野球

特集:慶應野球部女性主務の日記

「いよいよ慶早戦!!」慶應野球部 小林由佳

試合中は記録員として、ベンチで戦況を見つめる(撮影はすべて松嵜未来)

硬式野球の東京六大学秋季リーグ戦は、10月27日から慶早戦が始まる。慶應が勝ち点を挙げれば3連覇。慶應のベンチでは、六大学史上初の女性主務である小林由佳(4年、慶應女子)がスコアを記入しながら仲間の戦いを見守る。4years.編集部は大学ラストシーズンを迎えた小林主務にお願いし、日記の形で思いを綴ってもらってきた。第2弾として、この秋4カード目の立教大1回戦から、きょう10月26日、慶早戦前日の日記までお届けします。

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10月13日(土) 立教大学1回戦

●立教000100000…1
○慶應00200011×…4

先週の試合で法政大学が優勝戦線に残ったため、慶大は勝ち点を落とすと厳しくなる状況に追い込まれた。しかも今週迎えるは春1戦目に苦戦した立教大学。エースの田中誠也投手をけがで欠いているものの、第4週の法政大学とは違って小技を使ってくるチームである。試合前に監督、助監督から「勝つなら接戦になる」と言われていたこともあり、私は試合前から選手でもないのに緊張していた。
今日の先発は、今季大車輪の活躍を見せる髙橋佑樹だ。初回から安定した投球で相手打線を抑え込む。一方こちらはラッキーな安打や四球が絡み、2点を先制する。しかしいつも思うのだが、点をとった後が一番怖い。4回表、打撃が好調な種田の適時打で1点を返され、点差が詰まる。追加点が欲しい中で、立教大学の中継ぎ中川投手に対し、攻撃の糸口がなかなか見えない。しかし、ここでまた状況を打開したのは中村健人だった。7回裏になんと今季5号となるソロホームラン! 欲しい追加点がようやく入ったことで、相手にも大きなダメージを与えたように感じた。8回裏にも追加点を取り、終わってみれば髙橋佑樹が被安打3の1失点完投で先勝。本当に心強い。
2戦目が課題の今シーズン。また緊張する試合展開は続くが、何としても勝つ。連勝する。

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10月14日(日) 立教大学2回戦

●慶應001000110…3
○立教01020010×…4

悔しい。そのひとことに尽きる敗戦だった。立教の打線を考えれば、あの一球、というところで2本のホームランを打たれてしまった。慶大は、あの一球、というところでヒットが打てなかった。それが今日の敗因だと思う。ベンチ誰ひとり最後まで諦めなかったが、そう簡単に野球の神様は勝たせてはくれない。乗り越える壁が、まだあるということ。試合後のミーティングでは悔しさを全員が実感していたと思うので、この悔しさはきっと明日全員で晴らしてくれるだろう。明日何としても勝って慶早戦に優勝の望みをつなげる。これは至上命題である。
みんななら、できる。今の慶應野球部ならできる。

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10月15日(月) 立教大学3回戦

●立教000000000…0
○慶應00000011×…2

優勝への望みをつなぐことができた。
今日は何といっても髙橋佑樹の好投に尽きる試合。相手の先発はここ4試合でベンチを外れていたエースの田中誠也投手だった。さすがは日本代表、けがの影響で完璧な練習はできていないとはいえ、なかなかあと一本が出ない。どちらに流れが傾いてもおかしくない試合展開で、今日は引き分けなのではないかと思い始めた7回裏、小原が二塁打を放つと、春に田中投手から勝ち越し打を放っている瀬戸西がバッターボックスへ。今日はあたりが出ていなかったので不安もあったが、センター前にタイムリー。ほしかった1点がようやく入る。8回裏にも代打正木の犠飛で1点を追加し、土曜日に引き続き投手戦を制した。勝ち点4。春も秋も早稲田大学以外から勝ち点を落としていないのは、本当に“チーム力の賜物”だと思う。
 あと2勝。春を「超越」するためにも完全優勝、そして3連覇へ向けて最高の舞台は整った。最高の準備をして宿敵早稲田を倒す。

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10月20日(土) 慶早戦1週間前

いよいよ慶早戦まで1週間。応援席の売れ行きは早稲田を上回り、優勝への機運が高まっていると感じる。3連覇のためには早稲田大学を倒さなければならないと部員全員が感じていることで、練習から意識を高めて取り組めている。
私は今日も試合運営で神宮球場にいるが、今週で引退が決まるチームが3校もあると思うと寂しい。この時期は試合の空き週でもチームと一緒にいられる時間は少ないが、慶應の今のチームがいいからこそ、1日でも長くやりたいと思う。4年生で野球を続ける者が少ない中で、泉名学生コーチが「一生の中で3連覇や日本一を本気で目指せるのはこれが最後かもしれない」と、アップ前の集合でみんなを鼓舞する。そんなチームに居られることにまずは感謝し、最高の締めくくりができるよう、あと1週間最高の準備がしたい。

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10月26日(金) 慶早戦前日

いよいよ平成最後の慶早戦前日だ。
今日は神宮球場にて前日準備。朝の練習前の集合で、「早稲田を超えるというより春の自分たちを超えよう」という言葉があり、まさにその通りになれば結果はついてくるだろう。
前日ではあるが、いい意味でいつも通りというか普段通りの取り組みができている。私自身もそこまで気負うことなくここまでやってこられたし、あとは選手たちに託すのみなので、明日以降はみんなを信じてベンチで応援したいと思う。絶対連勝して、日曜に3連覇を達成する瞬間をみなさんと味わうことができたら、これほど幸せなことはない。
少しでも長くこのチームで過ごしたい!!

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