大学アメフト

元高校球児の立命RB北川浩久 90yd独走のリーグ戦初TD、冬の甲子園まで突っ走れ

過去2年ほとんど出番のなかった鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような独走だった(撮影・安本夏望)

関西学生リーグ1部 第2節

9月8日@エキスポフラッシュフィールド
立命館大(2勝)26-6 同志社大(2敗)

アメフトの関西学生リーグ1部の第2節で、4年ぶりの甲子園ボウル出場を狙う立命館大が同志社大に26-6と快勝。開幕2連勝とした。ミスや反則の目立ったオフェンスだが、RB北川浩久(3年、健大高崎)の独走タッチダウン(TD)は観客席を沸かせた。

健大高崎高の野球部では甲子園の土を踏めず

第4クオーター(Q)最初のオフェンスシリーズだった。自陣10ydからの最初のプレー。中央やや右を突いた北川はOLのブロックをうまく使って一線を抜ける。第3列の真ん中付近を守るべき選手が右へ入り込んだのを見透かし、左へ最小限のステップを踏むと、もう目の前には誰もいない。加速しつつ、左サイドから追ってくる相手選手の位置を確認。そのまま90ydを駆け抜けた。40ydを4秒7で走る俊足を見せつけ、「うれしい限りです。やったぞ、って気持ちでした」。リーグ戦初TDに喜びをかみしめた。

この穴を抜け、エンドゾーンまで駆け抜けた(撮影・廣田光昭)

北川は群馬の健大高崎高校の出身だ。2011年夏に初めて甲子園の土を踏み、春夏合わせて6回の甲子園出場を誇る硬式野球部で青春を燃やした。「機動破壊」をテーマに走りまくる野球が持ち味のチーム。北川の在学中は高1の夏、高2の春夏と甲子園へ出た。甲子園に出るために大阪から健大高崎に進んだ北川だったが、この3度ともメンバー外だった。最後の夏は、群馬大会決勝で前橋育英に敗れた。

セカンドとショートを守ったが、3年になってもレギュラーにはなれなかった。しかし北川には“ポジション”があった。代走のスペシャリストだ。3年夏の群馬大会では代走で出て、二つの盗塁を決めている。足には自信があり、走塁に関してはチーム内でも一目置かれていた。「走塁は迷ったらダメ。迷わずに思い切っていくのが大事なんです」。健大高崎で学んだ走塁の心構えは、アメフトでも生かされている。

独走タッチダウンを決めると、仲間たちが駆け寄ってきた(撮影・安本夏望)

健大高崎の野球部から立命のアメフトに入ったのは北川が初めて。彼のあとに1学年下の後輩だった茂木(もてき)敬吾(DB、2年)が入ってきた。立命は数年前から、野球出身のアスリートに目をつけ、強豪の野球部から続けて選手を入れている。その一人である北川は身長164cm。当時立命が求めていた「小さくて速いRB」にうってつけの存在として、声がかかった。

スピードとキレでエース立川と並ぶ存在に

2017年シーズンまで立命を9年間率いた米倉輝(あきら)前監督(現・エレコム神戸ヘッドコーチ)も高校まで野球に打ち込んでいた。同じチームにいたのは北川が1回生のときだけだったが、よく目をかけてもらった。あるインタビューの中で米倉氏が北川について「フットボール未経験者ながらぐんぐん伸びてる選手です。楽しみですね」と話してくれていた。うれしかった。「米倉さんにも成長した姿を見せたいですね」と言って笑った。

今シーズン、北川はRBの2番手まで上がってきた。エースは同学年の立川玄明(たつかわ・ひろあき、大阪産大付)だ。北川は立川とともにオフェンスを引っ張っていきたいと考えている。「1回生のころから立川に任せっきりになってますから。立川はパワーがあるので、自分はスピードとキレで勝負していきたいです」と語る。

立川(左)がパワーなら、北川はスピードで勝負する(撮影・篠原大輔)

春の甲子園も夏の甲子園も、北川自身はプレーできなかった。それなら冬の甲子園で、高校野球でできなかった分まで走りまくるだけだ。甲子園ボウルで「機動破壊」の心意気を示すその日まで、北川は走りに磨きをかけ続ける。

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