陸上

特集:第95回箱根駅伝

東海大の黄金世代、3度目の箱根に輝くか

箱根こそ優勝へ。一丸となって挑む東海大メンバー

箱根本番まで2週間と迫った12月19日、東海大学湘南キャンパスで合同取材が開催された。「最強」と呼ばれる3年生メンバーを擁し、出雲、全日本ともに優勝候補に挙げられながら、いまだ栄冠をつかめていない。「速さを強さに」をテーマに掲げたチームは、最後の箱根にかける。

往路で勢いを

東海大は夏合宿を長野県小諸市内に変更して不整地を走った結果、けが人が多く出てしまった。それが出雲まで尾を引いたという。例年11月は記録会で自己ベストを出し、自信を持って箱根に臨むのが流れだったが、「振り返ると記録会の結果が箱根に結びついてなかったので、今年は思いきって合宿に切り替えました。体と足をしっかりつくってきたので、それが成果に結びつけばいいなと思います」と両角速監督。けが人が相次いだものの、「ここまで順調な流れでトレーニングができてます」と自信をのぞかせた。

15kg減量した両角監督。胴上げへ準備万端

12月10日に実施されたエントリーメンバー発表の記者会見や監督トークバトルでも、両角監督は優勝を目指すと公言。「往路に主力選手をつぎ込んでいかないと勝てません。往路優勝できないと、総合優勝は厳しいです。往路で勝ち、復路で粘り強く勝負する展開にできたら」と語った。

4年生の意地

湊谷春紀(4年、秋田工)は主将として、60人以上のメンバーをまとめる難しさを感じたという。勢いのある3年生が注目されていたため、4年生が中心となって3年生をしっかり導く意識で運営してきた。今シーズン、湊谷自身は出雲に出場できず、全日本では7区で区間9位。期待された結果は残せていない。「振り返ると悔しさが多いです。いつもチームに助けられてると感じるので、今度は助ける側になりたい」と話す。

「どこの区間を走りたいですか? 」と問えば、「自分の持ち味は粘りだと思うので、復路の区間で、より生かせるかもしれないと思います。でも、どこを走るかにこだわりはないです。大学では最後のレースになるので、4年間やってきたことを出しきれるように。悔いのないレースをしたいです」と話してくれた。

「主将として、試合でもしっかり結果を出したい」と湊谷

燃える阪口

「ゴールデンエイジ」「黄金世代」とも呼ばれる3年生。16人のエントリーメンバーのうち、10人を占める。その中でも阪口竜平(洛南)は、7月にけがをしてから10月まで走れなかったが、11月の上尾ハーフマラソンで1時間2分32秒のタイムを出してメンバー入りした。

左から阪口、鬼塚、關、館澤。4人の走りに期待がかかる

「10月1日から走る許可が出て、そこから上尾ハーフまではずっと一人でポイント練習や38km走などの練習に取り組んでました。かなりメンタルが鍛えられて、強くなれたと思います。いまはチームに合流してトレーニングしてるんですけど、すごく楽しくできてます。楽しいときって、結果がついてくるんじゃないかと思うんです」と力強く語った。前回は2区で区間7位。今回も2区でリベンジしたいという。「前回の2区は、いままでで一番きついレースでした。2区で区間賞をとれるように準備していきたい。その準備ができてれば、他の区間でも対応できると思いますので」

また、阪口は先日の監督トークバトルでは青学大の原晋監督に「他校の注目選手」として名前を挙げられた。そのことについて問われると「名前を出してもらえるのはとても光栄だと思います。注目されてしっかり走れれば、さすがと思ってもらえる。けがで走れなかった分、箱根で借りを返したいです」。そしてこう続けた。「前との差が1分半だったら、抜ける自信はあります。1分半の差があったら前(青学大)も油断すると思うんですが、そこを驚かせたい。そろそろ連覇を止めたいです」。アツい。打倒青学、そして優勝へ。阪口は燃えている。

館澤の苦労

日本選手権の1500mで2年連続優勝し、アジア大会代表にも選ばれた館澤亨次(埼玉栄)のまわりには、常に報道陣が集まる。今シーズンは1500mに真剣に取り組んだ分、長い距離に適応するのに苦労したという。とくに今年は9月のインカレ1500mでも優勝を果たしたが、「ロードの練習を本格的に始めたころは、箱根の16人のメンバーに入れるかどうかさえ不安でした。ここ数カ月は、3年間で一番苦しい期間でした」と語る。

「でもやっぱり駅伝が好きだから結果を残したいし、チームの優勝のために区間賞も狙わなきゃいけないと自覚してます。1500mをやったことで、速いペースになったときにしっかり対応できる自信もつきました。ラストはスピードを生かしたロングスパートをしたいです」。日の丸を胸に世界と戦ってきたからこその自信をにじませる。

カメラマンの求めに応じてTポーズをつくる館澤

記者から「髪型へのこだわりは? 」と問われると、なんとお笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおを意識している、とのこと。「かっこよくないですか? 」とはにかむ。この取材日の2日後には、また散髪に行くそうだ。

關と鬼塚の爆発を

館澤とともに入学時に「スーパールーキートリオ」と称されていた關颯人(佐久長聖)と鬼塚翔太(大牟田)。二人にとってはけがに苦しむシーズンとなった。

關は疲労骨折で6月から走れず、出雲から本格的にレースへ復帰。走れない期間は長かったが、ウェイトトレーニングにも精力的に取り組み、成長を実感したという。「全日本で、先頭でたすきを渡せたのは大きかったです。一度離されたけど耐えて、巻き返せた。強くなれたと自分でも思えました」。いまの調子は絶好調を100%とすると、80%ぐらいだという。「あと2週間でうまく調整していきたいと思います。前半でしっかり区間賞をとって、いい流れをつくれたらと考えてます」

鬼塚(左)と關。仲のいい同期であり、認め合うライバルだ

鬼塚は8月に腸脛靭帯を痛め、10月の出雲はサポート役にまわった。大学駅伝でサポートの経験は初めてだったといい、「走れない悔しさというのを実感しました。自分が走れてれば、もっといい結果に貢献できたんじゃないかって思いもありました」。走りたくても走れない苦しい期間が、鬼塚を精神的に成長させた。「けがから戻ってからは順調です。11月の全日本のあとの日体大記録会で(5000m)13分44秒を出せて、トレーニングを積めばもっとできるって自信につながりました。いまは長い距離への不安はないです」。

「黄金世代と呼ばれることに対してどう思う? 」と問われると「力のあるメンバーがそろってるので、しっかり走って結果を残したいです。今年は故障が多くてうまくいかなかった時期もあったけど、みんなが戻ってきて箱根を迎えられます。チームの中心だという自覚をもってやってます。トップでいたいです」と答えてくれた。

役者はそろった。打倒・青学で初優勝へ。全員が持てる力を出しきれば、その目標は限りなく近づくだろう。

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