フィギュアスケート

同志社大・中村俊介 ジュニアGPファイナル表彰台へ「ジャンプの安定感を出したい」

ジュニアGPファイナル進出を狙う同志社大学の中村俊介(すべて撮影・浅野有美)

2024-25年シーズンのジュニアグランプリ(GP)シリーズが8月末に開幕した。同志社大学1年の中村俊介(木下アカデミー、中京大中京)は第1戦のラトビア大会で3位に入り、好スタートを切った。今シーズンは、GPシリーズをジュニアで、国内大会をシニアで戦い、実力アップを図る。

今シーズンはジュニアとシニアで戦う

中村は名古屋市出身、愛称は「しゅんしゅん」。地元の中京大中京高校に在籍しながら、京都を拠点とする木下アカデミーに所属し、全国高校総体(インターハイ)で3年連続2位に入った。全日本選手権にも2020年から4年連続で出場している。

昨シーズンは全日本ジュニア選手権を初制覇し、世界ジュニア選手権に初出場。だが総合4位と惜しくも表彰台を逃し、悔しさが残った。

大会に向けてこれまで以上に根詰めて練習に励んだが、「練習すればするほど試合で結果を出したいと思ってしまった」と反省する。「試合で緊張してしまい、SPもフリーも普段しないところでミスしてしまって。緊張にまだ対応できていない自分がいたので、もっともっと自信をつけて練習して本番に臨みたいと思いました」と振り返った。

4回転ジャンプを安定させて全日本選手権で上位を目指す

今シーズンはジュニアGPシリーズにエントリーしているが、シニアに上がる来シーズンを見据え、国内大会はシニアで参戦し、実力アップを図る。

「まずはフリーをミスなく演技することが目標。4回転とトリプルアクセル(3回転半)ジャンプの安定感を出したい。緊張してもミスしないジャンプまで精度を上げたい」と話す。

得点源となる4回転については、トーループとサルコーの2種類を習得し、ルッツにも挑戦している。

ジャンプの精度を上げるため、世界王者のイリア・マリニン(米国)や、三浦佳生(かお、オリエンタルバイオ/目黒日大高)や佐藤駿(エームサービス/明治大学)らの跳び方を参考にしているという。「佳生はパワーとスピード、駿は真上に上がって回転する。フォームも参考になるところがたくさんあります。トーループはマニリン、サルコーは佳生やたっちゃん(壷井達也)、ルッツは駿ですね」

現在プログラムに入れているトーループが安定すれば、サルコーも構成に入れたいと考えている。

同志社大学に進学、目標は“友野先輩”

今春、同志社大学商学部に進学した。「コーチの濱田美栄先生が商学部出身だったのと、ビジネスに興味があったので選びました」

京都市の今出川キャンパスから、宇治市のリンクまで片道約1時間かけて通う。同じ商学部出身の森口澄士(すみただ、木下アカデミー)に履修の組み方や課題の取り組み方を相談。春学期が終わり、競技とのバランスの取り方はつかめてきたという。これから受けたい講義として、ファイナンシャルプランナーや簿記に関心を持っている。

目標にしているのは、21年に同志社大を卒業した友野一希(上野芝スケートクラブ)だ。「大学を4年で卒業され、スケートも結果を出している」と尊敬する。

8月に滋賀県で開かれたサマーカップでは、その「友野先輩」とともに表彰台に上がった。

中村はフリーの後半でトリプルアクセルからの連続ジャンプを決めるなど、SP4位からフリー1位と追い上げ、総合3位に食い込んだ。

「だいぶ安定して後半のジャンプを決められるようになったのが、収穫だと思います。気持ちを切り替えてジャンプ一つひとつ確認しながらできたのはよかったです。ただ、もう少し調子を上げないといけない。トリプルアクセルも自信をもってSPもフリーも臨みたいですし、4回転ももう少し確率を上げて1本から2本にしていきたい」

8月のサマーカップで中村(右)は、大学の先輩である友野一希(中央)とともに表彰台に上がった

以前は演技序盤のジャンプでミスが出ると後半で崩れることが多かったが、立て直せるようになってきた。「普段からジャンプ一つひとつの失敗のシチュエーションを考えるようにしていています。一つ目を失敗しても二つ目からどういう気持ちで切り替えていくかを考えて練習できるようになったので、結果につながっているのかなと思います」と、成長を実感している。

ジュニアGPファイナルで表彰台に

今シーズンの目標はジュニアGPファイナルの表彰台。2年前に初出場したときは4位でメダルまであと1歩だった。全日本選手権でも上位を目指す。

シニア男子は、鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大学)を筆頭に世界レベルの選手がひしめき合う。「本当に(上位が)詰まっているんで(笑)。難しいですけど頑張りたいですね。世界で戦おうと思ったら追いつかなきゃいけない。(国内トップ選手は)本当にすごい。ただ、何がすごいかはもう見えているので、自分も行ける領域ではあるのかなとは思っています」

今シーズンのSPはケイトリン・ウィーバー振付の「Everybody」、フリーは村元哉中(かな)振付の「Io Ci Sarò(イオ・チ・サロ)」で挑む。「まずはジュニアグランプリファイナルにいけるように。全日本選手権で自分のベストを出してなるべく高い順位で結果を残すことです」と力強い。

ジュニアの舞台で結果を残し、来シーズンにつなげる

8月末、ジュニアGPシリーズ初戦のラトビア大会に出場した。SPで5位発進すると、フリーでは4回転トーループに挑戦し、トリプルアクセル-トリプルトーループの連続ジャンプを決めるなど巻き返し、SPとの合計212.73点で総合3位と表彰台に乗った。

「ジュニアGPでしっかり自分の納得いく演技をして、いい結果を出してファイナルにつなげたい」と意気込んでいた中村。まずは初戦で好スタートを切った。次戦のトルコ大会で表彰台に上がれば、12月にフランスで開催されるファイナル進出が濃厚になる。オリンピックシーズンとなる来シーズンに向けて着実にレベルアップを図っていく。

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