陸上・駅伝

特集:第96回箱根駅伝

東洋大・相澤晃 最後の箱根駅伝は「楽しんで勝つ」目指すは6年ぶり総合優勝

在校生からのメッセージを掲げ、笑顔を見せる相澤(すべて撮影・藤井みさ)

12月13日に東洋大学白山キャンパスであった東洋大の壮行会・合同取材。11年連続3位以内に入っている東洋大は、今年も優勝候補の一角だ。取材には50人を超える報道陣が集まった。

最後の箱根、2区への思い

チームの大エースであり、キャプテンである相澤晃(4年、学法石川)は学生、OBを前にした壮行会で「三大駅伝三冠を目標にしながら、ベストメンバーを組めず悔しい思いをしました。箱根駅伝ではコンディションをあわせていってベストメンバーを組んで、総合優勝を目指して頑張りたいです」と決意を述べた。

相澤自身は出雲駅伝3区、全日本大学駅伝3区ともに区間新記録で区間賞。特に全日本大学駅伝での10人抜きの爆走は、全国の駅伝ファンを驚かせた。10km27分台で入ったので、レース後はダメージがあり、コンディショニングを整えてきたという。「2区を走るのであればスタミナも必要なので、スピードとスタミナの両方を鍛えてます」

箱根はベストメンバーで戦いたい。ミスのない戦いが重要になる

目下の興味は、相澤がどこの区間を走るのかということにある。酒井俊幸監督は「相澤に頼るのではなく、相澤を生かせるレースを」とたびたび口にしている。相澤自身は以前、「学生のトップというとやはり2区なので、2区を走りたい」と答えていた。今回も「どの区間でも負けない走りをしたい」と言いながらも、やはり2区への思いをにじませた。「2区を走るのであれば、日本人最高タイムを出したいですし、モグスさん(メクボ・モグス、山梨学院大)の記録(1時間6分04秒)の記録にも迫りたいです」という。

後輩たちのためにも総合優勝を

チームスローガンの「世界への挑戦」の通り、相澤はトラックで東京オリンピックを目指すと明言していた。11月23日の八王子ロングディスタンスにエントリーし、10000mで27分台を狙うかと思われたが、欠場。その理由について問われると「27分台を狙うチャンスだったんですけど、箱根はもう最後。自分はキャプテンでエースで、負けたくない、優勝したいという気持ちが大きかったです。トラックで記録を出すチャンスはまだ春先にもあるので、今回は箱根駅伝に集中しようと思いました」と最上級生の覚悟を明かした。

今回はエントリーの16人のメンバーのうち、3、4年生が4人ずつ、2年生が2人、1年生が6人とフレッシュな顔ぶれが揃った。相澤も「1年生たちが、自分だったら当時できないような練習をこなしてて頼もしいです。1年生を緊張させない走りをしたいです」。そしてこうも続ける。「自分たちの学年からは三大駅伝の優勝がなくて、無冠のままです。後輩たちに優勝する経験、姿を見せたいと思います。先頭で走る気持ちよさをキャプテンとしても、エースとしても、4年生としても味わわせてあげたいなと思うので、自分がそういう走りをできればいいと思います」

先頭で走る気持ちよさを味わわせてあげたい。後輩への思いもにじませる

キャプテンとして、改めていま心がけることを尋ねられると「チームが一つにまとまることが大事だと思います。今年は特に部員も多かったんですが、一人ひとりが役割を持つことを意識しました。キャプテンになって、走っている裏でサポートに回ってくれている人たちのことがより見えるようになりました。そういう選手の分も走らなきゃいけないなと思います」。競技面でも精神面でも相澤がチームの柱になっていることを感じさせた。

箱根でも、楽しんで勝つ

ライバルとして考えているのはやはり、黄金世代を擁する東海大だ。「どうしても強いですし、ベストパフォーマンスを出しても勝てるか正直分からないですけど、僕たちがミスせず1秒を削り出す走りをできれば優勝するチャンスもあると思ってます。往路は國學院も強いと言われてますけど、自分たちも往路2連覇してるので、負けない気持ちを持って走れればいいと思います」

全日本後、3年生を中心にチームの雰囲気が盛り上がってきたという

東京国際大の伊藤達彦選手(4年、浜松商)が2区で直接対決したい、と言っていましたがどう思いますか? と聞いてみると「一緒にユニバーシアードにも行って、同じ埼玉ということで対校戦をすることもあって勝ったり、負けたりしてて。4年生の中で、2区直接対決でライバルになるのは伊藤くんだと思うので、負けないようにと思ってます」と答えてくれた。

「今年はレースを楽しめている」という相澤。楽しめているから、結果も出ている。「勝てるって自信もあります。この間の出雲駅伝の3区でも、走る直前まで他の選手と話したりしてて。こういう選手たちと走れるのって楽しい、競い合える選手がいるのって楽しいなって。箱根でもそういう走りができたらいいなと思います」

学生ナンバーワンランナーがまだ経験できていない、チームでの優勝。自信を力に変えて、相澤は最後の箱根路を駆け、鉄紺の襷をつないでいく。

東洋大・定方駿 最初で最後の箱根駅伝、4年分の思いを胸に走る
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