帝京大・中村風馬、躍進の全日本駅伝から集大成の箱根駅伝へ「区間賞を狙いたい」
帝京大学駅伝競走部に欠かせない中心選手である中村風馬(4年、草津東)。自身6度目の大学駅伝となった第53回全日本大学駅伝で、6区区間2位という好成績を残した。帝京大学がチーム13位と苦しんだ中、中村が自身最高の区間順位を残したことの意味は大きい。これまで箱根駅伝を2度走った中村だが、いずれも区間順位は9位。最後の大学駅伝を前に大きな成長を見せる中村の思いを聞いた。
手応えを持って臨んだ出雲駅伝だったが…
中村の陸上生活の始まりは、中学1年生のころに参加していた野球のクラブチームのオフの体づくりだという。中学2年生の時には滋賀県代表として第21回全国中学校駅伝に出場。その後の草津東高校では高2・3年時に全国高校駅伝を走り、「走りだけではなく、社会に通用する人間性も育成しているところに魅力を感じた」帝京大学へと進路を選んだ。
中村の初めての大学駅伝は2年の時、2019年の第31回出雲駅伝だった。この時は区間13位と思い描くような結果は残せなかったものの、以後の大学駅伝では大崩れすることなくコンスタントに成績を残してきた。
今年の出雲駅伝ではアンカー6区を走り区間10位で、「あまり良くなかった」と振り返る。練習面では「大会に向けてという練習はあまりなく、夏合宿からやっていることはずっと変えていなかった」と語るが、1日に40kmから50kmを走り込んだ夏合宿を含め900kmを走った8月に加え、9月以降は最低でも月間750kmを走るように心がけていたという。その成果として中村本人のコンディションはさらに上向き、チーム全体としても「例年よりいい練習ができていて、チームの雰囲気も良かったと感じている」。それだけに悔しい結果となった。
全日本6区で快走、「満足はしていないが、良かったかなと」
そうした中で迎えた全日本大学駅伝、5区終了時点で13番手でタスキを受け取った中村は「シード権の8位中央大学とは1分56秒差あったので、1分は詰めようと」と、落ち着いて伊勢路に入っていったという。2年前と同じ6区を走り、順位を1つ押し上げての区間2位の結果には「満足はしていないが、全日本大学駅伝では絶対に失敗できないという思いが生まれていた中でこの結果はよかったのかな、と思う」と振り返り、「前の東海大学に追い付けていれば区間賞も見えていたが、行ききれなかった」こととともに、「中間点を越えてからもペースを上げることができて、悪すぎた出雲駅伝と比べれば80点くらい」と、反省と収穫の両方を得られたことを教えてくれた。
一方で、4年生の間には全日本大学駅伝でシードを落としたことに対しての危機感もあり、「僕たち4年生がどうにかしなければならないという雰囲気がある」と現状を語る。
集大成の箱根駅伝へ、「区間賞を狙いたい」
年始の箱根駅伝では「確実に往路になるとは思っている」としたうえで、「1区・4区ならば区間賞を取りたい、2区ならば日本人トップを目標に頑張りたい」と意気込む。チームメートと休日には趣味のゲームをしているという中村に、チーム内外で意識している選手はいるかと聞くと「そういう選手は作らないようにしていて、自分自身がライバルだと意識している」と答えてくれた。今の環境については「スポーツ医科学センターで受けられるサポートが怪我の対策・回復に役立ってるし、食事も栄養面がよく考えられているメニューが出されているのは強み」だと話す。
主将の橋本尚斗(4年、鳴門)やエースの遠藤大地(4年、古川工業)らが語る箱根駅伝での目標は「往路優勝、総合3位以内」。往路で間違いなく主力メンバーになるであろう中村にとっても、チームにとっても、箱根駅伝が今のメンバーでの最後の駅伝となる。駅伝競走部で過ごした4年間の集大成として、どのような走りを見せてくれるのか。箱根駅伝のエントリーにその名を確認できた今、箱根路でファイヤーレッドのユニフォームを身にまとった彼らの雄姿が見られることを楽しみにしている。