陸上・駅伝

特集:第96回箱根駅伝

帝京大・小野寺悠 箱根では「自分がエースになる」自信と自覚の1年

取材中、小野寺には何度も笑顔が見られた。明るさと自信を感じさせた(すべて撮影・藤井みさ)

12月12日に帝京大学八王子キャンパスであった合同取材。今シーズン好調を維持している小野寺悠(はるか、3年、加藤学園)に話を聞いた。

帝京大「自分がやってやる」の気持ちで5強を崩し、箱根駅伝総合優勝を

練習を継続できていることが自信に変わった

小野寺は出雲駅伝5区で帝京大初となる区間賞を獲得。11月17日の上尾シティマラソン・ハーフ男子大学生の部で1時間2分03秒の自己ベストで日本人2位に入り、来年3月のNYCハーフマラソンの出場権も獲得した。「個人的に好調できているというのは感じてます」

小野寺は前回の箱根では5区にエントリーされ、区間16位。チームも5位から9位に順位を落として芦ノ湖のゴールテープを切った。「率直にいって悔しかった」という。「そこまではすごく調子がよかったけど、いざ走るってなったときに不安、緊張、弱気なところが出てきてしまって。チームは復路だけだったら3位だったので、僕が5位のままゴールしていれば3位以内に入れたなと思って。負けた要因になってしまいました」

夏合宿後、日本インカレで10位になったことも手ごたえのひとつだった

その悔しさから今年は、「不安、緊張、自信のなさを感じないように」をテーマに練習してきた。「練習を継続できてることによって、負ける気もしませんし、結果も出てきました」。出雲駅伝でははじめから区間賞を狙っていた。「思いきっていけ」という中野孝行監督の指示通りにいっても負けないと思え、その通りの結果を出せた。

「エースになりたい」チームを盛り上げる存在に

帝京大の練習は自由度が高い。中野監督は「自分流」を掲げ、最低限のメニューしか提示しないので、そこに加えてどれほど自分でできるかが強くなるかのカギとなる。「最低限のことしかやらなかったら強くならないと監督も言ってます。考えながら練習して、自信をつけていきました」

主将の岩佐壱成(4年、徳島科技)は小野寺について「夏合宿で前半は苦しんでいたけど、途中から顔つきが変わってきた」と言っていた。それを小野寺に伝えると「えっ! ほんとですか!? 顔つき……そんなつもりは自分的にはなかったんですけど」と言って笑った後、「でも、(3次まである)1次合宿では何かかみ合わなくて、練習にも1回しかつけなかったんです。原因が分からなかったので、各自ジョグのときとかに考えながらやってて、1次のときは走行距離は一番長かったと思います」と試行錯誤したことを教えてくれた。その後、2次合宿は全部員でやったため、「選抜に選ばれている」というプライドを感じながらやっていた、という。「でも、2次、3次では走行距離は全然他の選手に負けてますけどね」とまた笑いながら言った。

上尾シティハーフマラソンで1時間2分03秒。「1分台出したかったですけどね」

11月の上尾シティマラソンで結果を出したことも、さらなる自信につながった。「結果が自信につながると思っていたので、絶対チーム1位のタイムで走ろうと思ってました。結果的にいま、ハーフで帝京1位のタイム。このチームにはエースがいないので、『エースになろう』って思ってます。例えばレースの途中まで結果が悪くても、走ることで盛り上げられる存在。そういう選手になりたいです」

下田裕太先輩を超えたい

小野寺は中学、高校が下田裕太(青山学院大~GMOアスリーツ)と一緒。3歳離れているため同時期に在学したことはないが、意識する先輩だと言う。「下田さんのことは『あこがれ』にはしたくないんです。なんか身近すぎるし、悔しくて(笑)。『超えたい』存在ですね」

このチームでエースになる。小野寺の2回目の箱根はもうすぐだ

その下田は、3年連続8区で区間賞を獲得している。8区を走って下田選手の記録を超えたいですか? との質問には「その気持ちもありますけど、監督にはどこでも走れるようにしておけ、と言われてて、そのつもりで練習しているので。5区でリベンジということもあり得るし、春先には6区どうだ、と言われたこともありました。でも強いて言えば、アップダウンに強いので8区が一番自分に合ってるとは思います」と言いながらも「今年は本当に分からないんです。監督は選手にも(どこを走るか)教えてくれないです! 」と言ってまた笑う。

明るく自信に満ちた雰囲気を漂わせる小野寺。箱根路を快走し、チームを牽引するエースとなれるだろうか。

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