ラグビー

「自分がいなくても」 立命主将、古川が目指すチームとは

古川はプレイヤーとして主将として、チームに流れをもたらす

関西大学Aリーグ第5節

11月10日@奈良・天理親里
立命館大(4勝1敗) 24-19 京産大(4勝1敗)

第5節の相手は、ここまで4戦全勝と波に乗る京産大。立命館は一年かけて磨いてきた攻撃的なディフェンスをぶつけ、勝ちきった。「前節の同志社戦では自分たちの目指すディフェンスができなかったんですけど、今日はそれができた時点でいけるなと思いました」。語気を強めて語ったのは、立命館の主将でFL(フランカー)の古川聖人(まさと、4年、東福岡)。率先して体を張り、チームを引っ張った。

父がクラブチームの監督で、兄が選手。ラグビー一家に生まれた古川は、早くも3歳のときに楕円(だえん)球を手にした。高校は兄を追うように全国屈指の強豪、東福岡へ。主将を務めた高校ラストイヤーは、春の全国選抜大会で2年ぶりに優勝、冬の花園では3年ぶりの全国制覇を果たし、これ以上ない有終の美を飾った。

低いタックル、海外でも通用

日本一のチームの主将はなぜ立命館を選んだのか。古川は言う。「高校最後の年はけがをして、思うようにプレーすることができなかったんです。それでも藤田(雄一郎)先生は熱心に自分に合った環境を探してくれました。その中でラグビーに関して施設や環境が整っていて、一人暮らしができるという点で立命館を選びました」。恩師であるラグビー部の監督が勧めてくれた大学の中で、アスリートにとって成長していくための環境があり、さらに高校時代から培ってきた自主性を伸ばしていく上で最適と考えたのが立命館だった。

古川は1回生からメンバー入りを果たした。「立命館はFWのコーチが多いこともあり、自分のポジションに対する考え方の幅が広がりました。高校時代はタックルさえすればいいと思ってたんですけど、FLには色々な役割があるというのを学べました」と、立命館での最初の収穫を振り返った。しかし、高校時代とのギャップに悩んだ時期もあったという。「大学では自分の自由になる時間が増えたので、そこでいかにラグビーに集中していくかが難しいと感じました」

2回生ではアジアチャンピオンシップの日本代表に選出。U20日本代表にも選ばれ、キャプテンを務めた。若きジャパンの主将として得た経験は、立命館の主将として、また一人の選手として大きく生かされているという。「声の面でもそうですが、とくにプレーで引っ張っていくことが大切なことだと感じました」。またプレー面についても「自分の得意な低いタックルが通用したと感じたので、今後戦う上で勝負していくところはそこだと再確認できました」と語り、代表での経験が持つ意味の大きさをうかがわせた。

一人ひとりがキャプテン

特筆すべき古川の魅力は、チームをまとめる抱擁力。キャプテンとして周りの選手へ声をかけるのはもちろん、チームメイトの活躍には必ず駆け寄って一緒に喜ぶ。「性格上、自分からチームへ発信する機会が多いです。でも、ほかの選手に意見を求めたり、チーム作りに積極的に参加してもらえるように持っていくのも大事だと感じました。その中で一人ひとりがリーダーシップを持って、自分がいなくてもチームとして機能していくのがベストだと思ってます」。古川はワンランク上のチームを目指している。

古川ひとりが引っ張るのではなく、一人ひとりが考え、行動できるチームを目指している

立命館は現在4勝1敗で関西学院大、京産大と並んで2位。次戦は5戦全勝の天理大と戦う。「我々はチャレンジャーの気持ちでやっていくしかないと思うので、1年間やってきたことをさらに強化して、ぶつけていきたいと思います」。関西の最強チームに立命館の攻撃的なディフェンスで勝負できるチャンスが来た。キャプテンは関西の先の全国を見据えながら、天理大に挑む。

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