早稲田が劇的逆転勝利、準決勝で明大と再戦
大学選手権準々決勝
12月22日@東京・秩父宮
早稲田大(関東対抗戦1位)20-19 慶應大(同3位)
12月22日、大学選手権の準々決勝4試合があった。
東京・秩父宮の第1試合は早大(関東対抗戦優勝=2位扱い)が慶大(同3位)にラストワンプレーで20-19と逆転勝ちした。第2試合はV10を目指す帝京大(関東対抗戦優勝=1位扱い)が流通経済大(関東リーグ戦3位)を寄せ付けず、45-0で下した。
大阪・キンチョウスタジアムでの第1試合は明治大(関東対抗戦3位=4位扱い)が東海大(関東リーグ戦1位)に18-15で勝利。2試合目は天理大(関西Aリーグ1位)が大東文化大を30-17で下した。
1月2日に秩父宮ラグビー場で行われる準決勝の2カードは次のようになった。
12:20 明治 vs 早稲田
14:10 帝京 vs 天理
大抜擢WTB佐々木が大仕事
11シーズンぶりの大学選手権での「早慶戦」は最後のワンプレーで決着がついた。
早稲田がWTB佐々木尚(4年、桐蔭学園)のトライで前半3分に先制し、前半は12-7で折り返した。
慶応は後半、小雨が降る中、FWとBKが一体となってアタックを継続し、15分にNo.8山中侃(4年、慶應)のトライで12-12と追いつく。
早稲田もSH齋藤直人(3年、桐蔭学園)がPGを決めて再び15-12とリードする。それでもこの4年間の関東対抗戦で4戦全敗慶應が意地を見せ、25分にスクラムからキャプテンSO古田京(4年、慶應)が左中間に飛び込んで、自身でゴールを決めて15-19と逆転に成功した。
早稲田はマイボールラインアウトのチャンスで痛恨のノットストレートの反則。残り30秒ほどで、慶応はマイボールスクラムを得た。そのボールを出して、FWでキープすれば勝利は間違いないはずだった……。しかし慶応は、大事な場面のスクラムでひざをついてしまい、コラプシングの反則を犯してしまう。
早稲田はラストチャンス、ラインアウトからのアタックだった。「最後のホーンが鳴るまで勝つこと信じて、選手を信じて見ていました」という相良南海夫監督の期待通り、24次に渡る攻撃を継続。最後はSO岸岡智樹(3年、東海大仰星)からWTB長田智希(1年、東海大仰星)とパスをつなぎ、WTB佐々木へ。そして佐々木が飛び込んで、値千金のトライ。
大舞台で先発に抜擢された4年生WTB佐々木は「前が空いてました。自分からボールを呼び込みました。嬉しかったです」と振り返った。
早稲田が5シーズンぶりの「年越し」を果たし、準決勝に駒を進めた。
◇早稲田・相良監督
とにかく一言だけ勝ち切れた、勝ったことがすべてだと思います
――最後は負けている状況でした
今週、選手の方からいろいろ場面ごとの状況作って練習してほしいと話があり、残り数分の中で4点ビハインドというシチュエーションを想定し、チームのアタックディフェンスをしてました。選手が絶対勝つという信念を持って戦った結果がこうなったのかなと思います。今日は本当に厳しいゲームなると思ってましたけど、その中で勝った選手たちがすごいなと思います。
――対抗戦では2試合しか先発していないWTB佐々木を先発に起用しました
彼の4年生としての(この試合にかける)思いとパフォーマンスのよさが起用の理由です。練習のパフォーマンスが非常に上がってました。早慶戦、早明戦で途中から投入したところで、流れをかえるディフェンスをやってくれたので、頭から起用しました。また彼は高校時代、慶應に(花園予選に)負けて終わっていますので、そういう思いにかけたかった。
――明治戦に向けて
相手がどうのこうのというよりも、一度は死んだ身なので、とにかく自分たちできることをやって、一日一日成長してどれだけぶつけられるか。久しぶりに正月を越えるので、自分らの力を出しきりたい
◇慶應・金沢ヘッドコーチ
試合は残念ながら負けてしまいましたが、選手のパフォーマンスがすばらしかった。早稲田と慶応はいつもこういう試合になりますが、ベストを尽くした選手を誇りに思います。
――早稲田のディフェンスに対してどう戦おうとしましたか
内側がタイトなのでFWが逃げないこと、そして外側のスペースのところをうまく使おうとしたので、大きなゲインがあったのかなと思います。自分たちのやろうとしていることはできた。最初から最後までスクラムが一番のキーになったのかなと思います。
――スクラムに関しては
プレッシャーをかけていたと思いますが、とくに勝負どころのゴール前のスクラム、最後のところもそうですが、一番キーのところで相手側に有利な判定が下ったのは、うちにとって厳しかった。
――1点差でした
正直、選手の力としては(差は)なかった。どっちに転がるかは勝負ごとなので……。単純にお互いにすばらしいパフォーマンスで、たまたま今回早稲田に勝利が傾いた。そこがスポーツの残酷なところでもあり厳しいところでもあります。そこに導けなかった責任は感じてます。