法政大・内田隼太 箱根駅伝予選会で味わった悔しさを糧に、本戦での活躍誓う
第98回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会
10月23日@陸上自衛隊立川駐屯地周回コース(21.0975km)
6位 法政大学 10時間42分12秒
内田隼太 個人60位 1時間03分52秒
本戦への出場権をつかんだ喜びは、ほぼなかった。内田隼太(3年、法政二)は個人成績で「20位から30位」を目標にレースに挑んだが、理想にはほど遠く1時間03分52秒で60位。「今年は上級生ということもあって、前でタイムを稼がなければいけなかった。まだ実力的に(他大学の主力選手と)戦えないと感じた」。学内4位でフィニッシュしながらも、慢心はなく、自身の走りを厳しく評価した。
思うように走れず悔しさしか残らない
9月の日本体育大学陸上競技会の10000mで初めて28分台に突入し、自信を深めて今大会に臨んでいた。予選会では、スピードを生かして1kmあたり3分を切るペースを刻み、 15km地点までは日本人先頭集団に食らい付いた。暗転したのはそこから。15kmから20kmの5kmで、ラップは15分39秒まで落ち込み、他大学の実力者らに大差を付けられた。1年前の予選会は、後方でチームメイトと共に集団走に徹したが、今年は指揮官から日本人先頭グループの中で善戦を期待されていた。それだけに、悔しさばかりが込み上げた。
神奈川・法政二高時代は、2年次に全国高校駅伝に出場。1学年先輩の鎌田航生(4年、法政二)を差し置いて花の1区に出走し、区間10位の好走を見せた。3年次には全国高校総体の5000mで10位(日本人4位)に入り、世代トップクラスに君臨した。
「ライバル」鎌田の好走に奮起
エリート街道を歩んできたが、大学入学後はなかなか表舞台に立つことができないでいた。昨年度は予選会に出走しながらも、本戦ではエントリー漏れを経験。どん底を味わったが、長年の仲間で「ライバル」である鎌田が、1区で区間賞を獲得する姿を目にし、「あれくらいで走りたいと思った」。尻に火が付いたこの時が、ターニングポイントだった。
今年は心機一転、ケアや食事といった細かいところにまで気を配るようになった。その結果、今夏の強化合宿では「初めてけがをせずに、全てのメニューをこなすことができた」と話す。タフさが増し、どんな条件の中でも走れるようになった。チームのエース鎌田も「スピードで押して行けるのが彼の強み。駅伝でも期待できる」と太鼓判を押すほど、この1年間で目覚ましい成長を果たした。
予選会が終わって内田は覚悟を固めた。「箱根では1区を走って、去年の鎌田先輩みたいに区間賞を目指したい」。そのために、今大会で失速したラスト5kmの部分を「箱根本戦に向けて修正していきたい」と語った。高校時代から共に切磋琢磨してきた盟友と挑む最後の駅伝シーズン。近年はスピード駅伝に苦しめられている法大だが、今季の駅伝は『生粋の法政コンビ』でチームに流れを作るつもりだ。