大学ラグビー

特集:早稲田ラグビー部SO岸岡智樹の日記

天理大に完勝し、僕たち早稲田は自信を得た そして最後の早明戦でリベンジを

準決勝の天理戦で、点差うんぬんでない自信が得られた(すべて撮影・谷本結利)

ラグビー 第56回全国大学選手権 準決勝

1月2日@東京・秩父宮
早稲田大 52-14 天理大

早稲田大学ラグビー蹴球部は創部101年目の今シーズン、11シーズンぶりとなる大学選手権優勝を目指しています。4years.では、早稲田の司令塔役を担うSO(スタンドオフ)の岸岡智樹(4年、東海大仰星)に、試合に臨む直前の思いや、試合中に何を考えていたのかといったことを日記の形でつづってもらっています。5回目は1月2日にあった大学選手権準決勝の天理大戦、そして11日に迎える決勝の明治大戦についても書いてくれました。

地元花園での大学選手権初戦 僕たち早稲田が1月11日に勝つには、まだ足りない

1月1日 天理大戦前日

準決勝。昨シーズン早稲田が大学選手権で負けた試合です。リベンジの意味も込め、挑むこの天理大戦。1月2日に負けたあの悔しさ。4年生として臨む2度目の年越し。この大学4年間の集大成を、この1試合に詰め込みます。

本当にたくさんの分析をし、相手を研究して挑みますが、勝敗を分けるのは心の勝負だと思います。戦略・戦術は両チームとも練ってきます。もちろん、はまるかはまらないかは分かりません。本当に大切なのは基本の徹底でしょう。

このベスト4という舞台で、どれだけ細部にこだわれるか、自分たちのラグビーを完遂できるか。最後にどちらがより強く勝ちたいと思うか、の勝負になるでしょう。1点でも上回ればいいノックアウト形式の試合で、どんなゲーム運びをしなければいけないのかは、SOとしての僕自身の役割です。1月11日の新国立競技場での決勝進出をつかむために、いまできる最大の準備をして臨みます。

1月2日 天理大戦当日

52-14。この数字はとても自信になります。昨年度のチームを超えようと臨んだ試合でもある準決勝で、点差だけ見れば完勝できました。そして点差どうこうではない自信を、この試合では得られたと思います。

部分部分を細かく見ていくと、まだまだ至らない点が多いですが、試合の80分を通して早稲田が支配する時間が圧倒的に多かったです。SOとして、ゲームメイクという観点で振り返ると、かなり出来のいい試合だったと思います。

昨シーズンの早稲田を超えるため、徹底的に準備を重ねて準決勝に臨んだ

ラインアウトが試合を分けた

試合の分け目はラインアウトだったでしょう。とくにDF(ディフェンス)。天理大学さんに試合の流れを譲らなかった。ラインアウトのDFは試合を勢いづけるプレーにはできませんが、相手の勢いを封じる得策だということがこの試合で分かると思います。逆にラインアウトからの攻撃は、とても大切な攻撃手段だということが改めて分かりました。

どのチームであっても試合前には相手を分析すると思います。もちろん、早稲田もこの天理大戦に向けてかなり分析しました。FWはとくに、ラインアウトを分析していました。

試合を振り返れば「天理はラインアウトで苦戦してるな」という印象を持たれた方が多くいると思いますが、完全にスティールしたラインアウトは、ほとんどありません。ですが、そのこぼれたボール、イーブンボールのほとんどを早稲田が獲得できました。そこが肝だったと思います。ミスボールがどちらの手に転がるか。これがラグビーにおいてはとても大切になります。準決勝はラグビーの女神が早稲田に微笑んだと思います。

プロップの久保との約束

試合を決定づけたのは、後半12分のPR(プロップ)久保のトライでした。天理大ボールのキックオフから自陣に入られ、後半の入りとしてはよくない展開でした。ですが、自陣でのラインアウトを2本奪い、敵陣へ入れました。マイボールスクラムから自慢の展開を仕掛け、結果的にPR久保が大学で初のトライをとりました。

去年のラグビーワールドカップの日本―スコットランドの試合で、PR稲垣啓太選手のトライをほうふつとさせるような、久保(優・すぐる、3年、筑紫)のトライでした。あまりランが得意でないPRの選手があのコースに走り込み、ボールを受けてトライまで突き抜けられたのは、本当に素晴らしかったです。ラグビーにおいて、PRの選手のトライはチームに勢いをもたらします。あのようなトライができると、チームはさらに加速していきます。

久保が大学でトライをとったことがないのも知ってました。だから「いつか俺のパスでトライをとらせる」と約束していたので、この準決勝という舞台で約束を果たせて、とてもうれしい瞬間でした。

後半28分、モールからのトライで決まった

その後のキックオフでノットリリース・ザ・ボールの反則をし、1トライ返されてしまいます。ただそれから相良(昌彦、1年、早稲田実業)が1トライをとり、点差に変化はありませんでした。そしてこの試合の勝負を決定づけたのが、後半28分のラインアウトモールでのトライでした。

早稲田のFWたちは「モールで押し切るんだ」と背中で語ってくれた

前半劣勢だったスクラムを修正し、スクラムペナルティーをもらったところから始まりました。ペナルティーを得た僕たちとしては、ショットで3点を狙うということも選択肢としてはありましたが、タッチへ蹴り出し、トライをとりにいきました。

タッチキックを狙う僕としては、ゴール前5mでラインアウトができるように蹴り出したかったのですが、結果的には7~8mほどのところになってしまいました。このとき、ラインアウトでのモールトライは難しいかもしれない、という考えが頭をよぎりました。それでもFWの選手たちは「ナイス」と声をかけてくれ、モールで押しきるんだと背中で語り、ラインアウトの配置につきました。そして見事トライをとりきったのです。僕は思わず、この試合でいちばんのガッツポーズをしていました。

天理大学さんも同じラインアウトモールからのトライは、強みとしてあったと思います。相手の得意プレーでトライできました。間違いなく勝利を決定づけたプレーでしょう。

今度こそ、明治に必ず勝つ

1月11日の大学選手権決勝。この日を4年間目指してきました。4年目というラストイヤーでやっと、この決勝への切符を自らの手でつかめました。1年生のころから試合に出させていただき、本当に多くの経験を積ませていただきました。おそらくいまの早稲田の現役メンバーの中で、いちばん試合に出させていただいているのが僕だと思います。

泣いても笑っても、次の早明戦が最後

早稲田のスタンドとして試合ができるのは、どれだけ願ってもあと1回です。早稲田としては長らく遠ざかっている大学選手権優勝を、あと一つでなしとげられます。関東大学対抗戦の早明戦で完敗し、「REBORN」をテーマに掲げて大学選手権へ再スタート。ついに決勝までやってきました。決勝での相手はいちど敗れた明治です。この決勝を新国立競技場でできること、そしてリベンジできる環境を、本当に幸せに思います。必ず勝ちます。

これまでたくさんの方に支えていただき、多くのコメントをいただいてきました。本当にありがとうございます。大学生としての最後の試合、どうか応援よろしくお願いいたします。

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