大学野球

明大・森下暢仁、大学ナンバーワン投手がつかんだ日本一の栄光

最高殊勲選手賞と最優秀投手賞を獲得、名実ともに大学ナンバーワン投手となった森下

明大野球部は6月17日、38年ぶり6度目の全日本大学選手権優勝を果たした。その中心は間違いなく、主将の森下暢仁(まさと、4年、大分商)だ。大学入学後初の全国舞台のマウンドに立ったエースは、今大会で2試合計18イニングを投げ、1失点と圧巻のピッチング。最高殊勲選手賞と最優秀投手賞の個人2冠も手にし、名実ともに大学球界ナンバーワン投手へとのぼりつめた。

この春2度目の胴上げ投手で喜び爆発

今シーズン2度目の胴上げ投手だ。佛教大との決勝も9回裏2死二塁。森下は146kmの直球で5番木岡大地(2年、上宮太子)から、この日10個目となる三振を奪った。キャッチャーの西野真也(4年、浦和学院)が両腕を空に突き上げながら駆け寄る。「前回(リーグ優勝のとき)は受け身になってしまったので、とりあえず跳ぼうと思ってました(笑)」。満面の笑みを浮かべる“恋女房”に合わせて、森下は誰よりも高く跳んだ。抱きかかえられたまま、何度も右手の人さし指で「1番」をアピール。「日本一になったんだな」。少しぎこちなかった3週間前とは違い、全身で喜びを表現した。

チーム全員が喜びを爆発させ、笑顔で森下を胴上げした

昨年からの成長が詰まったピッチングだった。全国の決勝という大舞台にも「あまり意識することなく試合に入れた」と、いつも通りリラックスした面持ちでマウンドに上がった。4回以降は毎回走者を背負ったが、動じることなく凡打の山を築いていく。クイックやけん制の間合いといったセットポジションになったときの弱点を、冬から春にかけて強化してきたのが実を結んだ。

カーブやチェンジアップといった緩い変化球もうまく操った。以前はコントロールが難しかった二つの球種でカウントを稼ぎ、ときには決め球として使うことで、配球の幅は大きく広がった。佛教大の選手たちは「ストレートがすごかった」と口をそろえたが、それは緩い球を効果的に使い、150キロ台の直球をさらに速く見せた森下の思惑通りだろう。佛教大の田原完行監督も「東京六大学という厳しい環境でやってきた経験をすごく感じた」と、森下のピッチングに脱帽した。

一球に魂を込めて

そして何より勝利への執念を前面に出した。ピンチを切り抜けるたび雄たけび。それがチームを鼓舞した。5番ファーストの喜多真吾(4年、広陵)は「森下がチームを引っ張っていく姿を見て、自分たちもそれに本気でついていこうと思えた」。一球ごとに魂を込め、投げ続けた。

昨春のリーグ戦は6敗すべてが1点差負け。森下もそのうちの2敗を喫した。「自分自身もまだまだ未熟だったし、『勝ちたい』という気持ちが足りなかった」。秋もリーグ4位に沈み、勝ち切れないイメージを、チームも森下も1年間ぬぐえなかった。だからこそ今年は「何が何でも優勝する」。その思いをボールにぶつけ、終盤の苦しい場面も乗り切った。

ドラ1位候補の名に恥じぬ活躍

主将になり、すべての取り組みのレベルが上がったという

大会を通して18イニングを投げて1失点。防御率は0.50と、この秋のドラフト1位候補に恥じない活躍だった。この姿に善波達也監督も「期待通りのピッチングをしてくれた。本当に頼もしく映ってます」と顔をほころばせた。さらに「去年まではゲームの後半に粘り切れないピッチングだったけど、新チームでキャプテンになり、取り組み方のレベルも相当上がっシーズンを通じていい結果を出してくれるのでは、と思ってました」と続けた。

大会前には「これが終われば落ち着くと思うので、そこまで集中して、勝ちにこだわってやりたい」と語っていた森下。しかし休む間もなく侍ジャパン大学日本代表候補合宿が始まる。2年生のときから選出され、代表での通算防御率は1.98と国際大会との相性のよさを示しているだけに、今回も期待は大きいだろう。次はジャパンを頂点へ導く。そして世界に「モリシタ」の名をとどろかせる。

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