背中を押してくれたあの曲 「櫻坂46」ファン浜西諒が挑んだ初五輪
パリ・オリンピック(五輪)第7日は1日、陸上男子20キロ競歩に浜西諒(24)=サンベルクス=が出場し、1時間20分33秒で18位だった。初の五輪を終え、「緊張はあまりなかった。20キロ通じてこういう舞台を楽しむことはできたかなと思います」。
序盤、先頭集団のペースは1キロ4分超。余裕を持って歩いていたが、15キロ手前付近で後退した。ペースアップに対応しきれなかった。
「新参者にはまだ戦うのが早いっていうか、現実を突きつけられた感じですね」。浜西は冷静に受け止めた。
トップアスリートとしては、異色の経歴の持ち主だ。明大卒業後の2023年、スーパーマーケット事業を展開する「サンベルクス」に一般枠で入社した。現在は埼玉県草加市にある店舗の青果部で週4日勤務し、その合間に練習している。
そして、24歳には「アイドルオタク」というもう一つの顔が。
アイドルグループ「櫻坂46」の大ファン。その中でも推しは、的野美青さん。X(旧ツイッター)のフォロワーの3分の2が「Buddies」と総称される櫻坂46ファンで、五輪に向けて応援をしてもらった。
〝推しの力〟は、この日のレースでも背中を押してくれた。歩いている最中に頭の中で流れていたのは、櫻坂46の楽曲「Anthem time」。ポップな曲調の応援ソングで、ライブではサビの前にファンがジャンプする。
浜西は「(歩きながら)ジャンプしないか心配でした。そこで警告をとられないように」と振り返った。
レース後、今後の目標について「来月のライブに行けるように、なんとか帰国したいと思います」と話し、報道陣を笑わせた。
もちろん、競技でもさらに上を見据えている。
「競技をやっている以上、世界一という目標がある。来年の東京世界陸上の代表権を獲得できるようにトレーニングに励みたい」
(辻隆徳)=朝日新聞デジタル2024年08月01日掲載