駒澤大の4年生ヘッドコーチ、学生の力を結集して1部昇格へ
下剋上まで、あと一歩だった。
タイムアップまで27.6秒、3点を追いかける駒澤大は、主将の大高祐哉(4年、能代工)の3ポイントシュートにすべてを託したが、ゴールネットは揺れず。逆に1点を追加され、74-78で日大に敗れた。大高は「すごく後悔してます」と唇をかんだが、2部の駒澤大が、昨年度インカレベスト4の強豪を追い詰めた。大健闘と言っていいだろう。
Bチームの主将からヘッドコーチに
昨シーズン限りで監督が退任した駒澤大は、今シーズンから学生主体でチームを運営している。ヘッドコーチをつとめるのは、昨シーズンまでBチームの主将だった清田直樹(4年、横浜隼人)だ。もちろん今シーズンもプレーヤーでいるつもりだったが、大高から「上のレベルを目指すために、コーチとして練習を見てほしい」と懇願され、大役を引き受けることになった。
コーチ経験は当然、ない。秋のリーグ戦では分析スタッフとしてAチームの戦術立案をサポートしたが、それもリーグ期間中の数カ月だけだ。少しでも経験と知識を得るために、ほかのチームの練習を見学させてもらったり、強豪が集うプレシーズンマッチにチームを参加させてもらったりしながら、コーチングを猛勉強している最中だ。「僕は立場上ヘッドコーチにいるだけ。大高や副キャプテンの布田南樹(4年、八王子学園八王子)、澁田怜音(3年、盛岡南)や、ほかの4年生と相談しながら、全員でチームをつくってる感じです」。あくまで控えめだ。
4年生がコート内外からチームを支える
大一番の日大戦は、清田が準備した戦術がしっかりはまった。日大の2大シューターである松脇圭志(4年、土浦日本大)と杉本天昇(3年、土浦日本大)の得点合計を25点以内に抑えるというプランを、選手たちが忠実に実行。23点にとどめた。ヘッドコーチ就任以来、チームのテーマとしてきたディフェンスで頑張り、点差が離されそうな場面でも粘り強く食らいついてった結果が、接戦につながった。清田は「負けはもちろん悔しいけど、プランを実行できるまでの力がついてきているのが分かる、ナイスゲームでした」と、充実感をにじませた。
タイムアウトで選手たちに指示を与える姿は、まだぎこちない。「1分しか時間がない中で何を言えばいいのかとか、残りのタイムアウトはいくつとか、いろいろ考えなければならないことがあるので大変です」と笑うが、そこを手助けしてくれるのも、やはりチームメートだ。「僕が伝えきれないことは、4年生がうまく言ってくれるし、気持ちを高めるような声掛けは、大高がベンチでもコートでもずっとしてくれる」。おかげで、接戦の最中も常に冷静に状況を見つめ、指示を出すことに集中できた。
チームの目標は、昨年の4年生たちが果たせなかった1部昇格。新米ヘッドコーチは「リバウンドや得点後の切り替えなど、まだまだ詰めが甘いです。ボールをとりきるまでがディフェンスだという意識を定着させたい」と、秋のリーグ戦に向けた課題を口にした。