陸上・駅伝

特集:ACN エキスポ駅伝 2025

ACN エキスポ駅伝、トヨタ自動車が優勝 國學院大3位、帝京大4位、駒澤大6位

1位でゴールするトヨタ自動車の内田隼太(撮影・伊藤進之介)

ACN エキスポ駅伝

3月16日@万博記念公園〜大阪・関西万博会場の7区間54.5kmkm
優勝 トヨタ自動車     2時間32分48秒
2位 富士通     2時間34分02秒
3位 國學院大學   2時間34分18秒
4位 帝京大学    2時間35分18秒
5位 GMOインターネットグループ 2時間35分30秒
6位 駒澤大学    2時間35分50秒
7位 青山学院大学  2時間35分58秒
8位 ロジスティード 2時間36分04秒
9位 創価大学      2時間38分00秒
OPN 実業団連合選抜 2時間38分31秒
10位 安川電機    2時間39分36秒
11位 城西大学    2時間39分45秒
12位 住友電工    2時間40分13秒  
OPN 関西学連選抜    2時間41分08秒
13位 早稲田大学   2時間41分32秒
14位 立教大学    2時間42分29秒

「大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025」(ACN エキスポ駅伝)が3月16日、万博記念公園から大阪・関西万博会場までの7区間54.5kmで行われた。大学と実業団のトップチームが参加し、トヨタ自動車が1区からトップを譲らず優勝を飾った。大学勢では3位に國學院大學、4位に帝京大学が食い込んだ。駒澤大学は6位、青山学院大学は7位でそれぞれゴールした。大会MVPにはトヨタ自動車の太田智樹が選ばれた。

2区で青山学院大が2位に浮上

1区(8.9km)は万博記念公園の広場を走るコース。スタート直後にGMOインターネットグループの嶋津雄大(創価大学)が抜け出したが、5km付近からトヨタ自動車のスピードランナー吉居大和(中央大学)、青山学院大の鶴川正也(4年、九州学院)、駒澤大の伊藤蒼唯(3年、出雲工業)がレースを引っ張った。残り1kmで吉居と伊藤の一騎打ちになり、ラストスパートを仕掛けた吉居が4秒差をつけてトップで第1中継所に飛び込んだ。

吹田市内を走る2区(5.1km)では、4km過ぎからトヨタ自動車の野村優作(順天堂大学)が前に出た。今年の箱根駅伝でアンカーを務めた青山学院大の小河原陽琉(1年、八千代松陰)が、野村と並ぶ区間3位の走りで3位から2位に順位を上げた。駒澤大は4年で大学駅伝初出走となる吉本真啓(世羅)が踏ん張り4位。國學院大は尾熊迅斗(1年、東京実業)が区間2位の好走で5位につけた。

太陽の塔を背に力走する1区の(左から)GMOインターネットグループの嶋津雄大、富士通の伊豫田達弥 、駒澤大の伊藤蒼唯、トヨタ自動車の吉居大和、青山学院大の鶴川正也(撮影・小宮健)

3区でトヨタ自動車の太田智樹が快走

最長3区(12.5km)には各チームのエースが集った。パリオリンピック10000m日本代表で、2月の香川丸亀国際ハーフマラソンを日本新記録で制したトヨタ自動車の太田智樹(早稲田大学)が快走し、後続を引き離して区間賞を獲得した。

2位集団は昨年12月の福岡国際マラソンで日本歴代3位のタイムで優勝したGMOインターネットグループの吉田祐也(青山学院大)に、國學院大の上原琉翔(3年、北山)、駒澤大の山川拓馬(3年、上伊那農業)、青山学院大の飯田翔大(1年、出水中央)の大学3強が食らいついた。上原が区間2位と好走し國學院大は2位に浮上、4位に青山学院大、5位に駒澤大が続いた。

3区で独走するトヨタ自動車の太田智樹(撮影・田辺拓也)

