ラグビー

関大SH木下、思い出の地で涙

後半ロスタイムにトライを奪った関大SH木下

関西大学A-Bリーグ入れ替え戦

12月9日@京都・宝が池球技場
摂南大(B1位)31-29 関西大(A8位)

来年、摂南は2年ぶりの復帰、関大は5年ぶりの降格

関大にとって、Aリーグ残留にかけて落とせないゲームだった。だが、降格。屈辱の結果でシーズンが終わった。

摂南大はCTB、NO.8に高い突破力を持つ外国人選手がいる、侮れない相手だ。それでもAリーグの関大にとって、残留の条件は引き分け以上。必ずしも不利な状況ではなかった。キックオフのホイッスルが吹かれた正午。この日は普段のリーグ戦とは違って学歌斉唱が省かれ、幾分焦るようにゲームが始められた。先制点は関大が挙げ、勝利への流れを手繰り寄せたように思えたが、その後は摂南大の外国人CTBに翻弄(ほんろう)され、あと2点が届かず敗北となった。

関大の主将でHOの西

一番忘れられない試合に

「申し訳ない」。SH木下皓太(4年、天理)の口からこんな言葉がこぼれた。副将として、素早く的確なパス回しなどプレー面でチームを引っ張ってきた。また今年のニュージーランド学生代表戦にも、関西代表チームの一員として参戦した。貴重な経験を積んだが、チームとしては不調のままシーズンが終わった。「今回の入替戦は4年間で一番忘れられない試合だと思います」。木下は学生最後のゲームをかみしめた。

この日の会場は宝が池球技場。奇しくも木下にとってだ円球と出会った場所だった。「家がこの周辺で、ここ(球技場)からよく声が聞こえてきたんです」。小学生の木下は響き渡る声に興味を持ち、父親に球技場に連れって行ってもらった。「そこでラグビーやってるのを見て、それが始めるきっかけになりました」。中学からラグビー部に入り、高校は強豪の天理。「ラグビーで食べていけるとは思ってなくて、将来のためにもできるだけ偏差値の高い大学に行きたかった。関大はいわゆる関関同立の一角だったから、選びました」と、関大への入学理由を語った。

ロスタイムに見せた意地

学生最後の試合。木下の出場は後半からだった。キックオフ時からピッチを駆けたSH吉田義弘(3年、常翔学園高)からバトンを受けると、攻撃の流れを変えた。正確にパスを回し、チャンスを演出した。セットプレーになるとすかさずボールを回し、攻撃の流れを整える上では欠かせない存在。一時は摂南大の攻撃に陰りが見え、関大に逆転のチャンスが巡ってくるものの、相手のCTBデビタ・タイやSOツイドラキ・ヴィリアミに抜かれ、失点。再び点差が開いた状態でロスタイムを迎えた。

前半、西がトライ

だが、後半43分。気持ちが木下を突き動かした。ゴール手前で摂南大のハイタックルによりラインアウトに。ボールを奪うと、モールを形成。木下がボールを抱え込み、そのままインゴールへとダッシュする。後ろから摂南大の選手がタックルしようとするが、木下はだ円球を地面に叩きつけ、トライ。なんとか4点差まで縮まったものの、ノーサイドはすぐそこ。もう試合をひっくり返すのは不可能だった。「最後の意地だった」と木下。学生最後の試合、次世代のために少しでも爪あとが残せるよう、副将は必死だった。そして、FB工藤広和(1年、東福岡)がコンバージョンゴールを決めて2点差にしたが、ノーサイド。Aリーグ昇格を喜ぶ摂南大を横目に、木下は両手で目を覆った。涙が関大の選手たちのほほを濡らした。

Aリーグ残留はかなわなかったが、最後の最後までどん欲さを失わずにプレーし続けた木下。小柄なはずのその姿はこの日、ひときわ大きく見えた。意地で奪い取った最後のトライ。その5点の意味は、次世代へと必ずつながるだろう。関大は来年、絶対にAリーグの舞台に舞い戻る。

1勝もできず、関大の2018年シーズンが終わった

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