大学ラグビー

早稲田、慶應、明治のラグビー部主将が集合、語りつくした(上)

ライバルでもあり、お互いを認め合う早慶明主将の3人。左から齋藤、栗原、武井

大学ラグビー界で長らくライバル関係を維持してきたのが、関東大学対抗戦に所属する「早慶明」の3校だ。大学選手権最多14度の優勝を誇る早稲田大学、1899年創部で日本のルーツ校の慶應義塾大学、そして今年1月に22シーズンぶりの大学日本一に輝いた明治大学である。4years.編集部では早稲田のSH齋藤直人(4年、桐蔭学園)、慶應のCTB栗原由太(ゆうた、同、同)、明治のHO武井日向(ひなた、同、國學院栃木)の3人のキャプテンに集まってもらい、ライバルへの思いから自分の趣味まで語りつくしてもらった。2回に分けてお届けします。

3人のインタビューを動画でも!「忘れられないあのシーン」とは?

――まず、お互いを何と呼んでるんですか?

齋藤 自分はクリと日向って呼んでます。

栗原 僕は直人と日向です。

武井 僕は直人とクリです。

――ライバル校の印象を教えて下さい。まずは慶應についてお願いします。

お互いを長く知っていることもあり、緊張しつつも和気あいあいとした雰囲気だ

武井 慶應といえば低く刺さりにくるタックルのイメージで、対抗戦ではここ2年勝ててないので嫌なチームです。

齋藤 自分は高校時代から慶應と6年間戦い続けてきて、タックルに苦しめられ続けてきました。やっぱり慶應といったらタックルですね。

栗原 慶應の伝統の一つなので、タックルと言っていただけるのは本当にうれしい。昨シーズンもディフェンスで粘れる場面があったりして、(両校を)苦しめられたのかなって思います。山中湖の合宿に限らず、日ごろからタックルの精度は一人ひとりが高めないといけないと思ってます。チームとしての一つの伝統なので、ディフェンスの練習は必ずと言っていいほど、ずっとやっています。

――早稲田のイメージはどんなものですか?

武井 早稲田はすごくボールを継続してきます。その中でBKだけでなくFWも、一人ひとりのパスのスキルがすごく高いです。僕らとしては早稲田の継続に対して、ディフェンスで我慢し続けるのが一番効果的かなと思ってます。

栗原 BKのイメージがあります。早稲田のBKは本当にスキルが高くて、スピードもフィジカルもある。早稲田のラグビーと言われたら、バックスでとりきる力や、速い展開が印象的で、僕たちも苦しめられてます。ディフェンスで僕たちが粘れるようになれれば、いい勝負ができるかなと思います。

齋藤 BKだけでなく15人全員が動き続けて走り続けるのが持ち味だと思うので、注目してほしいですね。

――明治のイメージは?

日本代表入りも期待される齋藤。主将として、実力でも人柄でもチームを引っ張る

齋藤 タレントです。タレントが努力するチームって本当に少ないと思いますけど、明治はそうだと思います。タレントの少ない中でどうやって戦っていくかを考えるのが、早稲田の伝統であると思います。部訓に「継承」という言葉があるんですけど、伝統を受け継いで、今シーズンも頭を使いながら戦いたいです。

栗原 フィジカルですね。僕は昨シーズンに試合をした後に、一番体の痛みというか次の日の疲弊を感じたのは明治戦でした。本当に積極的に体を当ててくるし、一人ひとりの強さというのをすごく感じていました。FWを中心に、すごくフィジカルで前に出てくるチームです。

武井 本当にその通りかなと感じてます。高校日本代表クラスが、毎年各ポジションに1人か2人入ってくるので、競争がすごく激しい。それが明治の強みかなと思います。フィジカルの面でも明治には外国人留学生がいないので、昨シーズンのストレングス&コンディショニングのテーマが「外国人に負けない体づくり」だったので、そういう印象を与えられてよかったし、今年もそうなれるようにやっていきたいですね。

――ほかの2校のそれぞれに関して、「ここがうらやましい」という点を教えて下さい。手元のホワイトボードに書いて下さい。武井キャプテンは早慶とも「ブランド」と書きました。

武井 ラグビーに関しては、明治もすごく伝統がありますし、ブランドもありますが、ラグビー以外の部分では「早慶」というと社会でも一目置かれる大学です。悔しいですけど、ブランド力っていうのは本当にうらやましいなと思います。

それぞれの大学についてのうらやましいポイントは、やはりあるようです

――栗原キャプテンは早明の「リクルート」がうらやましいと?

