早大卓球のエース・笹尾明日香 「絶対に負けない」気持ちで挑むリーグ戦
8月25日に卓球の2019年度秋季関東学生リーグ戦が開幕しました。男子の春季1部リーグでは明治大が4シーズン連続の全勝優勝。女子は早稲田大が中央大を振り切って、4シーズン連続8度目の優勝を飾りました。4years.では9月4日から始まる秋の1部リーグ注目選手を紹介します。3回目は5季連続リーグ戦優勝を目指す早稲田大学からTリーグ参戦も表明した若きエース、笹尾明日香(2年、横浜隼人)です。
自信を持って臨んだ大会で逆転負け
笹尾は2年生ながら早稲田大学ではエース格。これまで出場した3度のリーグ戦でシングルス14勝3敗と好成績を残している。「リーグ戦はチームとして最も大事な大会。これまで3回のリーグ戦に一番力を注いできましたが、3回とも優勝することができているのはすごく自信と誇りになっています」
「大学入学以来の勝率は高い」と手応えを掴んでいた笹尾は、8月22日、23日に早稲田大学Aのメンバーとして関東学生卓球チームカップに臨んだ。優勝候補と呼ばれたチームだったが、準決勝で中央大学Bにストレートで敗戦。笹尾は2番手で登場し、山本笙子(中大)にゲームカウント2-3と逆転負けを喫した。
「今日は全体的にあまり良くなかったです。私が勝たなければいけないところで勝ち切れなくて、チームとして悔しい思いを全員がしてしまって、申し訳なかったです。これまで逆転負けはあまり経験がないです。いつもだったら勢いで押し切れたかな」。笹尾にとっては悔しい負け方だった。
団体戦は「絶対に負けない」気持ちで
「試合をすることは好き」と話す笹尾の、団体戦にかける思いは強い。「団体戦は責任を感じながらやっています。1年生の時からチームが良い方向になるように、『絶対に負けない』という気持ちでやってきました」
その気持ちが特に伝わった試合がある。今年の春季リーグ戦最終戦で顔を合わせた中大との試合だ。早大と中大は、長年ライバル関係を築き、さまざまな大会でいつも優勝を争ってきた。笹尾も「中大戦が最大の決戦になると思うので、そこに照準を合わせて死ぬ気でやっています」と意欲を示していた。
春季リーグ最終戦にあたり、早大は青学大に敗れて1敗だったことに対して、中大は全勝だった。早大が優勝するためには、得失点差の決着も踏まえて圧倒的な成績で中大に勝利する必要があった。
結果、4-0のストレートで勝利を収め、中大を抜いて4季連続リーグ戦優勝を果たした。「1番から4番で取りに行く強気のオーダーで勝負をかけていたので『絶対負けない』と思って試合に臨んでいました」と気持ちを全面に出し切った優勝だった。
バックハンドをスパイスにして得点につなげる
笹尾の試合を見たことがあれば、笹尾の持ち味は「サーブから3球目の強烈なフォアハンドでの勝負」と思うかもしれない。だが、笹尾にプレースタイルについて聞くと「サーブとバックハンドの変化でチャンスを作って、フォアハンドで決める」という答えが返ってきた。「バックハンド」という言葉には驚きを持った。
「バックで攻めるよりはフォアで積極的に取っていく感じにはなりますね。でも全部フォアでいけるわけではない。バックで得点ができないからこそチャンスメイクという位置に置いているというのはあります」。笹尾にとってはバックハンドも重要なスパイスになっている。
「中学でフォアハンドを強化してフォアハンド主体の卓球にして、高校になってからそれだけではいけないと思って。バックも後から付いてきた感じです」。そして、大学入学から強化できた部分として「サーブとゲームメイクの仕方」を挙げる。「サーブの種類が増えたことは大きいです。ゲームメイクについては、相手がどこに打ってくるかという予測を以前よりはできるようになって、相手をコントロールすることも少しできるようになりました」
強烈なフォアハンドだけでなく、バックハンドやサーブも加えたゲームメイクで成長を遂げているようだ。
Tリーグ参戦から世界へ
笹尾は大学のリーグ戦などと並行して、8月末に開幕したTリーグにトップおとめピンポンズ名古屋の一員として参戦する。「直前合流ということもあって、ぶっつけ本番に近いのですごく怖いです。プロだから結果が全てという風に見られてしまうので、腹をくくって死ぬ気でやるしかないですね」
ここでも「絶対負けない」という気持ちで臨む笹尾。いまの課題をたずねると、学生生活と並行して忙しくなることを踏まえて「体調管理」を挙げた。
「出場する大会に合わせて調子を整えていかないといけないと思ってます。バランスよく戦況に合わせて『変幻自在』というか、分析しながら弱点を克服してさまざまな試合状況に応じて勝てるようにしたいです」
これから大学のリーグ戦、Tリーグ、ワールドツアーと連戦になる笹尾は、コミュニケーション向上を図るために外国語の勉強にも取り組んでいる。「英語は日常生活のレベルで会話ができます。中国語は一年間授業を通じて勉強して、韓国語にも取り組んでいます。中国や韓国で雰囲気だけ感じるとか交流もしたいし、中国語が話せる卓球選手になりたいなと思います」
プレー面で磨きたいところは? 「相手から先に攻められた時にどうするか。自分から攻めるのは得意だけど、守る場面になった時の状況判断ですね」。自分の得意な形でない時の対処を身につければ、自ずと実力は上がっていくだろう。
「絶対に自分が勝つ、絶対に負けない」という強い気持ちを支えに、笹尾はまず早大5季連続優勝に貢献し、その後はTリーグやワールドツアーで勝利を重ねていく青写真を描いている。成長を遂げれば、1年後には日本女子卓球界を騒がせる存在になるかもしれない。