近大の梶田蓮、連覇を逃した不動のリードオフマンは秋の雪辱を誓う
近畿大学に不動のリードオフマンがいる。中堅手の梶田蓮(3年、三重)。関西学生野球で2020年秋の京都大学2回戦(9月27日)から、今季の5月25日の関西大学2回戦まで16試合連続でヒットを打ち続け、安打製造機ぶりを発揮した。首位打者は打率4割8厘のチームメート片岡大和(4年、神戸国際大附)に譲ったが、リーグ2位の打率4割で2季連続のベストナインにも選ばれた。
三重高からうわさの俊足
50m走のタイムが5秒8という俊足ぶりは、三重高校時代から知られていた。3年春の第90回選抜高校野球大会ではベスト4まで進んだ。準々決勝の星稜(石川)戦では近大で同期となった竹谷理央から本塁打も放った。「入学時も高校の時と50mのタイムは変わっていなかったです。でも大学に入ってから、少し足が速くなったかもしれません」と照れ臭そうに笑う。
コロナ禍の変則日程
関西学生野球の春季リーグ戦は4月3日に開幕し、近大は3節目の4月18日から登場した。ところが4月25日から近畿3府県の緊急事態宣言発令に伴い、リーグ戦が中断され、以降の日程も未定に。5月15日にリーグ戦は再開されたが、平日を含め1週間に5試合が組み込まれるという過密日程をこなすことになった。雨天中止になれば、合間の予備日に試合が変更となり、22日からは5連戦となるハードスケジュールもあった。
「試合が終わったら早くお風呂に入って、早くご飯を食べて……。とにかく次の日の試合に向けて、体をできるだけ休ませて備えるようにしました」。接骨院に通い、いつも以上に入念に体のケアも行った。
24日に行われた関大戦は、初回の初打席でいきなり中越え二塁打を放ち、2点を挙げるお膳立てをした。「自分の打席は初回が大事。打線に勢いをつけられるように、初回からとにかく塁に出ることだけを心掛けています。自分の(最初の)打席の結果が、相手ピッチャーの調子を左右させると思うので、自分が打つことによってチームを不安にさせないことと、アウトになったとしてもアウトのなり方も大事にしようと思っています」
とはいえ、5月の中断明けのチームの状態は良くなかった。20日の関西学院大学戦と続く立命館大学戦2試合で連続零封負けを喫した。過密日程は言い訳にはしたくないが、それ以上に梶田は自分の不甲斐なさを悔やんだ。
足を生かし得点稼ぐ
「バッティングは水ものとは言いますが、ピッチャーが頑張っているのに、打線を『線』にすることができなかったです。自分がもっと勢いをつけられていたら」と唇をかんだ。
春季リーグ戦は関学大が優勝し、近大は3位に終わった。今季は予期せぬ事態に左右された中での戦いが続いた。昨秋に優勝の喜びを味わったからこそ、次こそはという思いは一層強くなった。
「この春は今までのリーグ戦と比べて難しさはありましたが、自分は打線の軸になっていると思うので、チャンスを作り続けていくことは今後も変わりません。持ち味である足を生かして、自分は得点するのが仕事だと思っています」
秋につなげるために。覇権奪回に向け、新たな挑戦が始まった。