微妙な判定にも、王者・帝京大は乱れない 天理大を下し3連覇に王手
ラグビーの第60回全国大学選手権大会は2日、東京・国立競技場で準決勝があり、5大会ぶり14度目の優勝を目指す明大と3連覇を狙う帝京大が13日の決勝に進んだ。
関東対抗戦2位の明大は前半に4トライを挙げて試合を優位に進め、関西リーグ3連覇の京産大を52ー30で振り切った。京産大は3大会連続、10度目の準決勝敗退で、初の決勝進出はならなかった。関東対抗戦優勝の帝京大は関西リーグ2位の天理大から前半にWTB高本の2トライなどで先行。後半は失点せず、22ー12で押し切った。
■帝京大、相馬監督がたたえた集中力
帝京大の江良主将の心は乱れなかった。後半、左ライン際を突破したWTB高本からFW青木にパスが渡り、トライかと思われた場面。高本がラインを踏んでいたとして笛が鳴ったが、場内に流れたリプレー映像ではそう見えなかった。
しかし、江良は「何を言ってもレフェリーさんが正解。不満をためながらやることはない」と落ち着いていた。この大会は決勝以外、映像確認のルールがないことも把握済み。トライがなくなり小差の展開が続いても、冷静に試合を進めた。自陣に攻められた場面では自ら出足鋭いタックルで相手の落球を誘発した。
相馬監督は「映像を見たら心がざわつくもの。誰もそんなそぶりを見せなかった」と集中力をたたえた。
■天理大・藤原 地元の石川への思い胸に
天理大が王者帝京大に肉薄した。いきなり2トライを奪われたが、前半35分、WTB藤原のトライなどで2点差にまで迫った。藤原は前日に地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の日本航空石川高出身。前夜、心配になって現地の友人らに連絡すると、全員無事だったという。「3年間過ごした場所。石川のためにプレーで元気づけたいという思いはあった」。敗れたが、力は尽くした。
=朝日新聞デジタル2024年01月02日掲載