引っ張ってくれると思います」と新田は二本柱の頑張りを認める。左腕からキレのよいボールを投げ込む米山魁乙(2年、昌平)、右のサイドスロー谷藤大成(3年、秋田南)らも神宮のマウンドを目指す。

低迷期を乗り越え「逆襲」の大学日本一取りに挑む。