ラグビー

特集:早稲田ラグビー部SO岸岡智樹の日記

地元花園での大学選手権初戦 僕たち早稲田が1月11日に勝つには、まだ足りない

関西出身の岸岡にとって、花園は思い入れのある場所だ(すべて撮影・谷本結利)

ラグビー 第56回全国大学選手権 準々決勝

12月21日@大阪・東大阪市花園ラグビー場
早稲田大 57-14 日大

早稲田大学ラグビー蹴球部は創部101年目の今シーズン、11シーズンぶりとなる大学選手権優勝を目指しています。4years.では、早稲田の司令塔役を担うSO(スタンドオフ)の岸岡智樹(4年、東海大仰星)に、試合に臨む直前の思いや、試合中に何を考えていたのかといったことを日記の形でつづってもらいます。4回目は早稲田にとって大学選手権初戦となった12月21日の日大戦について書いてくれました。

自分たちはまだ強くない 明治が早稲田に教えてくれた

12月20日 日大戦前日

12月1日の早明戦に敗れてから約3週間、本当に悩みました。自分たちには何ができるのか、何をやらなければいけないのかを考える期間となりました。足りないものは何なのか、自分たちの強みは何なのか。その部分を改めて強化してきました。

早明戦での完敗から学んだことはとても多く、僕たちに成長するチャンスを与えてくれたと僕は思っています。今年の早稲田として何をなすべきなのかを、まずこの大学選手権の、僕たちにとっての初戦で体現する姿を見ていただけたらと思います。

また、花園という場所は関西出身の僕にとってもなじみ深い場所です。大学1年目で迎えた初めての大学選手権の思い出は、今年と同じく準々決勝で、会場も同じ花園でした。

相手は同志社大学。前半に大量リードされ、後半でなんとか巻き返しましたが、届かずに敗戦。本当に情けない試合でした。1年かけて積み上げてきたのに、前半は何もさせてもらえなかった。そんな苦い思い出が花園にはあります。高校3年生のときに花園で優勝できた思い出よりも、鮮明に覚えています。

ラグビーワールドカップでは、リニューアルされた花園での試合をテレビで見てました。「僕もあのグラウンドで試合がしたい」。そう強く思っていました。4年目、ラストイヤーとなった今年の大学選手権初戦を花園でできる喜びをかみしめ、80分プレーします。

日大戦で、早稲田は23人のメンバー全員がプレーした

12月20日 日本大学戦当日

57ー14。スコアだけ見ると快勝と受け取る方も多いのではと感じます。もちろん、8トライを決め、今年の早稲田の展開力を駆使したプレーがたくさん出たいい試合ではありました。ですが、1月11日に勝ち、大学選手権で優勝するにはまだ足りない。そう感じた試合でした。早明戦後の試合としては比較的いいプレーが多くありましたが、決して満足のいく試合ではありませんでした。

この日は早稲田大学vs日本大学のほか、流通経済大学vs天理大学、明治大学vs関西学院大学、筑波大学vs東海大学の試合がありました。ほかの3試合を見ていて、とても接戦ではありましたけど、勝った3校はやはり、後半に実力を発揮できているなという印象を持ちました。ラグビーは80分かけて戦うスポーツなので、試合中にいくらでも改善できます。接戦を勝ちきる修正力の強さを感じます。

比較的いいプレーができたという思いはある。それでも足りない

その観点で日大戦を振り返ると、前半に2トライでき、とてもいい試合の入りでした。ですが、セットプレーで苦しむ時間が長く、グラウンドにいる選手同士のコミュニケーションが少なかったように感じます。リザーブも含めた選手23人で、このノックアウト方式のトーナメントを勝ちきれたことが何よりの収穫です。

「年越し」を果たせなかった悔しさ

年越し。大学4年間を通じ、このキーワードは僕の中での大きなものとなりました。1年生のころから試合に出させていただいていて、お正月にラグビーをして過ごせる喜びは、本当に大きなものだと感じました。

高校時代はチームが強豪だったこともあり、お正月に自分が花園で試合をするのは当たり前になっていました。でも大学生になり、1、2年生のときは年越しができず、高校ラグビーを見るために花園へ行っていたのを思い出します。同時に大学ラグビーも準決勝、決勝と試合があったので、その試合もうらやましく思いながら見ていました。

昨シーズン、僕自身は大学生として初めて年越しができました。お正月にラグビーができる。この喜びを改めて感じる1年でした。今シーズンはもちろん優勝しか見ていませんが、その通過点であるこの準々決勝は、その思いも込め、勝ちにこだわることも個人的には意識していました。試合内容についてはいいところも悪いところもありますが、次につながる試合ができ、正直ホッとしています。

僕にとっての「REBORN」は「飛躍」

「REBORN」

早明戦の敗戦後、チームとして掲げたテーマです。「生まれ変わる」。そのような意味合いがあります。やはり今年の早稲田は期待できる。そう感じてもらえるプレーをしよう、強い早稲田を体現しよう、その準備をしよう、と臨んだ試合でした。

結果からも少しはそう感じていただける部分はありますが、まだまだ満足いくものではありません。生まれ変われたのかどうかは、優勝したあとにしか判断できないと思います。結果は最後についてくるものだと信じ、天理大戦に向け、いい準備をするだけです。

積み重ねたものを磨き上げた先にある飛躍。それが岸岡の思い描く「REBORN」だ

「REBORN」は「飛躍」とも意訳できると思います。チームとしてこの1年間、個人としては大学4年間積み上げたものを磨き上げていく。その先にREBORNがあると信じ、一戦必勝で頑張ります。

天理大との準決勝までは10日ほどあるので、さらにレベルアップして臨みたいと思います。こうしてまた地元花園に帰ってこられたこと。多くのファンの方が会場に足を運んでくださったこと。本当にありがとうございました。

天理大に完勝し、僕たち早稲田は自信を得た そして最後の早明戦でリベンジを