大学ラグビー

慶應ラグビー120代目主将は熱き男、栗原由太

3月24日の謝恩祭で笑顔を見せる栗原(撮影・斉藤健仁)

日本ラグビーのルーツ校である慶應義塾大は昨年度、大学選手権準々決勝のロスタイムに早稲田大に逆転負けを喫してシーズンを終えた。すでに新チームが始動し、4年間チームを指揮した金沢篤ヘッドコーチ(41)が退任。元日本代表FBでNTTコミュニケーションズのコーチだったOBの栗原徹氏(40)が新たにヘッドコーチ(HC)に就いた。

そして、黒黄軍団120代目のキャプテンにはCTB(センター)栗原由太(ゆうた、3年、桐蔭学園)が選ばれた。高校時代はNo.8として花園での準優勝に貢献、慶應でも2年生からCTBのレギュラーとして活躍してきた。突破力が魅力の男だ。

新HCも新主将も栗原姓

今年1月、新しいリーダー陣を決めるにあたり、新4年生だけで1週間ほど話し合った。その結果、キャプテンが栗原、副キャプテンはFL川合秀和(國學院久我山)と決まった。「話し合った末の投票でした。みんなの意見を集約して選んでもらいました」と栗原。

今年度の慶應義塾大は新HCも新キャプテンもたまたま栗原姓となった。栗原HCは新キャプテンについて「自分にも厳しく、チームに対しても厳しいことを言ってくれるリーダーです。エネルギー満タンなので、いい方向に向いてくれると思います」と言えば、川合副キャプテンも「いちばん背中で引っ張ってくれる選手です。一緒に引っ張っていければいいと思います」と信頼を置いている。

「自分の位置でゲームメイクできたら面白い」と栗原(撮影・谷本結利)

慶應に負けて慶應を志望

栗原の兄大介も慶應OBであり、NTTコミュニケーションズでFL/No.8としてプレーしている。兄は15歳でラグビーを始めたが、栗原はずっと早く4歳から楕円球を追ってきた。いま上智大アメリカンフットボール部に所属する川村信濃(3年、平塚学園)の父に誘われ、神奈川の藤沢ラグビースクールに入った。

進学した藤沢市立高浜中学校にはラグビー部があり、平日は部活、土日はスクールと、ラグビー漬けだった。当初は公立高校でラグビーをするつもりだったが、中学時代に全国大会に出られなかったことで、「強いところでプレーしたい」との思いが強くなった。勧誘されたこともあって、神奈川の強豪である桐蔭学園に進んだ。

高1まではBKだったが、2年から突破力を買われてNo.8に転向。前述のとおり3年のときは花園で準優勝したが、2年のときは慶應高に神奈川県の決勝で負け、花園に出られなかった。その経験から「慶應高校の選手たちと大学で一緒にプレーしたら、逆におもしろいかも……」と考えた。慶大環境情報学部のAO入試に合格。再びBKでプレーしている。

昨年度の大学選手権準々決勝、早稲田に19-20で逆転負けし、栗原も悔し涙を流したそうだ。「もっと一つ上の代と一緒にプレーしたかったですし、もし勝っていればその後、どうなっていたか分からなかったので……」と、悔しそうに振り返った。たしかに昨年度は上位の力が拮抗(きっこう)していた。

チームへの忠誠心、犠牲心で一体になる

1学年上の代は医学部生として初のキャプテンとなったSO古田京を筆頭に、副将のLO辻雄康、FB丹治辰硯らがおり、個の力も強いチームだった。今年はコーチ陣が一新。栗原HCが「Unity(ユニティー/一体感)」というスローガンを掲げた。コーチ陣とリーダーを務める選手たちが話す時間を多くとっているという。

栗原キャプテンをはじめとした選手たちは結束力、実行力、主体性を大事にすることに決めた。「今年は、去年の代から『小さいことにこだわる』ということや『まとまりあるチームになる』ということは受け継ぎながら、全員がチームに対して忠誠心、犠牲心を持っていく集団になりたい。それが(栗原)徹さんの掲げる『ユニティー』にもつながっていくと思います」

昨シーズンはアタック面に不満が残った(撮影・谷本結利)

スター選手はいない、エースと呼べる選手もいない。個で勝てなければ、まとまりで勝負する。栗原キャプテンは「アタックではある程度形はあるんですが、常に状況が変わるので、個々の判断を重視して、スペースにボールを運びたいです。ディフェンスでは前に出ることは変わらないんですけど、単体ではなく組織で守りたい」と話した。

持ち味のアタックに不満の残った昨シーズン

身長179cm、体重90kg。CTBとしてフィジカルを前面に出した突破が武器の栗原だが、昨年は課題だったタックルに力を注ぐあまり、持ち味のアタックに関してはやや不満の残るシーズンになってしまった。そのため「今年はアタックとディフェンスをバランスよくやっていきたいです。自分にマークがくると思うので、キックを使ったり、味方を使ったり。僕が(CTBの位置から)ゲームメイクできるくらいになったら面白いんじゃないですか? 」と先を見ている。

ルーツ校の120代目のキャプテンというプレシャーは、感じていないという。先輩のキャプテンたちを見習いつつ「グラウンド内では楽しくも厳しく、オフフィールドでは誰にでも相談してもらえるように。バランスがうまくとれたらいいですね」と語る。

目指すは1999年度以来の大学日本一(撮影・斉藤健仁)

栗原の好きな言葉は不撓不屈。「どんな試合でも、何があるかわからない。最後まであきらめないでプレーしたい」と語気を強める。ラグビーに対する熱さ、熱量が長所のひとつでもある。「今年は去年と比べて、熱い選手が少ないので、僕が火付け役になれればと思ってます」。1999年度以来の大学日本一を目指し、栗原キャプテンはフィールド内外で先頭に立って走り続ける。

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