卓球

明大卓球のエース・龍崎東寅 チームを引っ張り、5シーズン連覇なるか

春リーグ全勝と圧巻の強さをみせつけた龍崎(すべて撮影・マンティー・チダ)

8月25日に卓球の2019年度秋季関東学生リーグ戦が開幕しました。男子の春季1部リーグでは明治大が4シーズン連続の全勝優勝。秋の1部リーグは9月4日から始まります。4years.では男女1部の注目の選手を紹介します。1回目は男子で春の明大全勝優勝の立役者となった龍崎東寅(とんいん、3年、帝京)です。

名実ともに明大のエースに

龍崎はこの春のリーグ戦、団体戦でシングルス、ダブルスに2試合ずつ出場し、すべてで勝利を手にした。圧巻とはまさにこのことだ。

新潟の新発田ジュニアで、中国プロコーチの経歴を持つ父親の指導を受けて頭角を現した。日本オリンピック委員会(JOC)が設立したエリートアカデミーの門をたたき、エリート街道をまっしぐら。2016年11月にあった世界ジュニア選手権では、張本智和とダブルスを組み、準優勝。この世代では張本とともに中心人物と言っていい。龍崎は帝京高校を経て、水谷隼や丹羽孝希らも巣立った強豪・明大に進んだ。

得意のラリー勝負を決め、東京選手権を制覇

明大の主力として戦い、2018年秋までのリーグ戦はシングルスで21勝6敗。今年3月の東京選手権では得意のラリーで勝機を見出し、シングルス、ダブルスともに決勝まで勝ち残った。

今年3月の東京都選手権ではシングルスとダブルスの2冠を達成

シングルス決勝の相手は池田忠功(リコー)。第1ゲームを失ったが、第2ゲームに入ると、フォアハンドドライブから勝ち越しに成功。サーブで相手を崩すなどの6連続得点で、龍崎は1-1のイーブンに戻す。

第2ゲームを奪った龍崎の勢いは衰えず、第3ゲーム以降もラリー戦に持ち込み、優位に進めた。結局は龍崎が4-1で勝ち、シングルス優勝を決めた。ダブルスでも遠藤竜馬(2年、野田学園)とペアを組んで優勝し、2冠達成となった。

修正能力の高さが見えた春の戦いぶり

東京選手権2冠達成のあと、龍崎は春の1部リーグ戦に明大の一員として臨んだ。1部に所属する選手の中で、ただ一人シングルスとダブルスの両方に出場した。

第6戦が終了した時点で、シングルスとダブルス合わせて12戦全勝。迎えた専修大との最終戦では、シングルス、ダブルスの展開次第で優勝の行方が決まる状況だった。明大の1番手が敗れ、2番手で出る龍崎には勝利が求められていた。

春のリーグ戦で表情をゆがめる龍崎

試合が始まると、得意のフォアハンドドライブが思うように決まらず、ラリーも続かない。第1ゲームを相手に奪われ、第2ゲームに入っても、フォアハンドドライブの調子が上がってこない。5-5と追いつかれた龍崎はここで作戦を変更。それまでのフォアハンド主体からバックハンド主体に切り替えた。するとバックハンドで連続得点に成功。流れを取り戻すと、フォアハンドドライブも本来の軌道を描けるようになり、第2ゲームを制す。そのあと追いつかれる場面もあったが、相手を圧倒した。龍崎は試合中、自ら軌道修正したことで勝利につなげ、修正能力の高さを見せつけた。これで春季リーグ戦のシングルスは7戦全勝とした。

4番手のダブルスでも勝利を飾って出場全試合勝利とし、チームも4シーズン連続全勝優勝を達成。シングルス、ダブルスのどちらかでも敗れれば優勝も逃す可能性もあったが、しっかり2勝を挙げてみせた。

試合中に課題を修正できるのが龍崎の強みだ

試合後の龍崎は「自分が取らないといけないと思ってしまい、少し力みました。(シングルスの)2ゲーム目から修正して自分のプレーができました」と、プレッシャーを感じていた心境を吐露した。そしてシングルス第2ゲームの5-5からバックハンドで連続得点できたシーンを振り返り、「あれで調子を取り戻せた」と語った。「あれはデカいですね。ラリーが自分の持ち味ですけど、あそこで取れたことで調子が上がってきた。(バックで攻めようと決めたのは)もう、反射的にやってましたね」

関東の春を制した明大だったが、7月の全日本大学総合選手権の団体の部(団体インカレ)では、タイトルを逃している。春に続いてリーグ戦のタイトルを獲得するためには、龍崎の活躍は必須だ。どれだけ成長した姿を見せてくれるのか楽しみだ。

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