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順天堂大学・三浦龍司×村竹ラシッド対談(上)走りでチームを引っ張るラストイヤー

ともに国内トップレベルの実力を持つ三浦(左)と村竹の対談が実現(撮影・瀬戸口翼)

今年、順天堂大学の駅伝主将を務める三浦龍司(4年、洛南)と陸上競技部の副主将を務める村竹ラシッド(4年、松戸国際)。ともに昨年のアメリカ・オレゴン世界陸上に出場するなど日本トップレベルの実力を持ち、世界と戦っています。今回は同期2人の対談が実現。前編ではお互いの競技の魅力や主将、副主将になった理由などを語り合いました。

「すごいやつがいる」とお互いを知った

――お2人とも高校時代から実績を残されていて、高校3年のときは同じタイミングでインターハイに出ていますが、当時からお互いのことは知っていましたか。

三浦龍司(以下、三浦):洛南は短距離も強かったので、「ヤバいやつがいる」という話は聞いたので、存在は知っていました。インターハイの時ちょうど僕のレースの前がラシッドだったので、彼が走っているのを実際に見ました。

村竹ラシッド(以下、村竹):僕はインターハイが終わったあとに、「すごいやつが京都にいる」ということで知りました。だから、高校時代は話したことはないですね。

三浦:普段は同じ競技場内で練習はしてるけど、時間も違うので、練習中はそこまで話したりはしないよね。

村竹:たまにジョグしているときにすれ違って、「よう」みたいな感じにはなるけど。あとは、知ってる同士なら練習中じゃなくて、学校で会ったときに普通に雑談とかはするって感じで。

三浦:2人で初めて話したのは、1年のときにこういう対談取材があった時だと思います。短距離なので「ごついな」っていうのが第一印象で(笑)。短距離とはいえ同じ障害(ハードル)に取り組んでいるということで共通点も多くて、すごい人が順大にいるんだな、って思いました。

村竹:龍司は高校の時の丸刈りの印象が強かったので、「髪生えたらこんな感じになるんだ」とか思ってました(笑)。

対談は終始、和やかな雰囲気で進んだ(撮影・瀬戸口翼)

――その頃から印象は変わりましたか?

三浦:はい、だいぶ変わりました。長距離と短距離で仲良くなるのは難しいのかなというイメージもあったんですが、ラシッドは本当に壁がなくて、フラットに接してくれる。僕以外の長距離のメンバーと話すこともあるし。そういう、強くて存在感のある人が親身になって話してくれたりするのは、すごくありがたいなって思います。

村竹:1年生で対談した時は高校を卒業したてで、洛南っていう強豪校出身で、「陸上のこととか真面目に考えて、打ち込んでるんだろうな」と勝手に思ってたんです。でも話したりつきあったりしているうちに、陸上意外にもいろんなことを楽しんでて、一人の大学生なんだなって。一人のアスリート以前に、一人の人間として話しててもすごく楽しいし、気も合うし、同期で良かったなって思います。

三浦:ありがとうございます(笑)。

それぞれが思う「障害」の魅力

――三浦選手は陸上を始めた当初、短距離のハードルにも取り組まれていましたが、いま3000m障害に取り組んでいく上で村竹選手の跳躍を見たり、参考にしたりすることはありますか。

三浦:いやもう、卓越しすぎて……。見てマネするとかそういう次元にいないので、逆に参考にならないです。

村竹:僕はまだまだ未熟だと思ってるんですけど、そう言ってもらえるとすごくうれしいですね。

――同じ障害に取り組んでいる同士、110mH、3000m障害それぞれの魅力を教えてください。

村竹:やっぱり普通にフラットな、平地を走るのとは違うのがひとつの魅力だとは思います。小学校の運動会でやったような障害物競走を進化させて、ルールをしっかりさせたものが障害競技なのかなと。

三浦:3障については、3000mという大学生からしたらミドル的な、スピード要素が高いことに加えてある程度高い障害を越えていくので、テクニック、スピード、スタミナなどいろんな要素を織り交ぜた総合種目だと思っています。そのスキルを持った人たちが戦うのがまずひとつの魅力だと思います。

あとは僕自身もけがをすることもあるぐらい危険な、ハラハラすることもある競技なので、ただの長距離レースにはない緊張感もあると思ってます。

3000m障害は「テクニック、スピード、スタミナを織り交ぜた総合種目」(撮影・西岡臣)

