「性別や年齢、関係なく楽しめる」 FIA幹部が語るGTの魅力
「グランツーリスモ」(GT)は、モータースポーツ界のリアルとデジタルの垣根を越える存在であるとともに、性別や年齢、障害のあるなしも関係なく楽しめる――。国際自動車連盟(FIA)の幹部のステファン・フィラストレ氏にGTの魅力を聞きました。
GTは「デジタルモータースポーツ」
――この世界選手権の2018年の国別対抗戦覇者であるイゴール・フラガ選手がリアルなモータースポーツでも活躍しているように、GTは他のeスポーツと比べて、リアルな世界でも活躍できる可能性が一番開けたタイトルのように感じます。
その点について多くの車メーカーが関心を抱いていますし、FIAとしても、GTの選手たちがリアルなモータースポーツへと進める架け橋となるべきだと思っています。
日本自動車連盟(JAF)のような全世界中の自動車連盟と、車メーカーの双方の協力があってこそできる点だと思います。
我々は連盟とメーカーとの架け橋をさらに強固なものとして、成功例を生み出すお手伝い、サポートができれば良いと思っています。
なので私たちはGTを「デジタルモータースポーツ」と呼んでいるのです。
eスポーツではなく、モータースポーツの世界にとどめたい。
GTはリアルな世界に近いので、「デジタルモータースポーツ」と呼ぶことによって、リアルなモータースポーツとつながりを持たせることがとても大事なのです。
今回のシドニー大会に来ている選手たちのように、活躍している方々にはさらに活躍していただきたい。
彼らはある意味、インフルエンサー。
より若い世代に、影響を与えて、さらにヒーローを生んでいくというような良い連鎖を作って欲しい。
明確に言うと、ヒーローはどの世界にも必要なものなのです。
一方で、若い世代はゲームをしすぎる、という批判が大人たちから上がることがありますが、我々のプロジェクトは成功へのチャンスを生むものなのです。
GTとのパートナーシップを成功させて、我々のやっていることはモータースポーツなのです、ということを広めていきたいと思っています。
性別・年齢の壁が低いこと、もっとPRを
――今大会には女性選手がいません。その一番の理由は何だと思いますか?
正直言って、まだまだプロモーション不足だと思っています。
GTの世界選手権は実は参入障壁が低いのだともっともっとプロモーションすることで、女性参加者が増えることを望んでいます。
できることならば、ヒロイン的な選手がいると良いですね。
他のジャンルのeスポーツの中には、トップ選手の中に女性がいます。
それこそ、GTでもヒロインとなる存在が出てくれれば、彼女が他の女性選手たちにも良い影響を与えて、広がっていくのでは、と思っています。
また、障害がある方々、お年を召した方々にとっても、ハンディキャップがない、参入障壁が少ない、世界選手権であることをもっと拡散していかなくては、と思っています。
FIAのレースにはいろんなクラス分けをしていますが、GTの世界でもそれは可能だと思います。それが最善だとまで言いませんが、(GTの生みの親の)山内一典さん、スタッフの方々と議論を進めて行ければ、と思います。
(文・永田篤史)