今季3度目の早明戦。『意地』と『プライド』を胸に、再び宿敵撃破へ―。
久々の『年越し』だ。全国大学選手権(大学選手権)、早大は準々決勝で慶大に執念の逆転勝利、5季ぶりの『年越し』を決めた。一方の明大も、準々決勝で関東大学リーグ戦優勝校・東海大との熱戦を制し、準決勝進出。大学選手権では8季ぶりに、早大と明大の顔合わせが実現する。1月2日、再びの早明戦。両校の『意地』が激突する。
2年連続で準決勝進出を果たした明大。関東大学対抗戦(対抗戦)で帝京大のスクラムを圧倒した強力FW陣は、大学選手権でも力を発揮している。準々決勝で対戦した東海大は、モールアタックなど、FWのパワーを武器とするチームだった。しかし、明大は、得意のスクラムで優位に。ゴール前のアタックなど要所でFW戦を制し、ブレイクダウンでボールを奪う場面も目立った。粘り強い攻めでフェーズを重ねた結果、最終盤の勝ち越しPGにつなげた。さらに、BKでは、負傷により離脱していたFB山沢京平(2年)が復帰。対抗戦の早明戦では負傷によりメンバーに名前を連ねていなかった山沢だが、山沢のキックはエリアマネジメントを優位にできる。さらに、WTB山﨑洋之(3年)ら、決定力のあるBK陣も名を連ねている。
決勝進出へ、早大がこの一戦を制するためのポイントとは―――。やはり、スクラムが分水嶺となるだろう。対抗戦の早明戦では、後半、明大のゴール前スクラムでコラプシングを誘発したことが、試合の流れを早大に引き寄せた。2度目の対戦でも、スクラムでいかに粘れるかが早大の勝利へのカギとなりそうだ。さらに、早大が今季テーマとしているディフェンスをどれだけ発揮できるかにも注目したい。大学選手権の慶大戦では、ディフェンスで後手に回る時間帯も続いたが、前半にはインゴール目前で32フェーズに及んだ慶大のアタックを気迫の守りで退け、失点を防ぐ場面もあった。ディフェンスにおいて、早い起き上がりと迷いのない、前に出るタックルをチーム全体で徹底できれば、試合の流れは早大に傾くはずだ。
「一度死んだ身なので」。相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)は準々決勝を終え、こう表現した。試合時間残り20秒、見ていた誰もが敗戦を覚悟した絶体絶命の場面から逆転できたのは、グラウンドに立つ選手たちの中に、まだ終われない、絶対に勝つ、という『意地』があったからだ。逆転トライのWTB佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭学園)や、フランカー佐藤真吾主将(スポ4=東京・本郷)ら、4年生の『意地』もチームを鼓舞させる。一方、明大にも『意地』がある。対抗戦で敗れた早大に、再び負けるわけにはいかない。そんな思いを抱き、この一戦に臨むだろう。早大ラグビー蹴球部100周年の今季、長年しのぎを削ってきた伝統の早明戦を、我々はもう一度目にできる。決勝進出をかけて、それ以上に、早明両校の『意地』をかけて。1月2日12時20分、熱戦の火ぶたが切られる。