村竹:テクニックとスピードが必要というのは、110mHもそうだなと思います。あとは人によって跳び方が顕著に違うんですよね。ハードルの踏み切り足やリード足、抜き足も違うし、ダイナミックに跳ぶ人、コンパクトに跳ぶ人もいます。その跳び方の違いを細かく見られるのは、大きな魅力なんじゃないかなと思います。

僕もずっと同じ跳び方をしているわけではなくて、他の人の動きと自分の動きを照らし合わせながら、「この筋肉が使えていない」「この動きが甘い」と確認して日々改善をしていっているつもりです。

三浦:僕もタイムを向上させたり、勝負にこだわったりといったことを追求していくためには、跳び方そのものを変えたり、勝負どころで変えたりすることは必要だと思っています。大学に入ってから、スタッフと相談しながら積極的に試行錯誤しています。

――ちなみに、ハードルの高さはどちらが高いんですか?

村竹:110mHですね。106センチあります。スターティングブロックから1台目まではだいたい7〜8歩で、ハードルとハードルの間は着地した足を含めないと3歩で越えていくのがセオリーです。走る力に加えて、ハードルをいかに無駄なく越えていくかが試される競技です。

三浦:今僕が110mHを走ったら、高すぎて越えられなくてハードルに全部当たると思います(笑)。

村竹:逆に僕は3障走ったら、10分の1(300m)も走れないと思います。1回目の水濠にたどり着く前に終わりますね(笑)。

ハードルは「人によって跳び方が顕著に違う」(撮影・藤原伸雄)

最上級生として、責任ある立場として

――三浦選手は駅伝の共同主将、村竹選手は陸上競技部の副主将を務めていますが、どのように決まったのでしょうか。

三浦:僕は立候補しました。1年生の頃を思い返してみたら、立候補するなんてまったく思っていませんでした。でも昨年1年間でキャプテンの西澤さん(侑真、現・トヨタ紡織)やチームを見ていて、「やってみたいな」という好奇心が出てきました。上の代はすごく個々の色が強い学年だったんですけど、西澤さん独特の雰囲気、圧倒的存在感をもってチームを引っ張っていってくれたなと思っています。「西澤さんがキャプテンでよかった」「キャプテンに支えられた1年だった」と本当に思いましたし、そういう存在になれればいいなと考えています。

それから、立候補したのはラスト1年で自分自身を成長させるためにも、何かアクションをしないといけないなという思いもあったので。自分自身も達成感がある1年間にできるように、歴代の先輩方の背中を追いかけていきたいなって思っています。

村竹:陸上競技部の副主将は、泉谷さん(駿介、現・住友電工)、1つ上の瀬尾さん(英明、現・東京ガスエコモ)のように、競技力で引っ張る方が代々就いてきたところがあります。僕は先頭に立ってぐいぐいいく性格ではないので、学生トップを取った身としては競技力でチームを引っ張る副主将という立場が自分に一番あっていると思いました。「やりたい」と周りに伝えて、学年の話し合いで決まりました。

三浦:あとは主将になって、3年までに比べて素行がよくなったなと思います(笑)。自分のレース1つとってもそれが後輩にも影響を与えるんだなということがすごく感じられます。そこは明らかに今までより意識するようになりました。藤原(優希、4年、水島工業)との共同主将なのもすごく心強い味方ですね。

順天堂大・藤原優希 三浦龍司と共同主将、それぞれの役割「象徴は三浦、実務は自分」
最上級生として、ともにチームを引っ張る(撮影・瀬戸口翼)

――「走りで引っ張る」という意味では、2人とも日本代表になるなど競技力もあり、似た立場だと思いますが、お互いのことをどう思っていますか。

三浦:短距離、長距離と立場は違えど、国際大会にも出ていろんな経験値を積んでいる身としては結果が求められる立場だと思います。今までに比べてもさらに頑張らないといけないと思うので、自覚と覚悟が必要だなと改めて思います。

村竹:いま龍司が言ったこともそうですし、対校戦などでは一番得点を取ってこないといけない立場にあると思っています。副主将という立場になってからは、そこに対する責任感がより増している気がしますね。

――順大の選手を見ていると、世界を目指す選手も対校戦には必ず出場している印象がありますが、お二人は関東インカレにも出場される予定ですか。

三浦:その予定です。自分たちはトラック&フィールドで戦っているので、対校戦については特に大切だと思っています。それから、4年生として学生スポーツを最後、思いっきり楽しみたいなという気持ちもすごくあります。

村竹:言いたいこと、全部言われてしまいました。本当に、対校戦なんてこれからはない経験だと思うので、思いっきり満喫したいですね。

【後編】順天堂大学・三浦龍司×村竹ラシッド対談(下)世界との戦いも、チームのための走りも

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