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ラグビー 帝京のエース竹山 問われる真価

FB竹山は1年からWTBのレギュラーとして活躍し、大学選手権9連覇に貢献してきた (斉藤健仁)

関東大学対抗戦グループA

1021@秩父宮ラグビー場

帝京大(4) 24-19(前半24-7) 慶應義塾大(31)

4戦目に入って全勝同士が激突した。対抗戦8連覇、そして大学選手権10連覇を目指す帝京と慶應が顔合わせした。

早稲田、明治とともに開幕4連勝

帝京は先制トライこそ許したが、前半11分にCTB尾崎泰雅(2年、伏見工)がインターセプトからのトライを奪って追いつくと、25分にはキックカウンターからのトライで14-7と勝ち越した。さらに34分には、FB竹山晃暉(4年、御所実)が左タッチライン際を個人技で抜け出し、右足にかけて、そのボールを自らキャッチ。フォローしたSO北村将大(2年、御所実)へオフロードパスをつなぎ、トライを演出した。前半終了間際には竹山がPGを決め、24-7で折り返した。

後半、帝京は相手のアタックで後手に回るが、要所でFWがスクラムを押し、ラインアウトでは相手ボールをスチール。反撃を2トライに抑えて24-19で勝利。帝京は早稲田、明治とともに開幕4連勝とした。

体重増で力強いプレーができるFBに

竹山は高3のときに花園で大活躍して準優勝。その甘いマスクと、父が元力士という話題性もあって、一躍注目を集めた。帝京でも1年からWTBのレギュラーとして活躍し、「赤い旋風」の中軸として大学選手権9連覇に貢献してきた。V10のかかった帝京でのラストイヤーは、副将のひとりとして主将でLOの秋山大地(4年、つるぎ)をサポートしつつ、BKを引っ張っている。

秋山を筆頭に帝京のFWは4年生が多いが、BKはSO北村、CTB尾崎、WTB木村朋也、SO/FB奥村翔(ともに伏見工)ら、2年生が中心だ。SH小畑健太郎(4年、伏見工)がけがで出遅れていたこともあり、竹山は今夏の天理戦から慣れ親しんだ11番から15番へポジションを変えた。

岩出雅之監督はFB竹山に関して、「相手が、より嫌がると思いました。ボールタッチが増えてリズムを作ってくれる」と語る。竹山本人も「2、8、9、10、15番というスパイン(背骨)となる縦のポジションからコミュニケーションをとった方がリーダーシップを浸透できますし、このチームで必要なプレーができる」と、コンバートの利点を説明した。

竹山は今夏の天理戦より、11番から15番へポジションを変えた (斉藤健仁)

過去3試合、竹山はFBから高校の後輩であるSO北村をサポートしつつ、時にはキックを蹴ってゲームをコントロールしてきた。慶應戦も、風上だった前半に竹山が最後尾からキック、パスをうまく使ってゲームマネジメントしたのが勝利に結びついた。

高校時代はSH、SOでもプレーしていた竹山はスペースを使う感覚が優れていて、FBとしてパスやキックでWTBを走らせるプレーにも長けている。またFBとして力強いプレーをするために体重を2kg増やした。プレースキックも担当し、4試合で128得点。対抗戦の得点ランキングでトップを独走している。

もちろん課題もある。慶應戦の後半は無得点だった。竹山は「組織として一連の動きでトライを取りきれていない」と反省を口にした。また試合終了間際には、岩出監督が「なんであんなことをしているのか、と口酸っぱく言った」と、やや怒った表情で指摘するシーンもあった。

帝京大は5点をリードした後半36分過ぎから、FWの近場で左右にボールを当ててキープし続けるプレーを選択。攻めずに時間を流そうとした。そのボールキープに2度失敗し、2度も相手ボールのラインアウトのチャンスを与えてしまう。慶應のラインアウトの精度が低くて大事にはいたらなかったが、逆転トライを許してもおかしくない状況だった。

時計を進ませるプレーの判断はハーフ団が下したようだが、ロスタイムも入れるとノーサイドまで6分ほどあった。冷静な判断とは言えない。BKを引っ張る立場にある竹山は「後半、チームとしても個人としても勝ち急いでしまった。自分たちが上を目指す中で、あの時間帯であの戦い方をするのは、成長を止めてしまう選択でした。1年から試合を経験しているのに、まだまだ力が足りないです」と、リーダーのひとりとして戦い方の修正を指摘できなかったのを悔やんだ。

慶應戦の後半は無得点。逆転トライを許してもおかしくない状況もあった (斉藤健仁)

“挑戦者”として

ここ数年、ほかの強豪大学もフィジカルトレーニングに精を出すようになり、帝京大は4連覇、5連覇目のときのようにフィジカルで圧倒するという試合はできなくなった。今年の春季大会で帝京は明治に敗れ、夏合宿中の練習試合でも明治と早稲田に連敗。ただ連敗後、帝京は秋山、竹山らリーダーを中心に「自分たちがどこを目標に置いているか、その目標達成のためには何が必要なのか」を確認した。そしていま、春と夏に負けを経験しているからこそ、”挑戦者”として対抗戦に臨んでいる。

竹山は「ゆるまず、ひるまず」という言葉をよく使う。大舞台の経験が豊富だからこそ、メンタルの重要性を強く認識している。「1年生から試合に出させてもらってますが、心の余裕がいいプレーを生むと思うので、4年生として、余裕を持って下級生をリードしていきたいです」と語る。

エースとして、副将として、「深紅の常勝軍団」を導く (斉藤健仁)

「エースとして、副将として、「深紅の常勝軍団」を導く」

対抗戦が開幕した日、竹山に「いよいよ10連覇のかかった対抗戦が始まりましたね」と声をかけると、「鳥肌が立ちました!」と返してきた。竹山は御所実業高3年の花園決勝で敗れた直後、「帝京大学で10連覇を目指します!」と宣言した。大学4年間ですっかり大人となり、ラストイヤーを迎えている。

帝京は11月、同じく全勝の早稲田、明治との大一番を迎える。竹山はV10を有言実行できるのか。FBとしての高いパフォーマンスを発揮することはもちろん、下級生を引っ張っていくリーダーの資質も大事になる。「深紅の常勝軍団」のエースとして、副将として、竹山の真価が問われる日々が続く。

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