大学アメフト

関学アメフトが神戸大に大苦戦、試合後の“公開”4回生ミーティングで涙の訴え

神戸大に辛勝したあと、選手たちに語りかける鳥内監督(手前、すべて撮影・安本夏望)

関西学生リーグ1部 第4節

9月29日@神戸・王子スタジアム
関西学院大(4勝)17-15 神戸大(2勝2敗)

アメフトの関西学生リーグ第4節で、王者関西学院大が神戸大に苦しめられた。17-15で勝って開幕4連勝としたが、数々の弱みが露呈。試合後も重苦しい空気のままだった。

「4回生が甘い」と言い続けてきた鳥内監督

試合直後に報道陣に囲まれた鳥内秀晃監督(60)は、珍しく終始厳しい表情だった。「こんなもんちゃう? これが実力や。甘いねん。普段から4回生が。なめとる。練習でも簡単なミスを見逃してる。自分は関係ないと思って、足を引っ張る4回生がいっぱいおる。そういう態度を見たら、3回生以下もそうなるわな」。4回生が甘い。なめてる。鳥内監督は秋の初戦から言い続けている。1カ月経っても、何も変わっていないということなのだろう。

関学が最も大事にしている最初のオフェンスシリーズでリズムが狂った。ゴール前6ydまで攻め込んでの第3ダウン。QB(クオーターバック)奥野耕世(3年、関西学院)はタッチダウン(TD)を狙い、エンドゾーンの左隅で振り向いたWR(ワイドレシーバー)阿部拓朗(4年、池田)へパス。これが神戸大のDB(ディフェンスバック)に読み切られていた。インターセプト。「あれでおかしなった。(選手たちが)おびえ出した」と鳥内監督。先制TDは挙げたが、さらに関学らしくないシーンが続く。第2クオーター(Q)4分すぎ、自陣4ydからの第1ダウン。奥野がエンドゾーン内からパスに出たが、OL(オフェンスライン)が相手を食い止められない。DL(ディフェンスライン)に襲いかかられた奥野はパス失敗で事なきを得ようと投げたが、インテンショナルグラウンディングの反則を取られた。セイフティとなり、神戸大に2点を献上。続く神戸大のオフェンスでトリックプレーをものの見事に決められ、7-8とリードを許して試合を折り返した。

神戸大にトリックプレーでタッチダウンされ、ぼうぜんとする関学の選手たち(右)

関学オフェンスがよかったのは第3Q、自陣8ydから6プレーで逆転TDまで持っていったシリーズだけだった。あとは焦りが見え、詰めを欠いた。第4Qには奥野のパスが相手にはたかれ、インターセプトされた。ここからの神戸大オフェンスを食い止められず、TDパスを決められて17-15に迫られた。関学は残り3分42秒からのオフェンスでランを繰り返し、時間を使って逃げ切った。

オフェンスを束ねる大村和輝アシスタントヘッドコーチは言った。「実力通り。神戸はめっちゃ普通にやってきた。ウチがアカンのが露呈しただけ。自分らはできると勘違いしてるんとちゃう? 前から監督やコーチが『全試合接戦やぞ』って言い続けてきたことが、その通りになっただけです」

第3クオーター、関学のWR鈴木が逆転のタッチダウンパスを受ける

試合前から関学らしくなかった。ファイターズはすべての試合前にお祈りの時間をとっている。キリスト教主義の関学にとって特別な時間だ。なのにこの日、2人の選手がその輪に遅れてやってきた。しかも、1人は4回生の主力選手だ。お祈りが終わると、鳥内監督が選手たちに向かって激怒した。「こんなヤツがおるチームやで。こんなんでええんか?」

60人という異例の大所帯、真価問われる4回生

試合後、関学の4回生が輪になり、幹部たちが思いを口にした。
「やってるふりしてるヤツがいっぱいおる。何のために4年間かけてやってんねん。決意表明で言ったことができひんねやったら、もうやめてくれ」「俺は勝ちたい。甲子園で、ライスで勝ちたい」。何人も泣いていた。これは例年のチームならリーグ戦に入る前に、もちろんこんな公衆の面前でなくチーム内で終わっている話し合いだろう。今年の4回生はスタッフも含めると約60人という異例の大所帯。どこかに緩みを抱えたまま、ここまで来てしまったのかもしれない。鳥内監督は「4年がこんだけおって、ほんまは強いはずやねん。そやけど、半分以上が足を引っ張っとる」と言った。

4回生のハドルが解け、主将のDL寺岡芳樹(関西学院)は苦渋の表情を浮かべていた。昨シーズンのけがの影響で、今シーズンまだフィールドに立っていない。「ずっと、背中で見せられんから言葉でと思ってました。でも『俺は言葉で伝えるのが苦手』と、言い訳にしてきた。俺が変わらんと……」

関学は4回生のチームだ。それぞれの立場で、4回生が「自分がチームを勝たせる」という思いを胸に全力を尽くす。その思いと行動がかけ算になり、下級生をも引っ張り上げて、関学は勝ってきた。試合に出るメンバーほどプレッシャーも大きい。しかし、その責任感を抱え、自分を磨いていく。過去、シーズンが深まり、人が変わったような素晴らしいプレーを体現する4回生を何人も見てきた。2019年の4回生たちがいま、真価を問われている。

試合後の4回生たちの輪の中で涙を流す副将のWR阿部

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