野球

國學院大學の山本ダンテ武蔵、打撃2冠で2度目の東都Vに貢献し最高殊勲選手

國學院大學の山本ダンテ武蔵。チームを20季ぶり2度目の優勝へ引っ張った(撮影・全て朝日新聞社)

東都大学野球1部リーグは國學院大學が2010年秋以来2度目のリーグ制覇を達成。3番指名打者(DH)の山本ダンテ武蔵(4年、大阪桐蔭)が5本塁打(リーグ1位)、17打点(同1位)、打率3割6分4厘(同3位)などの活躍で最高殊勲選手、ベストナインに選ばれた。

優勝決定試合では冷静に押し出し四球

最終戦となった中央大学2回戦、1点のビハインドで迎えた8回裏、無死満塁で3番の山本に打席がまわってきた。一発出れば逆転の場面だが、冷静に押し出し四球を選んだ。

「相手投手はボールが荒れていて、スライダーも引っかけていた。ボール自体はとてもいいピッチャーだったので、しっかり決まったら打てない。甘いところだけに絞って、浮いてくる球を待った結果が四球につながりました」

鳥山監督(左)らと優勝後の記念撮影

この押し出しで國學院は2-2と同点に追いつき、続く4番の瀬戸成一郎(4年、鳥取城北)、5番の福永奨(4年、横浜)の連続犠牲フライで2点を勝ち越す。9回はエース池内瞭馬(4年、津商)が三者凡退に斬って取り、國学院ベンチ前に歓喜の輪が広がった。

リーグトップの5本塁打、17打点

山本は今季、全12試合に3番DHで出場。開幕戦の亜細亜大学1回戦で3ランを放ち好スタートを切ると、翌日の2回戦では2打席連続本塁打を含む3安打3打点の活躍。第4週の青山学院大2回戦では4号ツーラン、最終週、優勝に王手をかけた中央大1回戦で5号ツーランと、リーグトップの5本塁打を放った。

開幕の亜大戦では右越えに本塁打を放つ

首位打者こそチームメイトの川村啓真(4年、日本文理)に譲ったが、第6週終了時点では打率でもリーグトップに立っていた。「打点を挙げることに一番、重きを置いています」と話すように、17打点もリーグトップの数字。本塁打、打点の「2冠」に輝いた。

「やり切った結果が2冠だったと思うので、3冠を取れなかったから悔しいということはないです。優勝に貢献できたことがうれしいです」と結果に満足した表情を見せる。

シンプルに、何も考えず打席に入る

バッティングの際に一番意識していることは「真っすぐにしっかり振り負けないこと。自分は打席で考えてしまうとバットの出がおかしくなってしまうタイプなので、基本的にシンプルに、何も考えず打席に入っています」と山本は話す。

亜大2回戦では2打席連続本塁打した

青山学院大のルーキー佐々木泰(県岐阜商)が第4週、直接対決の2回戦で4号を放って本塁打数で並んだ。試合後、記者の「佐々木選手のことを意識しますか?」という質問に、山本は「自分はしっかり捉えた延長がホームランになればいいので、気にせずにいこうと思います。ホームランを意識すると、自分の理想としているスイングとは離れてしまうので。ホームラン(の数)で負けたとしてもチームが勝ったらよし」と表情を変えず答えた。

「明るく元気に」が自分のスタイル

大阪桐蔭高時代は4番を打ち、3年のときには春夏連続で甲子園に出場。春は第89回選抜高校野球大会(2017年度)の優勝に貢献した。

第89回選抜高校野球大会では4番右翼手で大阪桐蔭の優勝に貢献。準決勝で好守をみせた

大学では1年春からリーグ戦に出場。2年春の第2週、東洋大2回戦で初スタメンの座を勝ち取ると、初安打となる先制の3ランを左翼席にたたき込んだ。3年秋の開幕戦、駒澤大1回戦では終盤のチャンスに代打出場し、レフト、センター、ショートの間に落ちるラッキーなテキサスヒットを放ち、これが決勝の逆転2点タイムリーとなった。試合後の取材で鳥山泰孝監督は「うちのチームで最も運のいい男です。天真爛漫で、へこんだりしない。彼がチームに運を呼び寄せてくれた」と笑顔でたたえた。

「明るく元気にやっていくのが自分のスタイル」と自身、話すように、何事にも明るく前向きに取り組む。「武蔵」の名前はアメリカ人の父チャールズさんがかつての米国出身横綱・武蔵丸から取って名付けたという。

肉体改造と打撃フォームの修正で飛躍

チャンスで勝負強さを発揮しながらも、3年秋まではなかなかレギュラーの座をつかみ切ることができずにいた。長打力が評価されていたが、確実性が課題となっていたのだ。 昨秋のリーグ戦終了後、打撃フォームの改善に取り組んだ。それまでダウンスイングのイメージで打っていたのを、レベルスイングへ修正。肉体の改造にも着手し、10kg近い体重の増量に成功した。「前まで10割の力で打っていた打球を8割の力で打てるようになりました」と山本は体重アップの効果を語る。力みなく、しっかり捉えるバッティングができるようになり、それによって確実性が上がり今春の活躍につながった。

豪快な打撃フォーム。改造に取り組んだ

鳥山監督は山本の成長についてこう語る。
「まず身体ができたこと。それを支える精神が充実してきて、そこにひと冬やってきた技術というものが加わって、心・技・体がバランスよく成長できて4年目を迎えられている」

大学選手権でさらなる活躍を

高校時代、一緒に選抜制覇を経験した1学年下の根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)らはプロの世界で結果を出しつつある。後輩たちの活躍は大きな刺激になっている。「後輩たちが頑張っているので、先輩の自分も頑張らないと格好がつかない。しっかり頑張ろうという気持ちはあります」

進路については「できればこれからも野球を続けたい」と話していた。今春の活躍でプロ、社会人からの評価も上がっている。

6月7日に開幕する全日本大学選手権でさらなる活躍が期待されるが「どんな舞台でもどんな場所でも自分のやることを変えてはいけない。やることは同じだと思うんで。ぶれずにしっかり自分がやるべきことを全力でやっていこうと思っています」と気負いはない。東京ドームで、慣れ親しんだ神宮球場で、全国から集まる猛者に痛烈な一打をお見舞いするつもりだ。