アメフト

神戸大アメフトのキッカー小林真大、立命・関学が相手でも「いつも通り決めるだけ」

チームの日本一に貢献するために専任キッカーになった小林(すべて撮影・松尾誠悟)

関西学生リーグ1部 第2節

9月7日@大阪・エキスポフラッシュフィールド
神戸大(2勝)18-10 関西大(1勝1敗)

アメリカンフットボールの関西学生リーグ1部第2節で、昨年5位の神戸大が3位の関西大に18-10で勝った。秋のリーグ戦で神大が関大を下したのは、2008年以来11年ぶりの出来事。神大はディフェンスの奮闘とキッキングチームの活躍が大きかった。

関大戦11年ぶり勝利の立役者

15-10で迎えた試合残り2分弱。関大のファンブルしたボールをリカバーした神大に、攻撃権が回ってきた。ゴール前28ydからの第4ダウン。180cmの長身キッカー小林真大(まさと、2年、明星)がフィールドに入る。フィールドゴール(FG)だ。プレー前に「ふーっ」と大きく深呼吸した小林。右足を振り抜いた。弾道はかなり低くなったが、ギリギリで成功。3点を追加して勝利を決定づけ、小林はホルダー役のエースQB是澤太朗(4年、東海)と抱き合った。

関大戦では3本の40yd超のフィールドゴールを決めた

「関大に勝てて気持ちいいです。接戦の中で蹴れて自信になりました」。小林は爽やかな笑顔で語った。神大はこの日の18得点中12点をFGで稼いだ。第2クオーター(Q)7分すぎに決めた33ydのFGは主将のWR中谷建司(4年、春日丘)が蹴ったものだが、残りの47yd、45yd、45ydと長いFGはどれも、小林が蹴り込んだ。

シーズン前の小林はあまり調子が上がっていなかった。エースキッカーとして迎える初めてのリーグ戦。春のオープン戦で経験を積んではいたが、本番の秋を前に緊張しないはずがなかった。リーグ初戦の近大戦前の練習では、4本蹴ってすべて外した。関大戦の前日は基本に立ち返り、軸足の使い方やキックの感覚を入念にチェック。そのかいあって、この日は3本のロングFGを決めきった。「きょうは合格ラインの仕事ができました。でも、僕はもっと高い緊張感で蹴ることが求められてるので、まだ満足はしてないです」と、淡々と先を見すえた。

神戸大では6年ぶりの専任キッカー

神大では6年ぶりとなる専任のキッカー(K)/パンター(P)だ。昨年までは中谷がWRと兼任で蹴っていた。小林は高校までサッカーひと筋。大学からアメフトを始め、キャッチセンスがよかったのでWRになった。だが、けがもあって思うようにプレーできなかった。新チームが始動した今年2月、小林はK/P専任になることを決めた。「このチームではずっと、ほかのポジションと兼任の人が蹴ってました。チームが日本一になるために僕の貢献できるポジションはどこかと考えたとき、やっぱりキッカーとパンターだと思ったんです」。そこでようやく、神戸大学レイバンズから必要とされる自分を見つけた。

どんなときでも「いつも通り、いつも通り」

試合前に聞くのはミスチルの「Prelude」

試合前は必ず音楽を聞く。お気に入りはMr. Childrenの「Prelude」。高校2年生のころファンになり、今年もコンサートに行った。ギターボーカルの桜井和寿さんにあこがれ、大学では軽音楽部に入ろうかと思ったほどだ。“前奏曲”を意味する「Prelude」は、過去にリリースされた曲の歌詞が含まれていて、ミスチルファンにとってはたまらない一曲。「別にリズムがノリノリなわけではなく、ゆっくり盛り上がっていく。心にしまってきたことや抱えてきたことを思い出す感じなんです」。独特のリズムや歌詞に惹(ひ)かれ、いまでは小林にとってのテーマ曲になっている。

11年ぶりに関大には勝ったが、まだまだ序章にすぎない。21日には立命、29日には関学への挑戦が待っている。小林は言う。「自分のキックでいつも通りやるだけです。キッカーは常に自分との闘いです。いつも通りのキックを決めます」

小林真大の終わりなき旅は始まったばかりだ。明日のことなんて、誰にも分かりはしない。長身キッカーはただ、自分なりの準備をして、静かに出番を待つ。そして、蹴り込む。

立命や関学相手でも、こうやって喜びをかみしめられるか

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