ラグビー

連載:4years.のつづき

街とラグビーを掛け合わせたい 高田晋作・1

街とラグビーを掛け合わせたい 高田晋作・1
高田さんのさわやかさは慶大時代と変わらない

大学生アスリートは4年間でさまざまな経験をする。競技に強く打ち込み、深くのめり込むほど、得られるものも多い。学生時代に名を馳(は)せた先輩たちは、4年間でどんな経験をして、どう生かしているのか。「4years.のつづき」を聞いてみよう。連載の3人目は元ラガーマンだ。慶應義塾體育會蹴球部(ラグビー部)の創部100周年にあたる1999年度、高田晋作さん(40)は主将としてチームを大学選手権優勝まで導いた。現在は三菱地所で営業職に従事しながら、慶大のコーチとして後輩を指導し、来年日本で開催されるラグビーワールドカップの魅力を伝える役目も負っている。

イケメンLOの主将

日本開催のラグビーワールドカップまで1年となった今年9月、東京駅前の丸ビルがラグビー一色に彩られた。その名も「丸の内15丁目PROJECT」。スーパーラグビーの国内チームである「サンウルブズ」のスポンサーも務める三菱地所が、ラグビーを盛り上げるために立ち上げたイベントだった。三菱地所グループはラグビーワールドカップ2019のオフィシャルスポンサーでもある。

特設サイト「丸の内15丁目PROJECT」をオープン。美術館、映画館、ビジネススクールなど街にある様々な機能とラグビーを掛け合わせて、新たなラグビーの魅力を体感できるイベントを企画。丸の内エリアを中心に、1週間にわたって展開し、好評を博した。

その会場の片隅に、191cmの長身でガッチリした体の男性がいた。一目でただものではないのが分かる。それがこのイベントの発起人の一人であり、現場責任者だった高田さんだ。慶應ラグビー部の創部100周年にあたる1999年度にキャプテンを務めた、スラリとしたイケメンLO(ロック)と言えば覚えている人も多いはずだ。

 高田ラグビー1_2
NHKから三菱地所へ

卒業後は社会人ラグビーへは進まず、NHKでディレクターの職に就いた。05年に三菱地所へ転職。クラブチームのタマリバでもプレーをした後、現在はオフィスビルの営業をしながら、同社のラグビーワールドカップ2019プロジェクト推進室にも籍を置く。母校のコーチもしている。

平日も土日もラグビー、ラグビー、またラグビー。小学3年と幼稚園の二人の息子たちには「今日はどっちのラグビー? 」と聞かれるほど、忙しい日々を送る。それでもさすがに元ラガーマンだ。「最初はワールドカップが日本で開催されるなんて信じられませんでした。そこに携われるなんて、本当にうれしいですね。会社のおかげで、スポンサーとして仕事で大会に関われて、すごく恵まれてると思います」と、声を弾ませる。

ワールドカップと街づくり

丸ビルや新丸ビルなどオフィスビルの管理や商業施設の開発で知られる三菱地所が、なぜラグビーのスポンサーになっているのか。

17年の春ごろ、高田さんを含めた三菱地所で働くラグビー関係者たちは、大会の一般的な認知度が低いことに危機感を感じていた。同時に、ワールドカップが日本12カ所で開催されることから、ビルや商業施設を基盤としていろんな“街づくり”にチャレンジしてきた同社に何かできるのでは、という話になった。

「会社のラグビー部の後輩たちと『ワールドカップと街づくりの親和性は絶対にある』って盛り上がったのが始まりでした。ワールドカップは日本ではまだあまり認知されてないですけど、世界的にはビッグイベントで、盛り上げていけば街づくりにもつながるし、人と人とのつながりや海外事業にも生きてくるはずです。社内説得やプレゼンを重ねた末に、役員や社長・会長からも『やるべきだ』と承認をもらえました」

ラグビーも街づくりも一人ではできない。ビルや商業施設は、さまざまな協力会社やテナントがあってこそ、成り立っている。「みんなで協力してスクラムを組んでいこう」というラグビー精神は、会社の事業でも街づくりをしていく上でも、プラスになる。さらに、海外にも事業展開している同社にとって、世界の3大スポーツ大会の一つであるラグビーワールドカップの持つポテンシャルは大きな魅力だった。

高田さんには「スポンサーとして企業名を売りたいというより、プラットフォームをつくって、街とラグビーとを掛け合わせて、ワールドカップの盛り上げ、街の盛り上げにつながることをどんどん仕掛けいきたい」という強い思いが根底にある。その第一弾が昨年9月の「丸の内15丁目PROJECT」だったというわけだ。

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「ラグビーワールドカップで街づくりを」と訴える高田さん

「残されてる時間が少ないのに、プロジェクトには様々な可能性があり、終わりがない。ワールドカップは12都市で開催されますし、どこまでやれるか分からないですね」と苦笑いしながらも、高田さんの日々は充実感に満ちている。社会人になってからの人とのつながり、人の縁を大事にしながら、慶應ラグビー部時代よろしく、沢山の社員とともにチーム一丸となり、ワールドカップにまっすぐ全力で向き合っている。

次回から2回にわたり、「4年間、全力投球できた」と振り返る高田さんの慶應ラグビー部時代を振り返っていきたい。

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