栗原 やっぱり慶應はリクルートが難しいんです。僕たちはリクルートに関して入学を確約できる制度がないのが弱みです。「慶應のラグビー部に来たい」っていう高校生は結構たくさんいるんですけど、確約はできないので、ほかの大学に行ってしまう選手が多いです。リクルートの部分はうらやましいですね。

――齋藤キャプテンは明治に関しては「リクルート」、慶應については「ファンの多さ」ですか。

齋藤 早稲田も入学を確約できないので、リクルートでは慶應と同じ状態ですよ。明治は確実に選手が入ってくるのが、すごく層の厚さにつながってるんだと思います。早稲田もOBやファンの方が応援してくださるんですけど、「早慶戦」で校歌を歌うときは慶應ファンの多さに圧倒される部分があります。

――それぞれのキャプテンの印象を書いて下さい。栗原キャプテンについては武井キャプテンが「熱い」、齋藤キャプテンが「情熱」だと。

武井 クリは熱い。本当に情熱を持ってます。見たまんまだと思います。試合中も私生活も常に100%でやる印象です。

とにかく「熱い」と評された栗原(左)

齋藤 日向も言いましたが、クリは見たまんまで、常に熱くて、とくにグラウンド内では先頭に立って体を張ります。「情熱」というイメージですね。高1から知ってますけど、プレーも私生活でも見たとおり激しくて熱い。グラウンドに立てば、厳しいことも言える。そういうところの切り替えがすごいなと思います。

栗原 僕のとりえは熱さだと思ってるので、うれしいです。

――武井キャプテンに対する印象は齋藤キャプテンが「柔軟」、栗原キャプテンが「魂」と書きました。

齋藤 言葉でもプレーでも示せるんです。U20日本代表やジュニア・ジャパンでチームメイトでしたけど、プレーで体を張るのもそうですが、発言に重みがあって、言葉でも人を動かせる。そこは日向がすごく優れてるところだと思うので、自分は見習わなきゃ、と。高校時代、No.8もやってました。器用さとフィジカルを兼ね備えていて、本当に何でもできるので「柔軟」というイメージですね。

栗原 日向とは敵としてずっとやってきて、背中で引っ張れるし、そのプレーがあるからこそ言葉にも重みがある。本当に仲間を勢いづけられる、いいキャプテンだなと僕は感じます。だからこそ日向のプレーには本当に「魂」を感じるというか、言葉にするのは難しいですが、プレーの一つひとつに、見る者が感じるものがある。誰よりも体を張ってる姿に、みんながついていきたくなるような選手なんじゃないかと思います。

よく知る2人からの評価を聞いて、少し照れる一幕も

武井 自分でも高校時代から学年関係なく、「一番体を張る」というのがポリシーだったので、そういう風に思ってくれるのはうれしいですね。

――齋藤キャプテンに関しては栗原キャプテンが「ギャップ」、武井キャプテンが「ラグビー大好き」ですね。

栗原 つきあいが長いからこその印象ですが、グラウンドで見る直人って本当にいつも声を張って、誰よりも走ってチームを鼓舞してますけど、グラウンドの外だとかわいい一面があって、後輩ともフレンドリーに接したりもできる。そういう意味で、キャップをすごく感じます。

武井 直人はラグビーが大好きです。遠征に一緒に行ったりしても、いつも海外の試合の映像を見てます。直人もクリもそうですけど、なるべくしてキャプテンになったのかなと思います。同じチームでふたりと遠征に行ったときも、常にすごいリーダーシップを発揮していていました。

後編では伝統の一戦への思いのほか、休日のリラックス法についてもうかがいました。

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