早稲田SH齋藤直人がサンウルブズのメンバー入り いま注目の学生SHは?
11月23日の早慶戦を勝ちきった早稲田大は開幕6連勝を飾り、12月1日、同じく全勝の明治大との大一番に挑む。早稲田を率いるキャプテンSH(スクラムハーフ)齋藤直人(4年、桐蔭学園)はこのほど、日本スーパーラグビーのサンウルブズの一次スコッドに選ばれた。齋藤は以前「本気で2019年大会の出場を目指してたので悔しい気持ちはある」と、日本代表への思いを口にしていた。彼は大学生の中で最もワールドカップに近づいた選手だった。
大学生で唯一、47人の日本代表選手に選ばれて
3年生の春、齋藤は日本代表に準じるジュニア・ジャパンで活躍し、日本代表予備軍であるNDS(ナショナルディベロップメントスコッド)に選出された。ニュージーランドでスーパーラグビーのブルーズAと対戦し、途中出場ながらトライも挙げている。この試合に出たメンバーのうち3人は、今年のワールドカップで日本代表メンバーに選ばれた。
齋藤は日本スーパーラグビーのサンウルブズの練習生にも選ばれた後、18年8月末には大学生で唯一、47人の日本代表第2次ラグビーワールドカップトレーニングスコッドにも名を連ねた。だが授業や大学の試合を優先しなければならない事情もあり、日本代表合宿に参加することはなかった。
日本代表の指揮官として23年ワールドカップも指揮することになったジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は言う。「『2023年のOne Team』の一員になりたいと思ってる若い選手も、いまから挑戦を始めることが大切です」。齋藤は近い将来、日本代表になるポテンシャルを秘めた代表格の選手の一人だ。ワールドカップ準決勝2試合もスタジアムで観戦し、大いに刺激を受けた。「いまは早稲田で日本一になることしか考えてませんけど、次のワールドカップは出場したい! 」と静かに闘志を燃やしている。
日本の大学ラグビーのSHはレベルが高い
背番号「9」を背負うSHはボールにいち早く到達して素早くさばき、スタンドオフ(SO)とともにゲームをコントロールするポジションだ。近年はパスさばきだけでなく、正確なハイパントキックのスキルも要求されている。
19年ワールドカップのSHの日本代表メンバーを見ると、田中史朗(京都産業大~キヤノンイーグルス)、流大(帝京大~サントリーサンゴリアス)、茂野海人(大東文化大~トヨタ自動車ヴェルブリッツ)と3人とも日本の大学出身だ。現在の大学ラグビーもまたSHのレベルが高く、齋藤以外にも有望な大学生選手が数多くいる。
高校時代から齋藤の同期でライバルだったのが、筑波大のSH杉山優平(4年、大阪桐蔭)だ。最終学年の今年度はキャプテンとして筑波大を引っ張っている。杉山は齋藤に関して「いつも一つ上の(代表の)カテゴリーでプレーしてるんで、むこうは(僕のことを)意識しているか分かりませんが(苦笑)」と話しつつ、「空いてるスペースを見つけて、そこを突いていくといった自分の色を追求していきたい」と先を見すえている。
他にも帝京大には、SH末拓実(4年、長崎北陽台)とSH土永雷(3年、光泉学園)といった攻撃的なSHが2人いる。また天理大にも1年生からレギュラーとなりU20日本代表やジュニア・ジャパンにも選ばれていたSH藤原忍(3年、日本航空石川)、そして大東文化大にはユニバーシアード7人制日本代表として金メダルに貢献した、スピードが武器のSH南昴伸(3年、御所実業)がいる。
昨年度の大学選手権覇者である明治には、1年生からメンバー入りし、2年生になった今年度はレギュラーとして定着したSH飯沼蓮(日川)がいる。飯沼の父親も筑波大、NECでプレーしていた名選手だった。飯沼は2年生になってからは、FWもうまく使いつつ、テンポを上げたり下げたりと落ち着いたゲーム運びができるようになってきた。日本代表やサントリーで活躍してきた元SHの田中澄憲監督も、「将来は日本代表になれる」と太鼓判を押している。
またルーキーにも、早稲田のSH小西泰聖(桐蔭学園)や専修大のSH友池瞭汰(東福岡)などと、将来有望な選手がいる。
23年ワールドカップ出場を考えると、大学だけでなくサンウルブズやトップリーグで活躍し、早い段階でジョセフHCら日本代表コーチ陣にアピールすることが、ワールドカップ出場への鍵になるだろう。