野球

「『真夏の早慶戦』に勝って、新たな歴史を作りたい」 早稲田大学・早川隆久主将

「高校野球を思い出しながら、トーナメントのつもりで」と早川隆久主将(早稲田大学野球部提供)

東京六大学野球春季リーグ戦が8月10日、4カ月遅れて開幕を迎えます。第2次世界大戦後に再開された1946年春以来、実に74年ぶりとなる1試合総当たり制の短期決戦。新型コロナウイルスの感染拡大を乗り越え、どのように真夏の戦いに臨むのか。6大学の主将に意気込みを聞きました。まず、2015年秋以来の優勝を狙う早稲田大学から。

大学No.1左腕が主将で引っ張る

今季の早稲田大は、大学ナンバーワン左腕の呼び声が高い早川隆久(4年、木更津総合)がエース、主将としてチームを引っ張る。日米のプロ野球を経験した小宮山悟監督の指導のもと、1つも負けられないトーナメントのつもりでリーグ戦に挑む。7月19日、安部球場で行われたENEOSとのオープン戦で、早川は約4カ月ぶりに実戦のマウンドに立った。社会人の強豪を相手に先発し、3イニング、45球を投げ被安打1、奪三振3、無失点の内容。2回には自己最速タイの151kmをマークした。
「久々に実戦で登板してみて、収穫は多かったと思います。まずはゲームメイクすることを目標にしていたので、そういう面では、よくできたかなと思います。この環境の中でオープン戦をやらせてもらえることはすごくありがたいこと。野球ができていることに感謝しないといけないと思いました」と早川はリーグ戦へ向けての手応えと、野球ができることへの感謝の気持ちを話した。26日のセガサミー戦では、早川は4回からリリーフ登板。3イニングを投げ被安打0、奪三振4、無失点と順調な仕上がりを見せた。

昨春、就任した小宮山監督に声をかけられる早川(当時の背番号18、撮影・朝日新聞社)

3月、春のリーグ戦に向けてオープン戦を戦う中、チームの状態は上向いていたという。ところが春のリーグ戦は延期が決まり、緊急事態宣言下、グラウンド、室内練習場など大学施設を使用することができなくなってしまった。思うように練習ができない中、ランニングや寮の屋上でのトレーニングなどで選手たちは汗を流した。5月中旬からは少人数で短い時間、交代しながらグラウンドでの練習が再開された。全体練習が可能になったのは6月に入ってからだ。

「体力面がすごく重要」と走り込む

グラウンドが使えるようになって、早川は遠投を多めにする中でピッチングフォームを見直した。リーグ戦の8月開催を見据え、「夏の暑い中でのピッチングになるので体力面がすごく重要になってくる」と走り込みも多めにした。8月のリーグ戦は、8日間で5試合を戦う短期決戦になる。
「優勝するためには1つも負けられない。高校野球を思い出しながら、トーナメントのつもりで気持ちをたかぶらせながら戦います。早稲田には短期決戦に強い選手が多いと思うので」と早川は意気込む。

オンライン取材に応じる早川主将(早稲田大学野球部提供)

プロ野球のスカウト陣から熱い視線を浴びる。この春はアピールするチャンスが失われてしまったが、「特に自分は気にしていないです。優勝したいという思いが強い。今はチームのことに徹していきたいです」と早川は言う。
8月に「春のリーグ戦」を戦ったあと、1カ月も経つと秋のリーグ戦が始まる。その面での難しさもあるが、これについても前向きに捉えている。
「夏に優勝できたら、秋には『早稲田は強い』という印象のまま入れるわけです。対戦相手に『またあの早稲田と戦わないといけない』という怖い印象を与えられるチャンスでもあるので、そういう面ではこの夏をどう制するか、どう戦うかっていうのがすごく大事だと思います」

優勝知らないメンバーで語り継がれる戦いを

早稲田大は8シーズン優勝から遠ざかっている。「チームを日本一に導くピッチングをすること」という早川の目標は春先から変わっていない。グラブを従来の黒と茶色のものから、白星をイメージしたクリーム色のものに新調した。
「小宮山監督は、練習自粛に入る際『いい試練を与えてもらったと考えよう。この状況でリーグ優勝できたとしたら、今後、早稲田の歴史の中で語り継がれていくことになる』ということをおっしゃいました。早慶戦も『真夏の早慶戦』になって、いつもと違う雰囲気になるでしょう。そこで慶應に勝ってまた新たな歴史を作りたいです」
 試練を乗り越え天皇杯を獲得し、早稲田の歴史に新たな1ページを刻みこむつもりだ。

 

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