フィギュアスケート

羽生結弦さんが演じた「封印してきたプログラム」 宇野、坂本ら共演

アイスショーで演技をする羽生結弦(撮影・柴田悠貴)

 フィギュアスケートのアイスショー「スターズ・オン・アイス」が30日、大阪府門真市で開幕し、ソチ、平昌両五輪を連覇し、昨年プロに転向した羽生結弦さんや世界選手権で連覇を果たした宇野昌磨(トヨタ自動車)、坂本花織(シスメックス)、同選手権のペアで初優勝した三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)らが出演した。

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 羽生さんは2014~15年シーズンのフリー曲「オペラ座の怪人」を熱演。4回転―3回転の連続トーループなど華麗なジャンプを次々に決め、観客は総立ちになって拍手を送った。

 演技後、羽生さんは「このプログラムは自分が病気やけがにすごく苦しんだシーズンのプログラム。ある意味封印してきた」と説明。2月に行われた東京ドームでの単独公演「GIFT」で久しぶりに滑り、「完成させたものを皆さんにお届けしたいと考え、このプログラムを滑ることにした」と明かした。

 世界選手権を連覇した宇野は「グレート・スピリット」を力強く演じ、「応援してくれている方のために演技したいと思って、全力で滑らせて頂いた」と語った。

 羽生さんと久々の共演になったことについて、「今回、久々にゆづ君(羽生さん)と一緒に滑らせてもらい、自分もこういうスケーターになりたいと思うことばかりだった。目標とできる存在が近くにいるので、この期間は、自分が今後どうしたらいいかを考えていきたい」と語った。

 大阪公演は4月1日まで。4月3~5日は岩手・奥州公演、4月6~9日は横浜公演が行われる。

 演技後の羽生さんと報道陣との主なやりとりは次の通り。

 ――スターズ・オン・アイスの初日公演を終えた感想を教えてください。

 「スターズ・オン・アイスは競技アマチュア、プロスケーターがともに集まりながら、全力でプログラムのテーマをみなさんに伝えようと思っているショーです。一人一人のプログラムにいろんな思いがこもっている。僕もプロの一員として、スターズのメンバーの一員として、精いっぱいお届けできればと思って、久しぶりにスターズ・オン・アイスで滑らせて頂きました」

 ――2月、3月と大きなショーを終えた後ですが、コンディションはいかがでしょうか。

 「自分は(2月の)ドーム(公演)が終わって、3月もすごく意味の深いショーを全力で全神経を注いでやったので。ちょっとおいしいものとか、チョコパイとか甘いものを久しぶりに食べました。体調自体はベストとは思わないですが、しっかり全力で、すべての演技に全神経を注いで頑張りたいと思います」

 ――プログラムに込めた思いを教えてください。

 「『オペラ座の怪人』というプログラムは2014~15年シーズンにやっていて、中国杯での衝突の事故とか自分が病気やけがにすごく苦しんだシーズンのプログラムでした。長い期間、自分でこれはもう滑らないと思ってある意味封印してきたプログラムです」

 「ドーム公演であれ以来、初めて滑らせてもらった後に、このプログラムを完成させたものを、もっと体力のある状態でしっかり滑りきれる状態で皆さんにお届けしたいと考えて、このプログラムを滑ることにしました。スターズ・オン・アイスでは、衝突事故の後すぐに、この会場で滑っています。あの時は事故の影響も少なからずあってうまく滑れなかった。そういった意味でも、この会場でいい演技ができたらいいなという意味も込めて滑っています」

=朝日新聞デジタル2023年03月30日掲載

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