ラグビー日本代表の田村優が母校明治大でイベント参加「自分の好きなことを全力で!」
ラグビーの日本代表として先のワールドカップ5試合すべてに先発し、史上初めてのベスト8進出に貢献したSOの田村優さん(30、キヤノンイーグルス)が11月20日、母校明治大のリバティーホールで学生向けのトークイベントに参加した。ゲストとして、明治ラグビー部で田村の1学年下だった芸人の笠原ゴーフォワードさんもやってきた。
ラグビー人生で最も緊張した開幕戦
先着順ということで開演前から多くの学生が並んでおり、最終的には立ち見が出るほどで、約500人の学生が駆けつけた。大きな拍手の中、少し恥ずかしそうに、グレーのスーツで決めた田村さんが登場した。
田村さんにとって9月20日のワールドカップの開幕戦がラグビー人生で一番緊張したそうで、なかなか寝付けない日が続いたという。「2015年のワールドカップで3勝しましたけど、自国開催だけにそこが最低ラインで、それを超えるには(予選プールで)4連勝しかないと思っていました。開幕戦の相手のロシアは格下で、勝ち点5を取らないといけなかった。盛り上がるチャンスだったので、これをミスったらラグビーが注目されることは一生ないと思って……。そんなプレッシャーを感じてました」
そんな緊張を乗り越えて平常心で戦う秘訣(ひけつ)を尋ねられると、「しっかり準備することですかね。そしたら緊張しなくなる。言い訳の材料を減らしていくというか、自分で逃げ道を消していく。僕もワールドカップまで4年間、最初に代表に選ばれてから8年間、やれることは全部やって、完璧な準備をして。あとはワクワク楽しむだけ、自分自身を信じるだけでした」と答えた。
面倒なことをやって積み上げていくしかない
後輩の笠原ゴーフォワードさんが「大学時代は『ちゃんと準備して……』というような人ではなかったですね」と会場を沸かせると、田村さんは「舞台も違うし、国民のみなさんの期待もかかってますし。大学ラグビーも楽しかったですが、そこまで必死に準備してラグビーをやってなかったかもしれません」と、正直に語った。
ベスト8という大きな目標をかなえるために何をしたんですか? 「ベスト8という大枠の目標を作って、その次は1年で目標を立てて、半年、1カ月、1週間、1日と、ちょっとずつ目標をクリアしていく。大きなステップアップなんて、なかなかなくて、結局は面倒なことをやって積み重ねていくしかないと思います」と田村さん。
今年の明治ラグビー部の注目選手や見どころに関して聞かれると「注目の選手は高校の後輩でもあるキャプテンの武井(日向)選手です。慶應戦を見ましたが、(チームとして)まだまだ力があるはずなので、もっといいラグビーができると思います。(12月1日の)明早戦は僕も見に行きます!」と、後輩の活躍に期待を寄せた。
ラグビーは40歳までやります
2023年のワールドカップも目指すのかどうかという質問には「ノーコメントで!」。そのあと田村さんはこう語った。
「ラグビーは40歳までやります。毎年、ハイパフォーマンスするつもりです。今シーズンはキヤンンでトップリーグをプレーしますが、新しいチャレンジもするつもりです。好きなところで気の向くままに大好きなラグビーがしたい。とくにワールドカップのこと考えてはないですけど、(今後も)ラグビー選手であることは間違いないですし、8年前に日本代表に選ばれたときに、2019年に日本でワールドカップがあるのは決まってました。そこまではいろんなこと犠牲にしてハイパフォーマンスすると決めていたので、一区切りはついたと思います。僕が入ったときより、いまの日本代表の方がいいという状態で終わらせられた意識はあるので、任務は完了したと思ってます」
最後に田村選手は明治の後輩たちに向けてエールを送った。
「自分の好きなことを仕事にしましょう。好きなことだったら、全力ですべてを犠牲にしてできる。全力で自分の好きなことをやってほしいです」