自分たちはまだ強くない 明治が早稲田に教えてくれた
ラグビー関東大学対抗戦Aグループ 第7週
12月1日@東京・秩父宮
早稲田大(6勝1敗)7-36 明治大(7勝)
明治は4年ぶり17度目の優勝
早稲田大学ラグビー蹴球部は創部101年目の今シーズン、11シーズンぶりとなる大学選手権優勝を目指しています。4years.では、早稲田のチームの司令塔役を担うSO(スタンドオフ)の岸岡智樹(4年、東海大仰星)に、試合に臨む直前の思いや、試合中に何を考えていたのかといったことを日記の形でつづってもらいます。3回目は12月1日にあった早明戦について書いてくれました。
11月30日 早明戦前日
25年ぶりの全勝対決として迎える早明戦。過去3度出場させていただいていますが、今年の早明戦は一味違う。そう感じるのは、経験からだと思います。
1年生のころは緊張から本当に何もできなかった。大事な場面で普段はしないノックオンをしてしまった。かなり印象深い試合でした。それから3年。たくさんの経験をしてきました。
これまでの早明戦を振り返ると、あまりいい思い出はありません。そして今年の明治は圧倒的に強い。そう分かりながらも、ワクワクが止まりません。例年不安の中で迎える早明戦でしたが、今年は期待からか楽しみがあります。そう感じながら1週間準備してきました。
早稲田を目指した理由は何か。その初心を思い出すのはいつも早明戦のときです。国立競技場での早明戦を見て、早稲田を目指した選手がたくさんいます。僕自身も「このチームに入りたい、入ったらおもしろいだろうな」と思っていた一人です。
決してサイズが大きいわけでもない早稲田がこれまで強かった理由。大きい相手、格上の相手に早稲田が勝ってきた理由。それをこの早明戦では示したい。
早稲田ラグビーとは何かを体現する試合。4年目だからこそ感じる思い。これまで積み上げてきたものをすべて出して挑む一戦。満員の秩父宮ラグビー場で試合ができる喜びをかみしめ、戦います。
12月1日 早明戦当日
完敗です。
本当に強かった。普通に戦い、普通に負けた。そう思います。チームとしては我慢強くアタックもディフェンスもしようと挑みましたが、明治大学さんの方が我慢強かった。ただそれだけでした。
何か一つだけ至らなかったわけではない。すべてにおいて明治大学さんが一つ上だった。その積み重ねが7-36という点差に表れたと思います。
個人として振り返ると、この試合は多くのミスをしました。前半10分までの時間は早稲田の時間でした。これまでの早稲田は試合の入りで流れをつかめず、苦戦していましたが、この試合の入りは悪くはなかったという感想です。うまくキックを使って敵陣でプレーでき、流れをつかんでいました。欲を言えばこの時間に得点がほしかった。タラレバではありますが、そう思います。
試合の主導権を渡してしまったのは、まさに僕のキックからでした。長いキックを選択したがゆえに、インゴールを割ってしまいました。このプレーが自陣に入られるきっかけとなってしまいました。
前半、僕自身もトライでき、7-10の大接戦で前半を終えました。ハーフタイムでは、早稲田として何をするのか、どうすれば勝てるのかをメンバー全員で共有し、後半に挑みました。
後半には4トライを許してしまいました。早稲田は無得点。本当に完敗でした。徐々に遠ざかっていく明治の得点。勝つためにまず、どう点差を縮めていけばよいのかをハーフ団を組む直人(SH齋藤直人、4年、桐蔭学園)と話し合っていました。ですが、早稲田に得点チャンスがくることはなく、明治に突き放されていきました。
残り15分。もう攻めよう。自分たちが攻撃的な姿勢でトライを取ろうと再確認しました。しかしトライラインを割ることができませんでした。あと5フェーズ重ねられればゲインできる。相手のDFを崩せるという感覚はありました。試合中にも、攻めたらチャンスをつくれるというイメージは全員が持っていました。それでもトライはわずか一つでした。
後半、展開を始めた早稲田は、幾度となく明治のディフェンスに阻まれました。チャンスと思ったところでノットリリースを取られてしまいました。本当に厚みがありました。
最後の大学選手権、ゼロから見直して臨む
敗戦から学ぶことはたくさんあるなと感じました。完敗だったからこそ、現状の実力差から目を背けることなく、その差を認識できたと思います。対抗戦2位という結果の元、大学選手権に挑みます。まず21日の試合(相手は日大vs京産大の勝者)まで、本当にゼロから見直します。
自分たちはまだ何も強くない。このタイミングで知ることができたのは、明治大学さんのおかげです。
また、当日は本当に多くの方に応援に来ていただき大変うれしく思います。大学選手権優勝に向け、一戦一戦成長し、頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。