大学ラグビー

東海大ラグビー、5-21からの逆転勝ちでV確実に 流れを変えたのは小兵HO前本健太

この一戦に向けた練習で両目の上を切っていた東海大の前本(左、すべて撮影・斉藤健仁)

ラグビー関東大学リーグ戦1部 第6週

11月16日@東京・秩父宮
東海大(6勝)26-21 流通経済大(4勝2敗)

関東対抗リーグ戦1部の事実上の優勝決定戦である東海大と流通経済大の一戦があった。開幕5連勝中の東海大「シーゲイルズ」は、この試合に勝てば優勝を確実なものとする。流通経済大にとっても、勝てば優勝の可能性が残るという大一番だった。

流経大戦の後半から登場、モールからトライ

けがの影響でSO眞野泰地(4年、東海大仰星)やNo.8ノア・トビオ(2年、札幌山の手)らを欠いた東海大は、試合開始早々からボールを広く動かす流通経済大に前半2分、7分に連続トライを許した。何とか1トライは返したが、東海大は前半を終えて5-21と大きくリードされてしまった。

ハーフタイム、東海大の木村季由監督は動く。後半の頭から、ルーキーでフィジー出身のFLレキマ・ナサミラと、HO前本健太(4年、荒尾)の2人を後半の頭から投入する。前本はユース代表で実績のある先発のHO新井望友(4年、深谷)に替えての起用だった。

前本は後半開始と同時に送り出された

過去5試合は後半の後半に起用していた前本を後半の最初から投入した理由について、木村監督は「あのスコアだったので、後半の立ち上がりで主導権を握りたかった。それに前半はスクラムもしっくりきてなかったので、馬力のある選手がほしかったんです」と語った。

前本はこの試合までの激しい練習で両目の上をカットしており、腫れがあるためテーピングを巻いていた。練習から本気で準備してきたことがうかがえた。

ワールドカップの日本代表として先発で5試合に出場したSH流大と同じ熊本・荒尾高校出身。「(ワールドカップは)大きな刺激になりました。流先輩のように周りに影響を与える選手になりたいです」と話す前本は、自分の役割を十分に分かっていた。

「自分が(途中から)入ったときは、流れを変える選手になろうと思ってます。激しいコンタクトが自分の持ち味です。監督から『後半(頭から)いくぞ』と言われて、それを生かそうと思ってました」

監督の期待に応えて、前本は後半11分にモールから抜け出してトライ。その後もスクラム、ラインアウト、モールと東海大FWの強みを出すプレーで貢献した。東海大は19-21で迎えたロスタイムにモールからFLナサミラがトライを挙げ、26-21と逆転勝利。これで東海大は最終戦を棄権しない限り、2年連続9度目のリーグ戦優勝を手にすることになった。

前本は最前列の真ん中で、低さを生かす

今日の試合ではベンチ外だった眞野キャプテンは「マエケン(前本の愛称)は体の使い方がうまいんです。期待以上のプレーでした」 とたたえた。チームのFWの中では2番目に小さい身長168cmの前本自身も「今日は試合の流れを変えられたと思います」と誇らしげに言った。

努力重ねて控えに定着、低さで勝負

小6まではバドミントンをしていた前本は、ラグビー部に入っていた兄の影響で、熊本県玉名市の市立玉名中学校に入ると同時に競技を始めた。中学時代はLO、荒尾高時代はバックロー(FL、No.8の総称)だった。花園には高2、高3のときに出場したが、ともに1回戦負けに終わった。

東海大に進学後は体が小さいこともあり、HOに転向した。有力選手がそろう東海大で、前本はなかなか出場機会を得られなかった。大学3年生ときのリーグ戦で、HOの選手のけがが重なったときにやっと交代で2試合出場しただけだった。それでも努力を積み重ねてきた前本は今年になって控えの17番に定着し、大一番で輝きを見せたというわけだ。

努力が実りつつあるラストイヤー、ただ駆け抜ける

4年生になって新井と先発を争えるようになった前本は、自分の長所を「スクラムもモールも低くいけます。低いタックルで相手側に押し返すタックルができることが長所だと思っています」と語った。そして「(今日は)もっとディフェンスは激しくいけたかな」と、課題も口にした。

前本は言う。「4年生はみんなが仲よくて、なんでも言い合える関係です。4年生が率先してキツいことをやって、声をかけていきたいです」。4年生としての自覚は十分で、東海大が悲願の初優勝を目指す大学選手権を見すえている。

好きな言葉は荒尾高の徳井清明監督から色紙に書いてもらった「七転び八起き」だ。このリーグ戦は6試合すべてベンチからのスタートだが、「先発したら試合をつくるようなプレーがしたい」と前本。ともちろん常に2番の座を狙っている。