ラグビー

9連覇で止まった帝京大、新キャプテン本郷泰司に託された王座奪還

大学選手権の連覇が止まった1月2日の天理大戦で突破をはかる本郷(撮影・谷本結利)

王座奪還へ――。現段階で最も気合の入っているラグビー部は、間違いなく帝京大だ。昨年度の大学選手権準決勝で、関西王者の天理大に7-29で負け、連覇が9で途絶えた。長らく居座ったチャンピオンの座から陥落した。

1年生から公式戦出場

2月中旬に新チームが始動し、4月28日に開幕した関東大学春季大会Aグループで、帝京大は流通経済大と対戦した。先制されたものの、8トライを重ねて50-19で逆転勝ちし、順調なスタートを切った。2019年度の帝京大を引っ張ることになったのが、新キャプテンのCTB(センター)本郷泰司(たいじ、4年、京都成章)だ。

身長180cm、体重90kgの本郷は、タックルとボールキャリーを武器とするインサイドCTBだ。高校日本代表やジュニアジャパンなどユース世代の代表に選ばれた経験もあり、1年生からメンバー争いに絡み、公式戦に出場していた選手のひとりだ。

昨年度はけがの影響でリザーブも多かったが、大学選手権からは12番として先発出場を果たした。ただ準決勝の天理大戦で左肩を負傷してしまい、今年の1月末に手術。現在はリハビリ中だが、夏合宿のころには復帰予定で、ワールドカップイヤーのため8月末に開幕することになった関東大学対抗戦の開幕戦には、元気な姿を見せてくれるはずだ。

リハビリ中のため、4月28日の流通経済大戦は裏方に徹した(撮影・斉藤健仁)

キャプテンは4年生34人の話し合いで決まった。1年生から試合に出場し、3年生でもリーダーを務めていた本郷は「周りからやってほしいという声もありましたし、自分自身でもやりたいと思ってました」と語気を強める。

1996年からチームを率いる岩出雅之監督も「泰司しかキャプテンはいなかったんじゃないですかね。不器用なところもありますが、真摯に突き進むところが強みです。少しずつ柔軟に、視野を広げていってほしい」と期待を寄せる。

やりきる姿勢が足りなかった

本郷は10連覇を達成できなかった昨年度を振り返って「一つ上の代の選手たちと喜んで終われなくて悔しかったですけど、やりきるところが甘かったと感じています。もっと言い合いもして、厳しさを持ってできたじゃないかと……」と話した。

もちろん、目標は大学選手権優勝、つまり、王座奪還である。それを踏まえて、4年生たちが自ら立てた今年度のスローガンが「超越」だ。

「チャンピオンチームではなくなったので、挑む年です。『挑んで(目標を)超えていこう』ということで『超越』に決めました。また、日々、昨日の自分を超えていくという意味も含まれてます」と本郷。

激しいプレーが本郷の持ち味(撮影・谷本結利)

例年、新チームになったばかりの時期は練習の質がどうしても下がってしまうが、今年は「もっと質をよりよくしていこう」と、本郷キャプテンを中心にリーダーたちが引っ張っていることもあり、いい練習ができているという。本郷は「練習で細かいことまでやりきる姿勢や、私生活での態度、たとえばゴミを拾うことなんかを行動に移していくことが、ラグビーにもつながっていく」と、部員に話している。

1年生のとき出会った理想のキャプテン

本郷は父親の秀具(ひでとも)さん(49)が京都産業大、三菱自動車京都でWTBやFBとして活躍していた影響で、小2から滋賀の大津ラグビースクールで楕円球を追った。大津市立瀬田北中ラグビー部を経て、「優勝を狙える高校に」と、京都の京都成章を選んだ。花園では優勝こそできなかったが、2年生のときはベスト4、キャプテンを務めた3年生のときはベスト8に進んだ。

大学進学にあたっては「直感で、このチームでプレーすれば自分が一番成長できると思いました」と、帝京大を選択した。そして理想とするリーダーに出会う。本郷が1年生のときのキャプテンで、同部屋でもあったFL亀井亮依(りょうい、現・NEC)である。

「亀井さんは誰からも信頼されてたし、ひとこと話しただけで、みんながついていきたいと思うようなキャプテンでした。自分もみんなから信頼されて、発言するたびに人の気持ちを熱くするようなキャプテンになりたいですね」

しんどいときに、もうひと頑張り

本郷の大事にしている言葉が「One more push(ワン・モア・プッシュ)」である。帝京大のフィジカルコーチを務める加藤慶氏が、トレーニングのときによく口にする言葉だそうだが、練習にも試合にも通じるところあると感じている。「つらいとき、しんどいときに『もう一つ、もう1回』と思える精神が、勝ちにつながっていくと思ってます」

王座奪還へ帝京大を引っ張る(撮影・斉藤健仁)

本郷の持ち味はボールキャリーにしろ、タックルにしろ、激しいプレーである。「劣勢でも常にみんなを盛り上げて、逆境をはねのけて、チーム全員を勇気づけるようなプレーを続けていきたいです」。本郷が誰よりもミッドフィールドで攻守にわたって体を張り続けることが、帝京大の王座奪還につながっていくだろう。

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