陸上・駅伝

特集:第95回箱根駅伝

東洋大の主将・小笹、届かなかった総合V

復路7区で先頭を走る小笹

第95回箱根駅伝

1月2~3日@東京・大手町読売新聞社前~神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場入口の10区間217.1km
総合3位 東洋大 10時間58分3秒
7区 3位 小笹椋(東洋大) 1時間3分45秒

第95回箱根駅伝は東海大の初の総合優勝で幕を閉じた。レース終了後の取材場所では、東海大の選手たちが笑顔で取材に応じていた。その一方、同じフロアの一角に憔悴しきった表情で座り込んでいた選手がいた。東洋大の主将、小笹椋(4年、埼玉栄)だった。

猛追されて焦った

1区の西山和弥(2年、東農大二)と4区の相澤晃(3年、学法石川)が区間賞に輝き、東洋大は2年連続の往路優勝を果たした。しかし、復路では東海大と青山学院大にかわされ、総合3位に終わった。小笹は言った。「復路は自分と6区の今西(駿介)以外は初出場だったので、みんなで声をかけ合ってました。往路組も復路の各選手に声をかけにいってくれて、精神的な支えはあったと思うんですけど……」。その小笹も納得のいく走りはできなかった。

トップで襷(たすき)を受けた7区の小笹は区間3位の力走だったが、走り始める時点で1分8秒あった2位東海大との差は、4秒まで縮められた。それだけ東海大の7区を走った阪口竜平(4年、洛南)の走りが素晴らしかった。小笹は走りながら感じていた。「東海大学さんの監督車の声がだんだん近づいてきて、気配を感じるんです。そこからだいぶ焦りが出てしまいました」。顎が上がり、苦しそうな表情の小笹。足に痛みも出ていた。耐えながら、とにかく必死に、全力で走った。青学の林奎介(4年、柏日体)と阪口に次いで区間3位だった。

来年は勝てる

小笹は主将として、先輩として、初めて箱根に挑む8区の鈴木宗孝(1年、氷取沢)に少しでも楽に走らせてやりたかった。「リードを保つだけじゃなくて、差を広げて襷を渡してあげたかったんですけど、大幅に詰められてしまって……。自分の弱さが出たレースだと思います」。ずっと総合優勝を目指して必死でやってきた。昨年の箱根では10区で区間賞をとった。「来年こそ優勝します、って言葉を何回言ったんだろう」。そんな1年だった。

12月13日に開催された箱根駅伝壮行会でも、主将として臨む最後の箱根への決意を語っていた

小笹にとって、箱根は自分を成長させてくれる舞台だった。「応援してくれる方もいっぱいいて、注目度もあります。これを当たり前だと思ってはいけない。すごく恵まれた環境の大会で走れて、人間としての、学生としての、競技者としての自分をすごく成長させてもらいました」。箱根への感謝を胸に抱え、後輩に優勝への思いを託して卒業する。「本当は優勝を後輩たちに残したかったんです。ただ、すごく力のある後輩たちばかりなので、4年生が抜けても戦えますし、明るくて賑やかで個性豊かな後輩たちが、うまく同じ方向を向いて一つの目標に向かって継続していけば、来年は勝てる強さを持ってると思います」

レース終了直後の報告会。応援してくれた人たちを前に、言葉を詰まらせながらあいさつした小笹の表情が目に焼き付いた。「東洋大学に来て、これだけの方に応援してもらって……。すごく幸せでした」。小笹の4years.が幕を閉じた。

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