アメフト

青学アメフトのルーキー杉田雅治、日大フェニックスをアッと言わせたビッグプレー

日大のQB林にサックを決め、拳を固めて喜びをかみしめる杉田(すべて撮影・北川直樹)

関東大学リーグ1部BIG8第1節

9月7日@東京・AGFフィールド
青山学院大(1敗)0-89 日大(1勝)

アメリカンフットボールの関東大学リーグ1部BIG8は9月7日に第1節の2試合があり、日大と青山学院大が対戦した。試合はTOP8から自動降格し、2年ぶりにリーグ戦に臨んだ日大が青学を圧倒し、89-0で勝った。2部から1部BIG8に昇格したばかりの青学にとっては出ばなを大きくくじかれた格好だが、イキのいい1年生のビッグプレーがあった。

第2Q終盤、日大のエースQB林をサック

0-27で迎えた第2クオーター(Q)終盤、青学はゴール前10ydまで攻め込まれた。ここでパスに出た日大のエースQB林大希(3年、大正)に対し、青学の6番をつけたDB(ディフェンスバック)が、思い切りのよいブリッツからサックを決めた。7ydのロスを奪い、このシリーズはフィールドゴール成功の3失点でとどめた。サックを決めたのはルーキーの杉田雅治(まさはる、都立三田)。思わず叫びながらのガッツポーズ。気持ちの入ったプレーだった。

杉田は鋭い出足で日大QB林に襲いかかった

試合後、杉田に話を聞こうと青学側のベンチに向かった。先輩のストレッチのサポートを終えたところで話しかけると、「コーチに許可を取るので、ちょっと待ってください」と杉田。律儀だ。取材してみると、口数は少ないが、言葉の節々から強い気持ちを持った選手だというのが伝わってきた。

QBサックについては、プレー前にディフェンスの先輩から「いけるから、思い切ってやってこい」と言われたのだという。DBの中でも最後尾を守るSF(セーフティー)の位置からのブリッツだった。がむしゃらに突っ込み、林を倒した瞬間は「すごく気持ちよかった」と、うれしそうに話した。

一方、このプレー以外はすべてが反省だと振り返った。第3Q、日大のオプションプレーでピッチマンにつられ、ボールをキープした林に77ydを走り切られた。第4Qには日大RB川上理宇(3年、佼成学園)のランプレーに対して突っ込みすぎてしまい、59ydの独走を食らった。悔しさばかりが残った。

日大戦にはたった一つの成功と多くの失敗があった

「先輩のこれまでの練習も背負って、やる」

都立三田高校でアメフトを始めた。部員が少なく、合同チームでの試合も経験した。幸い3年生のときは部員が18人に増え、単独チームが組めた。杉田は主将を務めた。大学でもフットボールを続けるきっかけとなったのは、3年生の春の都大会2回戦で対戦した佼成学園との戦いだったという。2年連続高校日本一(当時)の強豪に対し、杉田はWRとSFの攻守両面で出場したが、何もできずに0-60の完敗だった。「ボコボコにされて、同世代でもこんなにすごいヤツらがいるのか」と感じた。同時に、大学で強い相手にチャレンジしたい気持ちが芽生えた。

3年生の秋に部活を引退、本格的に受験勉強を開始し、「家から近かったから」と第一志望に決めた青学に合格した。4月に練習見学に訪れたときの印象は「チームの雰囲気がめちゃくちゃよかった」。入部を即決した。がむしゃらに練習に取り組み、SFの2番手にまでなった。「まさか出られるとは思っていなかった」というこの試合、SFとして試合の半分ほどに出場した。「自分が出ることで、同じポジションの先輩が出られなくなる。先輩がこれまで練習してきたことも、すべて背負ってやらないといけないんです」
これがフットボールだ。競技を始めて4年目、立派な考え方を持ち合わせている。

杉田はフットボーラーとして学ぶべきことを、しっかり受け取っている

「日大はもともと強いと分かってて、自分たちから仕掛けていかないとダメなのに、序盤に勢いにのまれてやられてしまいました。今後も相手は格上のチームばかりなんですけど、思い切ったプレーができるようになりたいです」と前を向いた。

日大フェニックスを、一瞬だけアッと言わせたビッグプレー。あの思いっきりとスピード、そしてフットボーラーらしい心意気があれば、杉田はきっと青学を勝たせるプレーヤーになれる。

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