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大学スポーツ新聞交流会を初開催 10年後、学生新聞の姿は? 学生記者の強みとは?

記念撮影では手で「4」を表現してみたのですが……??(すべて撮影・4years.編集部)

大学で新聞作りに携わる皆さんの横のつながりを深めるため、3月14日に朝日新聞東京本社の読者ホールで4years.主催の「大学スポーツ新聞交流会2024」を開催しました。初の試みで関東から8校15人、関西から2校4人の学生記者が参加してくださいました。第1部では朝日新聞社の社員による講演、第2部は活動する上での様々な課題に関するグループワークを行いました。「学生スポーツ新聞だからこそ、できることは何か」。情報発信を行う上で、学生記者の皆さんが日々試行錯誤していることが伝わってきました。

「安全第一で」社員が話すスポーツ報道のいろは

第1部の最初は、編集局スポーツ部・大宮慎次朗記者による「スポーツを書く」。大学時代は「立教スポーツ」編集部で活動していた経験から「スポーツ記者の面白さは、世の中で話題になっている瞬間に立ち会えることやアスリートの思いを聞いて刺激をもらえること。大学時代に頑張ったファイティングスピリットは今に生きています!」と学生たちにメッセージを送りました。

立教スポーツは「リツスポ」ではなく「リスポ」ですと語る大宮慎次朗記者

続いてオリンピックや世界選手権など、数々のスポーツ大会を撮影してきた瀬戸口翼カメラマンによる「スポーツを撮る」。学生記者は記事の執筆だけでなく、写真の撮影も自分たちで行っている。瀬戸口カメラマンは「最も重要なのは使える写真を撮ること。縦なのか横なのか、媒体は何か、どんな写真が必要なのか。写真を撮る前に言語化してイメージを持っておくことが必要」と説きました。質疑応答では学生から「サッカーやアメフトのように攻める方向が決まっている競技のとき、攻めている方向が逆光で、うまく撮れないときがあります。その際は攻める方向なのか、それとも逆光を避けるのか、どちらを優先していますか?」と質問が飛ぶと、専門的な質問に瀬戸口カメラマンも驚嘆。最後は「ボールや選手が飛び込んでくることもあります。まずは安全第一で」と締めました。

どんな写真が必要か「言語化」することが大切と語る瀬戸口翼カメラマン

第1部の最後は、4years.編集部の井上翔太編集長が「スポーツを拡げる」という題で講演。新聞の発行部数が減少していく中、現在はどの学生新聞もそれぞれのウェブ媒体を駆使して、情報発信を行っています。記事に触れてもらうために必要不可欠なSNSの活用法について井上編集長は「ルールがコロコロ変わるので、一喜一憂しない。広くリーチするよりも、まずは一番伝わってほしい選手本人や所属チームなどに届くよう、エンゲージメントの強化をしましょう」と話しました。

「エンゲージメントを高めましょう」と呼びかける編集長の井上翔太

「10年後の学生新聞は……」白熱した議論

続いて四つの班に分かれて、ボッチャ体験を行いました。学生たちはほとんどが初対面。最初こそ探り探りの様子でしたが、ボッチャで盛り上がり、最後はハイタッチして喜ぶ様子も見られました。

第2部のグループワークでは、各班ごとにテーマを設けて、約25分間話し合った後に発表してもらいました。一つ目のテーマは「活動費を増やす妙案とは」。大学によって様々ですが、取材に行く際の交通費や宿泊費を一部または全額自己負担している学生記者も少なくありません。「もっと活動費があれば遠方の試合を取材したり、良いカメラを購入したりできるのに」というもどかしい思いもあるのではないでしょうか。このテーマを担当した班は、「価格・広告・企画」という三つの軸を立てて、具体案を発表しました。「まず価格面では定期購読料の値上げや電子決済の導入。次に明大スポーツ新聞部が行っていたようなコメントを掲載する代わりに広告料をいただく応援広告。そして企画面が最も重要で、新聞の購入者限定で人気選手やOBOGのサインのプレゼント企画をしたり、人気になりそうな号は個別販売を行ったり、実際の新聞を手に取ってもらう機会を増やす企画が求められるのではないかと思います」

ボッチャ大会を開催!上位チームからグループワークのテーマを決めました

二つ目のテーマは「大学生にもっと学生スポーツに関心を持ってもらう方法は」。担当した班では「いつも一緒に授業を受けている人や同じ学部の人が、実は活躍しているアスリートであること」を魅力の一つに挙げ、関学スポーツ編集部が入学式で行っているアメフト無料観戦チケットの配布を例に「入りが重要! 新入生への働きかけが大切だから、春号などで試合予定をまとめてアピールするのも良いのでは」と4月に控えた入学式に向け、具体例を挙げました。

三つ目は「学生記者ならではのコンテンツ作りとは」。これに対して、担当班が出した結論は「トップだけでなく全員にスポットライトを当てること」。「プロのメディアでは手の届きにくいマイナースポーツや裏方のマネージャーなども取り上げることに意義がある。また駒大スポーツ新聞編集部のYouTubeで選手にカメラを貸し、選手が選手を撮る企画があった。同年代だからこその距離の近さが強みになる。選手のプライベートに迫る企画も自分たちならではだと思います」と話しました。

四つ目のテーマを担当した班は「10年後の学生新聞はどうなっている?」という、これまでの課題解決的な観点ではなく、想像力が試されるグループワークに。現在の潮流通り新聞の部数は減る中で、「映像」という分野が重要視されていくのではないかと結論づけました。特に学生スポーツ新聞は通常の新聞とは異なり、年に4~10数回の発行と「情報のスピード感に関しては到底映像にかなわない。土日に試合があれば月曜日に会う友達の選手の試合結果は知っておきたいのではないか。だから、すぐに結果を確認できる映像が重要になってくると思います」と話しました。

グループワークで「10年後の学生新聞はどうなっているか」を発表

学生記者だからこその強みを模索する

今回参加してくれた皆さんからは「直接的にプロのお話を聞くことは初めてで、大変貴重な経験となりました。他大学の学生との交流の中で今後のメディア運用に関してヒントを得ることができたのも大きな収穫でした」。「自分が何を考えて取材、発信するべきなのかを学ぶことができ、とても有意義な時間でした。これまでは学生記者だからこそ書ける記事とは何かという問いの答えがわからなかったのですが、今回でその答えが少しだけわかったような気がしました」といった前向きな感想が寄せられました。

「学生スポーツ新聞間のつながりが薄い」という悩みを小耳に挟んだことがきっかけで企画した交流会でしたが、4years.編集部としても学びのある場となりました。学生スポーツに情熱を注ぐすべての人を応援する立場として、これからも4years.編集部は大学新聞の皆さんとともに歩んでいきます。

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