國學院大の野中恒亨が5区区間2位と奮闘

4区(5.4km)もサムエル・キバティ(倉敷高校)を起用したトヨタ自動車が独走した。富士通はコセン・ダニエルが区間賞の走りを見せ、10000m日本記録保持者の塩尻和也につないだ。

5区は大阪のメインストリート御堂筋を南下し、道頓堀で折り返すコース。トヨタ自動車の湯浅仁(中央大)は7km過ぎで険しい表情を見せたが首位をキープ。4位で襷(たすき)を受けた富士通の塩尻はじわじわと追い上げて3位に浮上し区間賞を獲得した。

大学勢では、國學院大の野中恒亨(2年、浜松工業)が区間2位、駒澤大の桑田駿介(1年、倉敷)も区間3位と奮闘し、それぞれ2位、5位につけた。

野中は「実業団に勝つつもりでスタートラインに立った。塩尻さんに絶対抜かれないぞ、という意地があった」と振り返った。

大学勢トップとなる3位でゴールする國學院大の辻原輝(撮影・伊藤進之介)

帝京大・楠岡由浩が6区区間2位「あと2秒、悔しい」

6区(4.7km)は富士通のベテラン松枝博輝(順天堂大)が底力を見せた。國學院大の次世代エース候補、浅野結太(1年、鹿島学園)をとらえて順位を1つ上げた。区間賞を獲得したのはトヨタ自動車の田中秀幸(順天堂大)。そのタイムに2秒差まで迫ったのが帝京大の楠岡由浩(2年、慶誠)で、順位を7位から5位に押し上げた。

楠岡は万全な体調ではなかったが区間3位以内を目指して走り切った。「あと2秒で区間賞を逃したのはすごい悔しいですが、自分が思い描いていたレースプラン通りに走れた。今後の試合に向けて流れをつかめるきっかけになった」と自信をつけた。

最終7区(7.8km)は此花大橋と夢舞大橋の大きなアップダウンが続くコース。トヨタ自動車は内田隼太(法政大学)が区間賞の走りで優勝のゴールテープを切った。2位には富士通が入り、マラソン記録保持者でエースの鈴木健吾(神奈川大学)が安定した走りを見せた。國學院大は辻原輝(2年、藤沢翔陵)が区間4位と力走し3位でフィニッシュ。帝京大は浅川侑大(2年、洛南)が区間2位と健闘し4位に食い込んだ。

7区区間2位と健闘した帝京大の浅川侑大(撮影・伊藤進之介)

トヨタ自動車・熊本剛監督「垣根を越えて切磋琢磨」

トヨタ自動車は年始のニューイヤー駅伝に出走した7人のうち5人を起用し、圧倒的な力を見せつけた。熊本剛監督は「実業団として負けられないというプレッシャーがある中でしっかりと優勝を目指して襷をつないでくれた」と評価。「大学生も非常にレベルが上がっている。実業団と大学生の垣根を越えて切磋琢磨(せっさったくま)しないといけないと思う」と語った。

大学勢は各チームとも新年度のチームを見据えた布陣で臨んだ。大学勢1位に入った國學院大の前田康弘監督は、「上原の走りはクレバーだったし、野中も(塩尻相手に)よくやった。選手たちが挑戦していく気持ちを共有できているのと、チームとして形になっている。『今年もやるよ』というのを見せられたのかな」と話した。

平林清澄(美方)や山本歩夢(自由ケ丘)ら4年生を入れずに戦い、新チームの強さを感じさせた。主軸になる野中は、「ここからステップアップしてもっともっと強くなりたい」と力強く語った。

大学勢2位は帝京大学で、今年度最後のレースを好順位で締めくくった。原悠太(2年、大阪)と浅川が大学駅伝を経験できたのも収穫だ。中野孝行監督は、「富士通やトヨタ自動車が力いっぱい戦ってくれてうれしかった」と感謝を述べ、「来月から新年度。また作り直して進化していきたい」と先を見据えた。

5強崩しを目標に掲げている新チーム。2区区間5位の島田晃希(3年、高田)は、「今回はその目標を達成できた。この調子で本番の3大駅伝でも更新していきたい」と意気込んだ。

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