陸上・駅伝

特集:第95回箱根駅伝

東洋が2年連続往路V、青学の5連覇に暗雲

「箱根だけは譲れない」と言っていた東洋大が往路を制した

第95回箱根駅伝 往路

1月2日@東京・大手町読売新聞社前~神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場入口の5区間107.5km
1位 東洋大 5時間26分31秒(往路新記録)
2位 東海大 5時間27分45秒(往路新記録)
3位 國學院大 5時間29分15秒

東洋大が2年連続7度目の往路優勝を果たした。2位は1分14秒差で東海大。3位に國學院大がつけ、青山学院大はトップと5分30秒差の6位。青学の史上3校目の総合5連覇と史上初の「2度目の学生駅伝3冠」達成に暗雲がたれこめた。

東洋大はあえて4区で勝負

東洋大にとって理想的な展開になった。今シーズンは不調の続いていた1区の西山和弥(2年、東農大二)が意地の2年連続区間賞。2区の山本修二(4年、遊学館)で一つ順位を落とし、3区は青学の主将である森田歩希(4年、竜ケ崎一)が区間新記録の走りで8位からトップに押し上げたが、東洋大の吉川洋次(2年、那須拓陽)も粘って2位をキープ。東洋大は4区の相澤晃(3年、学法石川)が区間新記録を樹立して再びトップに立ち、後続の引き離しに成功。5区の田中龍誠(2年、遊学館)が2年連続して往路のゴールテープを切った。

酒井監督は5区に弾みをつけるため、相澤を4区に起用した

東洋大の酒井俊幸監督は大殊勲の相澤について「ほかの大学の4区が薄いだろうと思ってました。僕の現役のころは準エース区間でした。そこで5区に弾みがつくような区間にしてほしいと思って、相澤を起用しました。箱根までの間にけがもありましたけど、力はあるので信じてました」。してやったりの思いをにじませつつ、クールに語った。

相澤は11月末の合宿で左足を負傷。ジョグをしながら調整してきたが、痛みが引いたり、出たりで精神的に厳しい日々を過ごしていたという。「3区で青学の森田選手が区間新記録を出して、多少動揺しました。でも事前に監督さんと電話して『積極的にいきます』と宣言してました。青学の岩見(秀哉)選手が動いてなかったのもあって、その通り走ったのが区間新記録につながったのかなと思います」。相澤は涼しげに言った。

相澤は1時間0分54秒の区間新をたたき出した

昨年は2位に32秒差で復路を迎えたが、青学に約5分の差をつけられて総合2位。あすの復路について酒井監督は「6区、7区と主導権のとれる展開にしていきたい」と語った。

東海大は6区中島に期待

2位の東海大は、当日変更で4区に入れた館澤亨次(3年、埼玉栄)が7位から2位に引き上げたのが大きかった。5区の西田壮志(2年、九州学院)も区間新の走りで東洋大との差を詰めた。両角速監督はあすの復路について、6区の中島怜利(3年、倉敷)に期待を込める。「とにかくスタートから出遅れないことですから。中島は去年の経験者で、58分36秒で下ってます。今年は58分そこそこでいってくれるはずです。今日は西田が区間新でしたけど、それぐらいの力は中島にもあると思います。しっかり(東洋の)今西(駿介)君を追っていきたいですね」

青学は苦い顔で芦ノ湖を去った

そしてまさかの往路惨敗となった青学。原晋監督は「この駅伝は何が起こるか分からんね」と繰り返した。そして選手に対して呼びかけた。「これが箱根駅伝だ。でも勝つ可能性はゼロじゃない。歴史に残る大逆転をしよう」。ただ、いつものようには盛り上がらなかった。

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