尚絅学院大 速攻で東海大に一矢報いる
宮城県の尚絅(しょうけい)学院大は今秋、国体出場と東北リーグの優勝をいずれも4年ぶりで果たしている。インカレに向けて士気も上がっていたが、トーナメント抽選の結果、初戦の相手は第1シードの東海大に決まった。東北勢が前回インカレを制したのは、22年前(1996年)の東北福祉大までさかのぼる。その後、関東勢は18回優勝しており、関東秋リーグ戦を制した東海大も優勝候補の一角。格上であることは否めなかった。
「同じことをしても勝てない」
スタートからリズムをつかんだのは尚絅学院大だった。コート内の平均身長は東海大が約172cmで、尚絅学院大は約166cmしかないが、堅い守りとスピーディーで特徴的なコンビバレーを展開された東海大は、16点しか取れずに第1セットを失った。
関東はおろか、全国的にも珍しいこのスタイルが磨き上げられたのは、元全日本男子の古川靖志コーチによるところが大きい。「『同じことをしても勝てない』というのが前提。コンビバレーは僕が三橋栄三郎さん、岩島章博さん、(後輩の)川合俊一といった名選手たちとやってきたことがベースになってます」と古川コーチは話す。小田嶋充監督の下で練り上げられた今年のチームは変則ツーセッターで、トスを上げる加藤優奈(4年、宇都宮文星女)と宮澤千陽(4年、聖和学園)が隣に並ぶ、他に例を見ないローテーションが組まれていた。
東海大も負けられない。ブロックの要、横田真未(3年、古川学園)は「相手を見たら絶対に(ブロックが)振られる。トスだけを見よう」と集中し、サーブの狙いも変更することで次第に対応。力強いバレーでセットを連取し、逆転勝利を飾った。
初戦敗退に終わったが、尚絅学院大も全力を尽くした。「古川コーチからは、流れの中でどんな形を作れば相手ブロックが迷うのか、トスワークや組み立てを教わりました」と加藤。4年間の大学バレーを振り返り、「苦しいことがたくさんありましたが、何にも代えられない充実感があり、成長できたと思います」。東北女王の挑戦は終わった。(日本バレーボール協会 豊野堯)