明大フィギュアの歴史を変える! スケート部総合主将・鎌田詩温の挑戦
明大のアイスホッケー、スピード、フィギュアの3部門を束ねるスケート部総合主将として、鎌田詩温(4年、札幌一)が奮闘している。フィギュア選手としての実力もさることながら、昨年度は学生だけのエキシビションを企画。競技以外でも挑戦を続けてきた。いま、まさに明大のフィギュアを変えようとしている鎌田の活躍に迫る。
明大スケート部の存在を知ってほしい
昨年度の鎌田は主務として部を支えた。就任して間もないころ、校舎にかかっているインカレ総合優勝の垂れ幕を撮影しようとしてした。そのとき、通りかかった学生の声が聞こえてきた。「うちの大学にスケート部ってあるの?」。鎌田は言う。「とてもショックでした。もっと部の存在を知ってもらわないとダメだと思いました」。鎌田はそれまでなかった部門ごとのSNSアカウント開設を決意。かねて、いいと思っていた中京大水泳部のインスタグラムを参考に、選手紹介や大会情報を発信するようになった。いまでは1投稿あたり300以上の「いいね」が集まるほどのインフルエンサーに。SNSでスケート部を知った学生も多く、新たなファン獲得に一役買っている。
専用のリンクをつくりたい
鎌田を突き動かしている原動力はもう一つある。明大専用のスケートリンクの建設だ。現実は甘くない。大学にスケートリンク建設を直訴したが、上層部の人たちはスケート部の存在すら知らない状況だった。大学内での認知度の低さ、力のなさを痛感させられた。
その思いを胸に、昨年度は4年生の引退の場となる「明治法政 on ICE」というエキシビションを企画。スケートリンクを押さえるところから当日の会場運営まで、すべて学生が取り仕切る前代未聞の企画だった。来場者数は予想していた100人を大きく上回る540人。確実に明大スケート部のファンが増えていることを証明してみせた。「将来的にはリンクをつくれたら」。この夢に向かって、今後も明大スケート部をどんどん盛り上げていく。
強さの確立、氷上の王者へ
現在鎌田が最も力を入れているのは、新入部員のスカウト活動。今年度のルーキーたちは世界選手権銀メダルの実績をもつ樋口新葉(わかば、開智日本橋学園)や昨年度の全日本選手権でブレイクした山隈太一朗(芦屋国際中教校)などスターぞろいだ。
山隈は西日本の選手だったこともあり、スカウト活動には苦戦した。「ギリギリまで粘って、毎日夜に電話をしてました」。自身が上京して感じたメリットなどについて粘り強く話し続け、山隈を口説き落とした。逆に樋口は「負けず嫌いな性格なので、押し続けるとそっぽを向いてしまう」と、あえて強くアプローチしない戦略で振り向かせた。
一般入試組からの入部も増え、明大のフィギュア部門は規模が次第に大きくなってきた。鎌田の言葉を借りれば「氷上の王者として強さの確立と、たくさんの人が関われる部」にしていくのが将来的な目標だ。「今年、来年も楽しみにしていてほしい」
変わろうとしている明大フィギュアから目が離せない。