野球

特集:第49回 明治神宮野球大会

野球 東日本国際大、ドラ1も全国制覇校も破って初出場

創部24年目、初めて明治神宮大会への出場権を手にした

明治神宮大会東北代表決定戦・決勝

10月29日@福島・ヨーク開成山球場
東日本国際大 5-3 東北福祉大

明治神宮大会の東北代表決定戦。春の全日本大学選手権王者の東北福祉大を破ったのは、同選手権8強の東日本国際大だった。

西武にドラフト4位で指名された粟津凱士(4年、山本学園)が控える中、左の佐々木大輔(2年、山村学園)が最後まで投げきった。最後の打者を打ち取ると、ベンチの選手たちは一斉に飛び出し、喜びを分かち合った。就任12年目、仁藤雅之監督の目が潤む。創部24年目の悲願達成であり、南東北大学野球連盟からも初めての明治神宮大会出場校となった。

ドラ1相手に勝ち越し

強さの要因はここぞの場面でたたみかける勝負強い打線と、タイプの異なる好投手トリオだ。4校によるトーナメントで争われた東北代表決定戦。28日の初戦は八戸学院大と対戦した。巨人のドラフト1位を受けた左の高橋優貴(4年、東海大菅生)とぶつかったが、1点を追う2回は3安打にバントを絡めて同点、3回にもバントを使い、2安打と犠牲フライで1点を勝ち越した。さらに各打者が粘り、5回までに92球を投げさせる。高橋をこの回限りでの降板に追い込んだ。8回にも2点を追加し、相手の反撃を2点に抑え、4-3で振り切った。

決勝の東北福祉大戦でも3点ビハインドの6回、相手のミスにも乗じて3安打を集めて追いつく。7回にはヒットと四球で作ったチャンスに、4番の能代勘介(3年、北海道栄)がライトオーバーの2点タイムリー。これが決勝点となり、5-3で2試合続けての接戦をモノにした。能代の後を打つ齋田海斗(2年、仙台育英)は、走攻守ともハイレベルな外野手としてプロのスカウトからも注目される好選手だ。

「スカウトの方を見返すつもりで」

投手陣は4年間エースでリーグ戦通算34勝を挙げた右の船迫大雅(4年、聖光学院)が中心。決定戦初戦の八戸学院大戦では持ち味の制球のよさとテンポのいい投球で、相手打線を6安打3失点に封じて完投。10月25日のドラフト会議では指名されずに悔し涙を流した。「スカウトの方を見返すつもりで投げました」という反骨心を携え、2回の打席では高橋のスライダーをレフト前に運ぶ同点タイムリーまで放った。

船迫は決定戦初戦の八戸学院大戦にて、完投勝利をあげた

また決勝戦で完投勝利の佐々木は、高校時代も創部9年目の山村学園を春の埼玉大会4強に初めて導いたことがある。強豪校の強打者相手にも臆せず、インコースを果敢に突く投球が持ち味だ。東北福祉大を相手にしてもそれは変わらず、2回に四球や味方の失策などで3点を奪われる嫌な展開だったが、その後は立て直し、中盤以降の逆転勝利を演出した。

この2人に加え、東日本国際大で初めてのドラフト指名選手となった右の粟津も、サイドハンドから最速145kmの力強い球を投じ、春は全日本大学選手権2回戦の京都学園大戦で完封勝利。十分な完投能力がある。

仁藤監督は「ドラフト、明治神宮大会と“初”が続くのは価値のあること。大舞台でも勝ち上がって伝統にしていきたい」と意気込む。東北大学球界の「登り竜」がどこまで飛躍するのか楽しみだ。

in Additionあわせて読みたい