立命館ソフトボール主将・戸倉隆文、「全員ソフト」で全日本インカレ制覇へ導く
立命館は1999年を最後にソフトボールの全日本インカレで優勝から遠ざかっている。しかし今年は大きな期待が持てる。今年の春リーグこそ宿敵の神戸学院大に敗れて2位となったが、7月の全日本総合選手権の近畿予選会では神院大に公式戦で5年ぶりに勝ち、代表の座をつかんだ。立命館の躍進を支えているのが、主将で4番の戸倉隆文(4年、立命館)だ。近畿予選会でも先制タイムリーで勝利に貢献した。
野球から転向、2回生からレギュラー
戸倉は小学校から高校まで野球をしていた。同じ立命館高校出身の先輩や同期の多くは硬式や軟式、準硬式野球部に入る中で、戸倉は小所帯のソフトボール部を選んだ。「一緒にプレーはできないけど、同じ原谷グラウンドで練習できるし、みんなの活躍に刺激を受けながら、自分はソフトボール部で4年間頑張ろうと思いました」
1回生のときは野球とソフトボールのギャップに苦しみ、出番はほとんどなかった。それでも戸倉はひたむきに頑張った。分からないことはチームメイトに積極的に聞き、一つひとつ解決していった。その日々の積み重ねが報われ、2回生の全日本インカレからレギュラーとなり、そこから4番を打つまでになった。
立命館男子ソフトボール部はマネージャーを含めても18人と、強豪校に比べて選手数が少ない。いつも試合は総力戦。コーチはいない。部員たちで練習を考え、試合に臨んでいる。
だからこそ、立命館はソフトボール特有のルールを最大限活用する。ソフトボールはスタメンの選手の再出場が可能。そこで選手交代を積極的にすることで、それぞれの持ち味が生き、動きのあるゲームを展開した。戦略がはまるとチームは一気に盛り上がり、ベンチの一体感は最高潮に達する。そんな「全員ソフト」で戦うためには準備が大事だ。戸倉は言う。「立命館は18人と人数が少ないんですけど、その中で一人ひとりが自分の役割をしっかり把握して練習や試合に臨んでくれると、チームを動かす方としてもやりやすいですね」
一人ひとりの心情をくみ取り、いい雰囲気に
キャプテンである戸倉は、日ごろから一人ひとりへの声かけを大事にしている。部員それぞれのリアクションから心情をくみ取りながら、よりよい練習ができるように心がけた。ほかのチームメイトもサポートしてくれ、部内にいい雰囲気ができ上がった。その甲斐あって、いまでは試合に出ている選手をベンチから鼓舞する声が絶えない。
「チームが優勝するには全員が同じ方向を向かないといけない。試合だけでなく普段の練習から優勝に気持ちを向けて取り組めるかどうかが、カギになると思います。個人としては気負いすぎず打席に立って、ベンチからの大きな声援を力に変えたいです」。戸倉の言葉に力がこもる。「全員ソフト」で幾多の敵を打ち負かし、最高の形で締めくくってほしい。