早稲田だから勝たなくてはいけない早慶戦、勝ちきれたのが何よりの収穫
ラグビー関東大学対抗戦Aグループ第6週
11月23日@東京・秩父宮
早稲田大(6勝)17-10 慶應義塾大(2勝4敗)
早稲田大学ラグビー蹴球部は創部101年目の今シーズン、関東大学対抗戦Aグループの2連覇、その先に11シーズンぶりとなる大学選手権優勝を目指しています。4years.では、早稲田のチームの司令塔役を担うSO(スタンドオフ)の岸岡智樹(4年、東海大仰星)に、試合に臨む際の思いや、試合中に何を考えていたのかといったことを日記の形でつづってもらいます。2回目は11月23日にあった早慶戦に関してです。
11月22日 早慶戦前日
「早慶戦」。この言葉を聞くだけで頭をよぎることがたくさんあります。早稲田と慶應にしかない早慶戦。先輩方がつないできたこの伝統の一戦にかける思いは、言葉にできないものがあります。「早稲田だから勝たなくてはいけない。」と、これまでのキャプテンが口にしていました。
1年生のときはこの意味が100%理解できていませんでした。4年生となったいまは、その意味を身に染みて感じます。早稲田の誇りをかけて戦う一戦。僕が出場した過去3試合も大接戦でした。1点2点をめぐる攻防は本当に死闘です。実力差を感じさせない試合、4年生はとくに4年間の意地をかけて戦います。
個人として4度目の早慶戦。僕自身は期待でいっぱいです。この期待にはたくさんのことが詰まっています。4年生として出る早慶戦の雰囲気。ラグビー人気が高まったいま、満員の秩父宮ラグビー場でプレーするあの感覚。接戦の中、何が決め手となるのか。自分自身がどのようなプレーができるのか。本当に多くのことを考えます。
過去と比べて違うのは、すべてポジティブだということ。考えることがすべて前向きになってきています。経験や慣れもあるかもしれませんが、自分たちのやってきたことの自信だと思います。自信が慢心や過信に変わることのないように、十分すぎる準備をして最後の早慶戦を楽しみます!!
11月23日 早慶戦当日
7点差。僕自身が経験した早慶戦では一番点差のついた試合でした。ですが、1トライ1ゴール差。あやうく同点になるところでした。
その原因になったのは、間違いなく僕自身の判断ミスです。SNSなどでたくさんの言葉をいただきましたが、僕自身の見解としては「勘違い」です。自身の判断ミスである勘違いの原因は、レフリーとのコミュニケーションミスでした。僕自身スタンドオフとしての役割としてもレフリーとのコミュニケーションの必要性とその重要性についてはとても感じているのですが、早慶戦の最後の場面ではこの部分が欠如していました。試合中のごくわずかな時間の中での判断の重みを改めて感じました。80分をすぎてからのプレーは今年の早稲田の弱さであり、強さだという時間帯だったと思います。
ほかのプレーを振り返ると、あまりいい記憶はありません。個人的には対抗戦で9トライ目をあげることができ、結果としては決勝トライになりましたが、このプレー以外は思うように試合を進められませんでした。これまでの試合の中で自陣にいる時間が一番長い試合になっていたのではと思います。僕のエリアマネジメントにも非常に反省の残った試合になりました。試合を通して慶應義塾大学さんの激しいタックル、ブレイクダウンでのプレッシャーから、僕らの持ち味でもあるアタックができませんでした。
17点、3トライ。今年一番得点を取れなかった試合です。継続して攻められればトライが取れるというイメージはありましたが、なかなかうまくいかなかったという感想です。この部分はしっかりと反省し、次の早明戦に向けて改善しますが、慶應義塾大学さんの圧力を感じていたことが、かなり影響していました。
直人とともに日本一のハーフ団を
それでも、何より勝つことができた。下馬評は関係のない早慶戦で勝ちきれたのが、何よりの収穫だと感じています。早慶戦で勝つことの意味。これは学年が上がるにつれて深まっていきます。いまはこの勝利を前向きにとらえ、大学日本一に向けてのバネにしていきます。
4年連続で早慶戦に出させていただきました。キャプテンの直人とともに4年連続。ハーフ団として、一選手として、今年の早稲田を引っ張っているのは間違いなくこのハーフ団であり、日本一のハーフ団として評価してもらえるよう、より頑張ります。その先に大学選手権優勝があると信じて。