ラグビー

明大ラグビー片倉、無欲でたどり着いた「ジャパン」

あこがれの桜のジャージーに袖を通すことになった明大LO片倉 (撮影・斉藤健仁)

「ワールドラグビー パシフィック・チャレンジ2019」が3月8~16日にフィジーで開催される。今年も日本代表に準じるチームである「ジュニア・ジャパン」が参加し、それぞれサモア、フィジー、トンガの代表予備軍と対戦する。

ジュニア・ジャパンでフィジー遠征

今年のジュニア・ジャパンは、天理大のキャプテンだったHO島根一磨(4年、天理)や早稲田大のPR鶴川達彦(4年、桐蔭中等)ら、4月からトップリーガーになる選手たちも参加はするが、U20世代が中心のチームだ。その中に、「ジャパン」と名の付くチームのジャージーに初めて袖を通す男がいる。「桜のジャージーにあこがれてました」と意気込む、明大2年のLO(ロック)片倉康瑛(やすあき、明大中野)だ。

片倉は22シーズンぶりの学生王者に返り咲いた昨シーズンの明治にあって、一気に頭角を現し、その前のシーズンにレギュラーだったLOの選手を押しのけて、関東大学対抗戦から先発出場を続けた。

とくに大学選手権に入ってからは、ラインアウトのディフェンスで190cmの長身と長い手足を生かして相手にプレッシャーを与え続けた。決勝でも天理大の制空権を奪い、優勝に大きく貢献した。田中澄憲監督は「相手ラインアウトの分析は、片倉がよくやってくれた」とたたえた。

片倉は明大中野高校3年のとき、27年ぶりに花園へ出場。2回戦で負けた。同級生の多くは明大のラグビー部には入らなかったが、片倉は「先輩に強く誘われたから」と、入部した。そして昨シーズンの活躍が評価され、2月17~20日に東京都内で開催されたU20日本代表候補の強化合宿にあたる「TID(Talent IDentification)キャンプ」に初めて呼ばれた。周りにほとんど知り合いがいなかった。「友だちがいなかったので緊張しましたけど、やってみたらいつも通りにプレーできました」と言って笑った。

この合宿で存在感を示せたことで、今年からジュニア・ジャパンとU20日本代表の監督に就任した水間良武氏にも認められて、U20世代からジュニア・ジャパンのフィジー遠征メンバーに選ばれたというわけだ。

TIDキャンプで練習に励む片倉(撮影・斉藤健仁)

小島がラグビーの道に戻してくれた

幼少期の片倉は千葉の船橋ラグビークラブにいたが、小2から神奈川に引っ越すと、近くのラグビースクールのレベルがあまりにも高かったこともあり、野球に転向してしまう。外野やキャッチャーをやっていた。

明大中野中に入ると、最初はサッカーをやろうと思っていたが、現在でも明治で一緒にプレーするCTB(センター)の小島昴(2年、明大中野)に「小さいころやってたんなら、またやってみない?」と誘われて、ラグビー部に。花園に出た高校時代も「日本一なんて、考えたことなかったです」と正直に語る。

前述の通り、片倉は高校の先輩に強く誘われて大学でもラグビーを続けた。明治に入学すると同時に、現在の田中監督がヘッドコーチに就任した。田中ヘッドコーチは栄養面やトレーニング面の取り組みを一新した。片倉の体重は12kg増えて100kgに、100kgが持ち上がらなかったベンチプレスは130kgが上がるようになった。
片倉は「高校時代と意識がまったく変わりました。田中監督に鍛えられましたね。大学でもラグビーを続けてよかったです」と声を弾ませる。

6月のU20世代の世界大会の前に、片倉はジュニア・ジャパンの一員として3月8日にサモアA、12日にフィジー・ウォリアーズ、16日にトンガAと戦う。どのチームもいわば代表の予備軍であり、フィジカルが強く、身体能力の高い選手がそろっている。

世界の強豪と戦うための課題として、片倉は「ボールキャリーやスクラムの押しはまだまだなので、フィジカルをもっとつけたい。フィットネスはそのままで、あと筋肉で4~5kgつけたい」と話した。桜のエンブレムがついたジャージーを着て戦うのは初めてだ。「世界のレベルを知りたい。ラインアウトとフィットネスでアピールしていきたい」と、胸を躍らせる。

好きな言葉は「勇猛邁進」。持ち前のジャンプ力と長い手足で、相手のラインアウトにプレッシャーをかけることから、チームに貢献していきたい。友だちと先輩のおかげでラグビー人生がつながり、田中監督との出会いで大きく進化した。初の「ジャパン」での海外遠征で、また成長した片倉が見られそうだ。

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