野球

特集:東京六大学 2020真夏の春リーグ

早稲田大の早川隆久が155km出し初完投で東京六大学野球開幕、東大は惜敗

リーグ初完投勝利を挙げた早稲田大の早川隆久(撮影・すべて朝日新聞社)

東京六大学野球春季リーグ戦第1日

8月10日@神宮球場
慶應義塾大5-4東京大
早稲田大5-1明治大

約4カ月遅れの開幕となったが、全国26の大学野球連盟で春季リーグの開催にこぎつけたのは東京六大学だけ。3000人を上限に観客も入れて計8日間開かれる予定で、この日登場した4大学の監督や主将はそろって野球ができることへの感謝を口にした。

低めを意識して圧巻のピッチング

9季ぶりの優勝を狙う早稲田大学は、昨春王者の明治大学を下した。早稲田大の早川隆久主将(4年、木更津総合)も開口一番、「自分たちが野球をできているのも周りの関係者の方のおかげだと思う。自分たちは勝ちましたけれど、それにおごらずしっかりやっていく」と話した。

キャプテンでエースは圧巻のピッチングをみせた。初回にいきなり球速155kmをマークしたが、本人は冷静だった。「力みが出た分、球速は出ましたけど、まだ、低めに決め切れていないのが課題」と振り返った。初回にリードをもらったのに2回にすぐ追いつかれた。2死三塁で、昨夏の全国高校選手権を制した履正社から明治大に入ったルーキーの西川黎に中前適時打を浴びた。捕手の岩本久重(3年、大阪桐蔭)と修正点を話し合った。「しっかり低めに投げていかないと、外野と内野の間に落ちる打球(安打)が増えてしまう。低めに、低めに、丁寧に。球速はどうでもいい」と確認した。

ベース上を通る球が多いまとまった投手とみていた明治大は早川対策として積極的に打ちに出た。公家響主将(4年、横浜)は「打席に入ると予想以上の球速でちょっと差し込まれた。対応することが試合の中でできなかった」。どのチームも実戦練習が少なく打者が速球になれてない面はあるにしても、最上級生になった左腕投手は一回り成長していた。

リーグ初完投し捕手の岩本と声を掛け合う早川

6回の守備では打球を右足に当てた。8番に入る打席でも一塁へ必死に走った。「(主将がつける)10番という背番号を背負っている限りは、チームの鏡というかお手本にならないといけない。状況がどうであれ、全力プレーでしないといけない」。精神的にもたくましさを増し、リーグ戦初完投につなげた。「キャプテンでありエースである自分が、勢いづけるピッチングができればいいかなと志願しました」。9回で123球を投げ、12三振を奪い被安打6の与四球1だった。

小宮山悟監督は満足そうに振り返った。「代えようかなと思ったタイミングで、スイスイ投げていた。球数が少なく7回で100前(96球)。『最後までどうだ』とかまをかけたら、『いきます』と。そのやる気をそいではいけない。今まで投げ切ることができなかった人間が完璧なピッチングをみせてくれた。これはチームとって相当大きい」

蛭間拓哉は2打席連続本塁打

6回無死一、三塁、右越えに勝ち越し本塁打を放つ早稲田大の蛭間拓哉

同点の6回、5番の蛭間拓哉(2年、浦和学院)が勝ち越し3点本塁打、8回にもダメ押しのソロと2打席連続本塁打を放った。オープン戦などで欲しいときになかなか点が取れなかった打線もつながり、早稲田大は理想的な形でスタートを切った。

第1試合の開幕戦は秋春連覇を目指す慶應義塾大学が逆転サヨナラ勝ちで東京大学を下した。今リーグ戦は、新型コロナウイルスの影響から日程短縮の特別措置で、74年ぶりに1回戦総当たりで実施される。

 

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